ラボレムス-西谷ジェントルマン

ヌードルシンガーソングライターの西谷ジェントルマンのnoteです。一人ユニット「ラボレ…

ラボレムス-西谷ジェントルマン

ヌードルシンガーソングライターの西谷ジェントルマンのnoteです。一人ユニット「ラボレムス」で曲の配信など行っております。

記事一覧

【麺随想】いちいち考えの足りないラーメン屋(後編)

 前編はこちら。 3.限定メニュー「太まぜそば」  2021年初春。  僕が例の店に初めて訪れてから、約8か月。年が明けても、コロナ禍は依然世に根強く留まっていた。 …

【麺随想】いちいち考えの足りないラーメン屋(前編)

はじめに  コロナ渦はじまって間もない2020年初夏のことである。  僕はその日、特に食べたいものを決められないまま昼休みを迎えたのだが、ひとまず昼食をとるために職…

【ベスト麺・インマイライフ①】味楽園の「冷麺」

はじめに  そういう自覚は全く無いが、僕も44歳になって人生も折り返しを過ぎたものと思われる。  その半生において、僕はいったい、何杯の麺を食してきたことだろうか…

【非麺エッセイ】西谷が思わず口に出して言いたくなる世界の首都名5選

 世界の首都の名前をたくさん憶えている。  というのが、僕のひそかな自慢である。  大学を卒業してから塾講師を生業としている時期が長かった。予備校も含めると、約…

麺の曲の話【NDLs.04】そうだ ラーメン巡りに、行こう。

 この曲の着想を最初に得たのは、2018年2月25日のことである。  前日の2月24日には、平昌五輪のカーリング女子3位決定戦が行われた。  第10エンド。イギリスのスキッ…

【麺随想】定番と限定 ~約20秒間の宇宙的逡巡~

 盛夏――  今年の夏は、本物の酷暑であったと思う。  11月も終わりに差し掛かった今でも、その酷暑を過ごしたダメージが、体内の隅に残っている気がする。  その日…

【非麺エッセイ】さかなクンと僕

 さかなクンに似ているかもしれない――  僕の顔のことである。  そんなことを思ったのは、30代後半に差し掛かる頃であっただろうか。  僕は眼鏡を常用しているのだ…

【麺随想】40分並んで出てきたつけ麺に対して、何をやっとるんだね、君は。

 初夏であった。比較的最近のことである。  平日に休暇が取れた僕は、少し遠出をしてかねてより目をつけていたつけ麺を食べに行くことにした。  電車に揺られ55分。そ…

麺の曲の話【NDLs.03】Pilgrim in The U.K.K.(その②)

 NDLs(ヌードルス)3曲目、「Pilgrim in The U.K.K」についての文章、第2回目である。  今回はまず歌詞から。 <歌詞> ふと目覚めた午前4時 船の中はすでに起き出して…

麺の曲の話【NDLs.03】Pilgrim in The U.K.K(その①)

 NDLs(ヌードルス)3曲目。タイトル「Pilgrim in The U.K.K」は「うどん県香川巡礼者」を表している。  すなわち、讃岐うどんの食べ歩きをテーマにした曲である。 <僕…

【非麺エッセイ】歩車分離式

 前回、四文字の駅名に対してのこだわりを記した僕だが、最近になってまたしてもあるワードが気になって仕方なくなっている。  「歩車分離式」という言葉がそれである…

【非麺エッセイ】漢字四字の駅名

 漢字四文字の駅名が好きだ。  ということに最近気がついた。  「関目高殿」とか「鴻池新田」とかいう名前を聞くと、なんだか心の琴線が震えてしまうのだ。 「なん…

麺の曲の話【NDLs.02】つけ麺讃歌

 2曲目。タイトル通り、つけ麺をテーマに作曲した。    僕は麺という名のつくものなら、分け隔てなく愛することをポリシーにしている。どんな麺にも必ずストロングポイ…

麺の曲の話【NDLs.01】拉麺紳士

 アコースティックユニット「ラボレムス」のボーカル、作曲・作詞担当にして唯一のメンバー、西谷ジェントルマンと申します。ヌードルシンガーソングライターを自称し、麺…

【麺随想】いちいち考えの足りないラーメン屋(後編)

【麺随想】いちいち考えの足りないラーメン屋(後編)

 前編はこちら。

3.限定メニュー「太まぜそば」

 2021年初春。

 僕が例の店に初めて訪れてから、約8か月。年が明けても、コロナ禍は依然世に根強く留まっていた。

 比較的寒さ穏やかなある日、いつも通り、ランチ放浪中の僕であったが、何となく気が向いて、あの店の前まで自転車を走らせた。

 入口ドア横の窓ガラスに多くのPOPが貼ってある。開店してすぐは、それほど多くなかったが、日が経つにつ

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【麺随想】いちいち考えの足りないラーメン屋(前編)

【麺随想】いちいち考えの足りないラーメン屋(前編)

はじめに

 コロナ渦はじまって間もない2020年初夏のことである。

 僕はその日、特に食べたいものを決められないまま昼休みを迎えたのだが、ひとまず昼食をとるために職場を出た。

 町を自転車で流していても、行くべき店が見つからない。ラーメン、うどん、そば、パスタ……。候補の店は思いつくが、どうも決め手に欠ける。そういう日は、たまにあるものだ。

 貴重な昼休みの時間をあてもなく消費していく中で

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【ベスト麺・インマイライフ①】味楽園の「冷麺」

【ベスト麺・インマイライフ①】味楽園の「冷麺」

はじめに

 そういう自覚は全く無いが、僕も44歳になって人生も折り返しを過ぎたものと思われる。

 その半生において、僕はいったい、何杯の麺を食してきたことだろうか。まったく見当もつかない。食べてはみたものの、忘却の彼方へと消え去った麺も無数にある。

 しかし、決して忘れ去ることのないであろう、僕の人生にはっきりと刻印された、印象深い麺も多々ある。

 そして、それらの麺は、人に紹介したくてた

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【非麺エッセイ】西谷が思わず口に出して言いたくなる世界の首都名5選

【非麺エッセイ】西谷が思わず口に出して言いたくなる世界の首都名5選

 世界の首都の名前をたくさん憶えている。

 というのが、僕のひそかな自慢である。

 大学を卒業してから塾講師を生業としている時期が長かった。予備校も含めると、約15年教壇に立っていた。

 キャリアの始まりは地元の町塾である。芸大で演劇を学んでいた僕は、アルバイトをしながら演劇やお笑いの活動をするつもりだった。そう考えながらも、まったく仕事も探していなかったのだが、母の知人が経営する塾で、僕の

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麺の曲の話【NDLs.04】そうだ ラーメン巡りに、行こう。

 この曲の着想を最初に得たのは、2018年2月25日のことである。

 前日の2月24日には、平昌五輪のカーリング女子3位決定戦が行われた。

 第10エンド。イギリスのスキッパー、ミュアヘッドが投じた最終ストーンはミスショットとなり、日本に1点が追加される。日本史上初のカーリングにおけるメダル獲得の瞬間であった。

 僕はその様子を、観音寺市の郊外にあるビジネスホテルの一室で、大興奮しながら見て
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【麺随想】定番と限定 ~約20秒間の宇宙的逡巡~

【麺随想】定番と限定 ~約20秒間の宇宙的逡巡~

 盛夏――

 今年の夏は、本物の酷暑であったと思う。

 11月も終わりに差し掛かった今でも、その酷暑を過ごしたダメージが、体内の隅に残っている気がする。

 その日も、予想最高気温が37度を超える日であった。

 僕は、郊外のとあるラーメン店を目指し、路線バスに揺られていた。

 普段なら、レンタサイクル等で店まで移動するところだが、暑すぎて、やめた。大げさでなく、身体の危機を感じるほどの暑さ

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【非麺エッセイ】さかなクンと僕

【非麺エッセイ】さかなクンと僕

 さかなクンに似ているかもしれない――

 僕の顔のことである。

 そんなことを思ったのは、30代後半に差し掛かる頃であっただろうか。

 僕は眼鏡を常用しているのだが、洗面台で眼鏡をはずした折、鏡に映る自分の顔をまじまじと見ているうちに、ちょっと似てるんじゃないかな、と思えてきたのである。

 えらの張った輪郭、やや分厚い唇など、顔のパーツや要素がどことなくさかなクンと共通している気がした。

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【麺随想】40分並んで出てきたつけ麺に対して、何をやっとるんだね、君は。

【麺随想】40分並んで出てきたつけ麺に対して、何をやっとるんだね、君は。

 初夏であった。比較的最近のことである。

 平日に休暇が取れた僕は、少し遠出をしてかねてより目をつけていたつけ麺を食べに行くことにした。

 電車に揺られ55分。そこから歩いて15分。着いてみると、昼の2時前にもかかわらず、20人ほどの行列であった。さすが人気店である。普段はあまり、行列に並ぶことをしないが、その日はせっかくの訪問である。僕は歩道に沿って伸びる列の最後尾に並んだ。

 僕の目前に

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麺の曲の話【NDLs.03】Pilgrim in The U.K.K.(その②)

 NDLs(ヌードルス)3曲目、「Pilgrim in The U.K.K」についての文章、第2回目である。
 今回はまず歌詞から。

<歌詞>
ふと目覚めた午前4時
船の中はすでに起き出して
「海と空のあいだ」は
闇にとけて見えやしないけど
港では煙たて
我れ先にとトラックの列
その隙間を縫うように
西へと駆けてくスーパーカブ

巡礼者を悩ませる
この1時間のタイムラグ
朝もやに待ち焦がれたよ
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麺の曲の話【NDLs.03】Pilgrim in The U.K.K(その①)

 NDLs(ヌードルス)3曲目。タイトル「Pilgrim in The U.K.K」は「うどん県香川巡礼者」を表している。
 すなわち、讃岐うどんの食べ歩きをテーマにした曲である。

<僕と讃岐うどんのこと>
 僕が初めて香川県を訪れたのは、大学を卒業した次の年だったから、もう20年も前のことになる。
 当時、「麺通団」の「恐るべきさぬきうどん」シリーズが一世を風靡しており、讃岐うどんブームがピー
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【非麺エッセイ】歩車分離式

【非麺エッセイ】歩車分離式

 前回、四文字の駅名に対してのこだわりを記した僕だが、最近になってまたしてもあるワードが気になって仕方なくなっている。

 「歩車分離式」という言葉がそれである。

 皆さんも信号の下にこの言葉が書かれた看板がぶら下がっているのを、一度ならず見たことがあるだろう。

 この信号機は文字通り歩行者用の信号と自動車用の信号を分離していて、歩行者が通行中は自動車用の信号は全て赤になり、実に安全であ

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【非麺エッセイ】漢字四字の駅名

【非麺エッセイ】漢字四字の駅名

 漢字四文字の駅名が好きだ。
 ということに最近気がついた。

 「関目高殿」とか「鴻池新田」とかいう名前を聞くと、なんだか心の琴線が震えてしまうのだ。
「なんかいいな」という気持ちになってしまう。

 しかし、漢字四文字の駅名なら何でも良いというわけではない。
 例えば「甲子園口」とか「北鈴蘭台」とかはよろしくない。
 一字+三字とか三字+一字の構成はいけない。グッと来るものがない。

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麺の曲の話【NDLs.02】つけ麺讃歌

 2曲目。タイトル通り、つけ麺をテーマに作曲した。
 
 僕は麺という名のつくものなら、分け隔てなく愛することをポリシーにしている。どんな麺にも必ずストロングポイントがあるはずで、それを見つけ出すことこそが、真に愛麺家と呼ばれる者の振舞いではないだろうか?
 自称麺好きが「あの店、マズいわ」とか声高に麺を罵っているのを聞くと、僕は思わず固く拳を握りしめてしまう。心の中で。そもそも、マズいという言葉
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麺の曲の話【NDLs.01】拉麺紳士

 アコースティックユニット「ラボレムス」のボーカル、作曲・作詞担当にして唯一のメンバー、西谷ジェントルマンと申します。ヌードルシンガーソングライターを自称し、麺の曲を作っては歌っております。
 5月より、YouTubeで自作のヌードルソングを公開し始めまして、皆さまにご視聴いただいております。ありがたい限りです。
 今後はnoteに曲のことを中心に、麺のこと、日々のこと、様々なことをつれづれとつづ
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