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エッセイ

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啓発されることの危険性

啓発されることの危険性

僕はいわゆる自己啓発とかモテるための動画みたいな『成功するためのメソッド』が羅列される話が好きじゃない。

なぜなら『成功』への捉え方があまりにも資本主義的な世界観すぎるためそこに『意志の力強さ』を感じられないからだ。

ここで僕が言う『意志の力強さ』とは『欲求に対する意志の力強さで』はなく『世界に対する意志の力強さ』のことである。

金があればそれはないよりもいいだろう。

モテるということもモ

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人の気持ちなどわからない!

人の気持ちなどわからない!

僕は「人の気持ちがわかる」という慣用語は好きじゃないし、そんなことは不可能なことだと思っている。

ハッキリ言って僕は人の気持ちなんて全くわからない。

そもそも人は自分自身の気持ちすらはっきりとわからないことだって少なくないのに、それでいて人の気持ちなんてわかるわけないし、もしも本当に人の気持ちがわかる人がいたらその方は多分エスパーだ。

僕は大学生の時に心理学を学んでいたので「やっぱり人の気持

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『どうでもいいこと』に生きる

『どうでもいいこと』に生きる

『どうでもいいことにこだわる』というのは非常に人間的な営みだと思う。

人間の知識や文化は大抵が生命保存に直結しない『どうでもいいこと』への追求の繰り返しで建築されてきた。

人は飯を食べなければ死んでしまうけれども、別にラーメンを啜る必要はない。

人は種を残さなければ絶滅してしまうけれども、別に一夫一妻性である必要もない。

人は美学なんてものがなくても生きていけるけれども、しかしそうすると人

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【2024/05/04の気持ち】

【2024/05/04の気持ち】

愛しき日々を思いましながら詩を作っている。

痛みと快感が同時に心に鬩ぎ合う。

これこそまさに魂のリストカットだ。

痛くても引きちぎってしまうささくれのように

痛くても噛み潰してしまう口内炎のように

破壊的な創造の中心部に夕焼けの哀愁を宿している。

【中原中也詩集を読んで】

【中原中也詩集を読んで】

先日購入した、太田治子さんの著作

『中原中也詩集』について話していきたい。

汚れつちまつた悲しみに

今日も小雪の降りかかる

汚れつちまつた悲しみに

今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは

たとへば狐の革裘

汚れつちまつた悲しみは

小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは

なにのぞむなくねがふなく

汚れつちまつた悲しみは

懈怠のうちに死を夢む

汚れつちまつ

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前橋ポエトリー・フィスティバル2024/街なか展覧会参加レポート。

前橋ポエトリー・フィスティバル2024/街なか展覧会参加レポート。

詩を作るようになって5ヶ月

これまで細々と詩を作ってはネットに投稿することを繰り返してきたが、遂に今回初めて文学系のイベントに参加をしてみた。

X(旧Twitter)やnoteにて相互フォローをしていただいている新井隆人さんという詩人さんを通して知ったこのイベントは、僕の地元でもある群馬の前橋にて毎年開かれているイベントで、詩や写真や絵やポエトリーなどの様々なジャンルから多数のアーティストさん

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【Aくんとの誓い】

【Aくんとの誓い】

月1〜2回前橋の病院に通院してるので、通院ついでに前橋に住む友人Aくんと桜を見たり酒を飲んだりしてきた。

彼は大学に入ってすぐからの付き合いで、とても気の合う面白い人だ。

なんせ僕がどれだけバカなことをしても、世間から逸脱したことをしても腹を抱えてそれを笑ってくれるものだから非常に一緒にいて心地が良い。

僕がが過去に友人の連帯保証人になって100万以上の借金を作った時も、訳あってアンダーグラ

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【鈍色】

【鈍色】

額縁に飾られている豚のような気分だ。

鈍色の空から降り注ぐ雨粒が肉塊を抉りやがる。

頭を掻きむしって、お隣さんの迷惑にならないように嗚咽混じりの唸り声を地の底に思い切り響かせる。

こんなもんやってたってなんにもなりゃしないんだよ、とアセファルを羨みながら呟く。

これはもう吐血だ。

悲しみと痛みを吐き出す言葉には、鮮明すぎる血が混じってる。

四方八方から降り注ぐ痛みが脳をギュッと締め付け

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子どもの作る詩に心打たれ(日記)

子どもの作る詩に心打たれ(日記)

昨日は仕事で小学生の教え子と散歩をしながら詩を作っていた。

広々とした公園で足を揃えて思案に耽る中、児童が「時は今 価値観壊して 進んでく」という詩を詠み、その能動的なダイナミックさに感銘を受けたし

その後には「雑草は 大きさなどでは 比べられられぬ」ともうたってて、自分が作った詩よりも印象的だし、好きだなぁと感じた。

詩の技巧云々に関しては後から勉強すればよいもので、それよりもこの素直な若

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『発達障害者としての僕』に対する洞察①

『発達障害者としての僕』に対する洞察①

僕は、自分自身が発達障害の身にして、所謂「療育」という仕事をしている。

高校の時に心理学の本を読み耽っていた親友に「キミたぶんAD/HDだよ。」と言われたことをキッカケに心理学に強い興味を抱いた。

発達の疑いがある人が、実際に診断を貰った時の心境は様々だが、僕の場合はすぐに診断を貰わなかったものの、AD/HDについて独学で調べている中でとてもワクワクした気持ちになったことを今でもハッキリと覚え

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【それぞれの孤独】

【それぞれの孤独】

孤独の前に人は皆、例外なく平等に悪人だ。

それぞれの孤独

誰も悪くなどなく だからこそ誰もが大罪人なのだ。

孤独の前に人は平気で嘘をつき、他人は愚か自分に対してすら世紀の大嘘つきとなる。

彼の孤独に寄り添うなどという言葉も、所詮は自分の孤独を紛らわすための大義名分に過ぎず、少しでも自分の寂しさを忘れるため、己の安定を図るため……誰もが孤独との惨たらしい戦いの中で日々もがいている。

人はエ

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「無条件の優しさ」

「無条件の優しさ」

強さとは悲しさだと思った。

その人が生きてきた人生の中で、そうでなければ生きられなかったんだということを強烈に叩きつけてくるような、慟哭の裏返しが「強さ」なのだと僕は感じた。

特に「無条件の優しさ」を持つ人はその最たる例であり、微笑みの奥底から半透明の姿で涙ながらに悲痛の訴えを叫んでくる。

心と心の対話を重ねるうちに、やがて半透明の姿はくっきりと濃い現実の色を纏うようになり、自らの抑圧からこ

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【非常識家の常識】

【非常識家の常識】

幼き頃から僕は「常識的に考えろ」と言われ続けてきた。

昨日僕は児童たちに「常識というものを考えろ」と語った。

療育という仕事をしていると、度々発達障害というのは人から嫌われる障害だなぁと感じる。

特に、大人からはよりそれが態度に出されやすいものだろうとも感じるところだ。

僕は生まれつき生粋のAD/HDで、短い期間ながら通った保育園ではお昼寝の時間になると外へ出かけようとし、活動の時間になる

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【僕のクリスマス嫌いについて】

【僕のクリスマス嫌いについて】

僕にとって、クリスマスイブとクリスマスとは一年の中で最も悲しく狭苦しい思いをする、地獄のような2日間だ。

それ以前に、そもそも11月とか12月の暗く陰鬱で、神経がぐちゃぐちゃになっていく季節感が好きではない。

例えば地理の側面から人を見てみても、北国のような寒い地方では鬱病を発症しやすかったり、なにかと精神が下向きになることが多く、反対に温かい地域においては、朗らかで陽気な気質になりやすいと聞

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