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一億総宦官社会

どうも、学生時代、真三國無双にどっぷりハマっている間に社会から無双されて落ちこぼれていた僕です。
いや〜一億総中流社会から一億総活躍社会を経て、ついに一億総宦官社会になりましたね。

宦官とは、世界史を覗けばいろいろな国家や文明において陰惨な権力闘争でホモ・サピエンスらしさを全身(一部除く)で表現していた彼奴らです。
皇帝などの権力者は常に疑心暗鬼、故に身辺の世話や嫁さんたちの周りには非マッチョかつ自らの権力に挑戦権を持たない下僕を必要としています。
そこで選ばれたのが宦官です。

宦官とは、メンズのメンズたる象徴をちょん切ってクラスチェンジすることで成れちゃいます。簡単ですね。
起源は定かではないですが、どうも遊牧民族が家畜を去勢することで大人しくさせるという技術が魔改造されてそうなったらしいです。いや〜ホモ・サピエンスは魔改造が大好きですね。もう象徴がミニ四駆なわけですよ。
象徴がキメラの翼で飛んでいってしまったわけですから、子孫を残すことができませんし、身体も女性化しマッチョにはなれません。
すると権力を継承することもできず、財を成すことも意味がなく、パワーがないので脅威にはならない・・・という建前であったのでしょうが、ホモ・サピエンスは三大欲求の一角が消し飛んだことで、より権力欲を過激にマシマシした化け物に進化するのでした。
宦官は権謀術数を使い、皇帝に取り入り、時には王朝を転覆させるレベルの専横により、権力の毒に侵されるのでした。

一億総宦官社会となった日本、その根拠は目先のパイにしがみつかざるを得ない状況、これです。
宦官は戦争捕虜だけでなく、自らちょん切ってクラスチェンジした人間が、宮廷という狭い世界に身を投じるのです。
なんでまた自らちょん切ってまで宮廷に入るのかというと、当時の社会で下層民が出世というか生きるためにはそれしか無かったという状況がありました。
宮廷は息苦しく陰惨な権力闘争の場であり、少しのミスで象徴どころか首まですっ飛んで、もしくは閲覧注意のあんなことまでされちゃう始末。
ですが、生きるためにはそれしか無かったという追い込まれた状況の中で、そこに飛び込んだのです。

自由といわれる日本社会ですが、格差社会を超えてもはや階級社会化している現状、くだらない成功譚ももはや絵空事となり、子どもたちの夢はYouTuberです。
希望のない社会において、人々は自ら象徴をちょん切ってでも狭い世界のパイの奪い合いに参加するのです。
例えば、薄給ブラック企業や業界がブラックなエッセンシャルワーカーなどなど、最近では地方公務員なんかもそうです。
彼らの目は内向きです。宦官のように、象徴を売り渡すことで狭い生存権を与えられ、その中で文句も言わず働きます。
新自由主義ーグローバル経済化した現代において、労働者の生殺与奪は資本家に握られていますが、それを「まだマシ」と労働者自ら放置しています。
おっと、僕はマルクス主義者ではありませんよ。象徴の話をしているのです。おっと、といっても宦官のちょん切ったアレではなく、人間の人間たる象徴の話をしているのです。
我々はそんな奴隷になるために、狭い世界でバトルロワイヤルをするために生まれてきたわけではありません。
しかし、社会のプロパガンダに操られ、労働者内での無益な比較闘争の末、あたえられた場所で咲いとけと言われ、ただ納税して生かされている。
表立って文句も言えず、狭い世界での生存闘争に忙殺され、気づいたら死んでいる。狭い世界での権力闘争に打ち勝ったものは、しかし不幸でしかない。
一億総宦官社会とは、自らの象徴である生きる喜びをちょん切って、少しでも隣人より豊かな場所を確保しようと躍起になり、狭い狭い世界での権力闘争に忙殺され、気づけばもっと上位の権力闘争に巻き込まれているだけの人生。
これが一億総宦官社会である。


そういった宦官のような内向きのベクトルに縛られた生活というのはさっぱり面白くない。
権力者に媚びへつらい、狭い世界での生存権をありがたく拝聴するなんてのは極めてダサい。
かといって今の社会で成功とされている人々が羨ましいのであれば努力せよ、より社会に媚びへつらい、労力と時間をかけて社会にライフハック的に寄り添うことで「豊かな生活」は手に入る。これはこれで良き社会といえる。
しかし、そのどちらも不服な自堕落な人間は、象徴を切り落とすなかれ。
足掻き続け、反骨心を怒りに変え、そして慎ましくそれなりにパンクに生きるのである。
宦官にはならず、梁山泊となれ。媚を辞め、侠に生きよ。
そんな難しいことではない。あたえられた場所などはじめからなく、狭い世界を認めず、凝り固まらない縦横無尽な知識を得てライフハック的に生きていれば良い。
他人(宦官)と比較させることで社会は上昇気流を生み出し、人々を操っている。
蜘蛛の糸に群がる群衆がそれだ。
屹立する野暮な象徴こそ、本来の自分なのである。

※この記事は久しぶりに蒼天航路を読んだ筆者により書かれています。ならばよし。


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