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世相を邪推する書き物

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世相を邪推することに命を懸けています。あ〜邪推してえ!
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なぜデビッド・フィンチャーの復讐の描き方は痛いのか?

なぜデビッド・フィンチャーの復讐の描き方は痛いのか?

デビッド・フィンチャーといえば復讐であり、それはそれは痛々しい。
単にグロテスクと一蹴するも良し、しかし過剰なまでの生々しい痛覚映像化の手腕は天才的である。
ドラゴン・タトゥーの女の例のシーンは言うまでもなく、ファイトクラブの社会への復讐としての裸の暴力とビルの崩壊シーン、ソーシャルネットワークの友人を失う瞬間、ゴーン・ガールの馬鹿な亭主の醜悪なバカさ加減・・・ただ身体的な痛みではなく、様々な「痛

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引きこもりは日本的土壌が育んだ最適解

引きこもりは日本的土壌が育んだ最適解

「引きこもり」は日本特有の『症状』であると言われる。
欧米では若者を個人主義よろしくいち早く社会人として世に送り出すことを是とし、中華圏では厳しい学力競争に打ち勝つことにより若者を一族の代表として期待することは当然とされている。
日本はこの西洋と東洋の近代若者感を神仏習合しつつ、独自のイエ・ムラ的な土台からカテゴライズし、リクルートスーツを着込んで集団就職するという帰結に至った。
欧米や中華圏より

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安倍元首相射殺事件で暴露された日本社会の構造

安倍元首相射殺事件で暴露された日本社会の構造

信じられないニュースが世界中を駆け回った。
元首相が公衆の面前で、しかも手製の銃により暗殺された。
その後の政治家やメディアの右往左往ぶり、そして一般国民の野次馬根性、まさしく二発の銃弾で日本社会の構造が暴露された事件であるといってよいだろう。

犯人の動機や残されたTwitterなどの言説より、統一教会により家庭を破滅させられたことへの復讐というのは間違いなさそうである。
「では統一教会関係者を

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なぜcoten radioが中国の皇帝になって、ゆる言語学ラジオがランジングしているのか?

なぜcoten radioが中国の皇帝になって、ゆる言語学ラジオがランジングしているのか?

僕はポッドキャストのヘビーリスナーである。
通勤の往復1時間もあれば、けっこうな量のポッドキャストを視聴できる。
ちょうどポッドキャストを聞き始めた時に始まったのが、coten radioである。
coten radioとは、株式会社coten代表深井龍之介さんを中心に歴史のあんなことやこんなことを非学術的に語る番組である。
これが面白かった。
何が面白かったかというと、全く歴史の専門家でもない人

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サイゼリヤ女子騒動は結局もったいないという話

サイゼリヤ女子騒動は結局もったいないという話

失われた30年、老後2000万円問題や就職氷河期世代や8050問題などなどなど問題は頻発しているが、政治は目先の利権を死守することにだけ終始し、メディアは無責任に煽るだけの年月を経て、国民は貧困リアリストになってしまった。
勝ち組負け組という経済的指標でのみ人間を評価するのは今に始まったことではないが、それが生命のリスクにまでリアルに感じてしまうくらいこの国は貧しくなった。
ここでいう貧しいとは、

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なぜ我々は「ポカリスエットのCM」にムカつくのか?

なぜ我々は「ポカリスエットのCM」にムカつくのか?

ポカリスエットのCMといえば、青春の汗飛び散る仲間たちとの甘酸っぱい思い出であり、集団ダンスやらなんやらで兎にも角にも青春である。
しかし、なぜだろう?シンプルにムカつくのである。
この感情は、学生時代に自らを「非リア充」であると自認していたものにとっては共通感覚だろう。
それは結局の所、『押し付けられた青春像』に何らかの理由で参加できなかった過去の自分への後悔であり、そしてそういった社会から『押

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意識高い系のやりがい搾取共同体マーケティングとその不幸

意識高い系のやりがい搾取共同体マーケティングとその不幸

昨今、昭和型生産至上主義的企業はどんどん潰れていき、若者の就職先としての人気は皆無となっている。

現在、若者の就職先としての人気とされているのは、ウェルビーイング的なセカイ系スタートアップ企業だ。

「されている」と書いたのは、雑誌やインターネットの著名人がそう言っているからだ。

やりがい搾取による空虚なブルシットジョブではなく、利益の追求一辺倒ではない社会や環境のためになる利他的なやりがいの

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小学一年生の僕へ贈る手紙『社会に合わないという自覚があるのなら、社会の価値観に自分を適応させようと無駄な努力をするな』

小学一年生の僕へ贈る手紙『社会に合わないという自覚があるのなら、社会の価値観に自分を適応させようと無駄な努力をするな』

京王線刺傷事件とJOKERの関係性を書いたが、僕自身強く思うのは『社会に適応できないという不安が強いのに、なぜ社会の価値観に自分を適応させ続けようとするのか?』ということだ。

もちろん人間的な生活より経済最優先の現代において、プラグマティックな戦略で社会に適応するように努力するのは当然の人生戦略だとは思う。

だが、発達障害関連の言説の悲喜こもごもを眺める限り、「社会に適応できない発達障害が悪い

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YouTubeで子どもを育てている親御さんたちへ

YouTubeで子どもを育てている親御さんたちへ

我が子(4歳)は今日もYouTubeに夢中。

起きている時間はほぼYouTubeを食い入るように眺めている。

我が子が特に好きなのは、いい年したおっさんが子ども用おもちゃで遊んでいるクソ情弱ゴミ動画。

あからさまな資本主義迎合態度によって生み出されたこのクソ情弱ゴミ動画だが、子どもには受けが良い。

アンパンマンやプリキュアの最新おもちゃが、甲高いおっさんの声で紹介されているだけのクソ情弱ゴ

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