エルネスト夏原〜無意識高い系教育メディア

高度情報化社会におけるブルシットな要約文化に反旗を翻す非要約一見さんお断り教育メディア…

エルネスト夏原〜無意識高い系教育メディア

高度情報化社会におけるブルシットな要約文化に反旗を翻す非要約一見さんお断り教育メディア。 低学歴ながらWikipediaとブックオフでチープ象牙の塔を築いたエルネスト夏原が、非体系的な雑文を無理やりマネタイズしたい今日このごろ。

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最近の記事

令和邦画しぐさとしての最高峰「ゴジラ-1.0」

落日を超え地中深くまで沈降していく昨今の邦画であるが、天下のアカデミー賞まで手にした「ゴジラ-1.0」 「ゴジラ」という邦国が生んだ珍しき哲学的キャラクターを、「シン・ゴジラ」は3.11後の天災とともに生きてきた邦国の歴史とそれに人間は成すすべもない原初的体験を見事に群像劇として書き上げた。 GODZILLAはその誕生の悲劇の責任を当てつけられている当の彼の国により、キングコングと殴り合うMONSTERとされている。 ゴジラ-1.0はどうか? 人気役者+感動ドラマ+安心脚本

    • 映画『オッペンハイマー』レビュー〜責任という名の虚構に踊らされるプロメテウス

      映画「オッペンハイマー」を見た。 クリストファー・ノーランの映画は必ず映画館で見ることにしている。 時の魔術師クリストファー・ノーランは、「インセプション」では断層的な夢の世界の時の魔術を、「ダンケルク」では空間と速度における時の魔術師を、「テネット」では時間さえ逆行させてしまう大魔道士となった。IMAXフィルムを使ってね。ホイテマ。 「オッペンハイマー」は時の魔術師としての新たな秘術を・・・と思いきや、「メメント」のような回想と回想をカラーとモノクロで行ったり来たり・・・あ

      • 東浩紀「訂正可能性の哲学」書評〜生きづらさと訂正可能性

        簡単に言えば、現代社会は訂正可能性をどんどん排除していっているが、それは大丈夫なのか?という話。 一番わかりやすい例は、AIを利用した人工知能民主主義への批判である。 人工知能民主主義は、グーグルが広告へ誘引するようにある個人を様々な日常生活の情報からあるカテゴリへと選別していくような評価社会=監視社会をいう。 そういった社会では、寝てばかりいる人間の政治家よりはマシであろうと、何でも「統計上の正しさ」で政治運営していく人工知能による政治が一部で持て囃されている。 しかし、一

        • なぜあなたは空気が読めないのか? 「空気を読む」歴史と発達障害の誕生

          なぜ「空気を読む」ことが求められるのか空気が読めないことは、現代社会において非常に厄介な問題とされている。 権威が提供していた社会維持システムである大きな物語が終焉し、産業構造の転換により高度な情報社会と個人主義が跋扈し、「空気を読む」というコミュニケーションスキルがなければ「社会不適合者」の枠印が押される。 大きな物語とは、簡単に言えば無数の人々を押し込めて統治するためのわかりやすいストーリーだ。カースト制度のような身分制度はわかりやすい。宗教や国家や文化などの権威が規定し

        令和邦画しぐさとしての最高峰「ゴジラ-1.0」

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        • 映画
          10本
        • 発達障害者推薦図書
          5本
        • いわゆる発達障害ライフハック
          12本
        • 書評
          9本
        • 世相を邪推する書き物
          9本
        • 歴史
          1本

        記事

          今年読んで何かしら刺さった本

          今年一番のぶっ刺さり本「万物の黎明」世界の「働きたくないでござる症候群」の皆様の教祖デビッド・グレーバーの最後の著作。 惜しくも亡くなってしまったデヴィッド・グレーバーといえば「ブルシットジョブ」に代表される反社会的著作でおなじみ。 文化人類学を土台に現代社会への鋭い批判、というか抜本的ジャーマンスープレックスをかます雄姿はウォールストリートでも炸裂させていた。 文化人類学から見た現代社会は、非人間的で異常なのだ。 そして、ホッブズやルソーが生み出した社会契約的近代国家、西洋

          「ジョジョ・ラビット」と大人はつらいよ

          ジョジョ・ラビットに出てくる大人たちは皆、ひたすらに濃厚な俗物として描かれている。 大人とは社会の何かしらのポジションに屹立するセルロースの塊、動けない生命である。 大人とは成長するにつれ、親ガチャや社会との適合性、社会からの要請への返答次第で、社会の用意された場所へ自ら出向くか流されるかでどこかに収まるのである。 ジョジョの母親、第二次世界大戦期にしてはフェミニンごりごりの強き女性ではあるが、彼女のアイデンティティは反戦活動家でありナチへの反抗というポジションにあることで

          「ジョジョ・ラビット」と大人はつらいよ

          なぜデビッド・フィンチャーの復讐の描き方は痛いのか?

          デビッド・フィンチャーといえば復讐であり、それはそれは痛々しい。 単にグロテスクと一蹴するも良し、しかし過剰なまでの生々しい痛覚映像化の手腕は天才的である。 ドラゴン・タトゥーの女の例のシーンは言うまでもなく、ファイトクラブの社会への復讐としての裸の暴力とビルの崩壊シーン、ソーシャルネットワークの友人を失う瞬間、ゴーン・ガールの馬鹿な亭主の醜悪なバカさ加減・・・ただ身体的な痛みではなく、様々な「痛み」といて反応してしまう感覚をリアルに描く。 それは復讐とは痛みの先にあるものだ

          なぜデビッド・フィンチャーの復讐の描き方は痛いのか?

          世間の生み出した「宮崎駿」を宮﨑駿がパロディーにした映画『君たちはどう生きるか』

          宮﨑駿監督『君たちはどう生きるか』を満を持して見てきた。 エンディングロールが流れる瞬間まで、「このまま終わってしまうのか?」という不安な気持ちを抱えていた。 見終わったときの感想は、自伝的映画であるということだ。 黒澤明監督晩年の映画「夢」「まあだだよ」のような走馬灯的イメージが脈絡なく繋がる自伝的回想夢であり、フェリーニの『8 1/2』のような自嘲的な総括のようでもあった。 そして「宮崎駿」を知るものほど意識させられる過去作品のオマージュや再現カットと、宮﨑駿本人の「歴史

          世間の生み出した「宮崎駿」を宮﨑駿がパロディーにした映画『君たちはどう生きるか』

          引きこもりは日本的土壌が育んだ最適解

          「引きこもり」は日本特有の『症状』であると言われる。 欧米では若者を個人主義よろしくいち早く社会人として世に送り出すことを是とし、中華圏では厳しい学力競争に打ち勝つことにより若者を一族の代表として期待することは当然とされている。 日本はこの西洋と東洋の近代若者感を神仏習合しつつ、独自のイエ・ムラ的な土台からカテゴライズし、リクルートスーツを着込んで集団就職するという帰結に至った。 欧米や中華圏より社会的合理性圧力は穏やかではあるものの、同調圧力が極めて強い独自の文化となったの

          引きこもりは日本的土壌が育んだ最適解

          なぜ発達障害者とネグレクトを受けた子供は社会に適応できないのか?の根本原因

          社会に適応できない人々の中でも多くを占めるのが、発達障害者とネグレクトを受けた子供であると思う。 学校では問題児扱い、社会に出てもいわゆる普通の人と一緒にできない。 コミュニケーションが不得手であり、そこから発する諸問題により「適応できない」との烙印を押されてしまう。それも自己責任として。 ここでいう社会に適応できないというのは、本人がそう思っていること、そう思わざるを得ないと感じていることを指す。 発達障害とネグレクトを受けた経験のある人々が社会に適応できないのは、社会がそ

          なぜ発達障害者とネグレクトを受けた子供は社会に適応できないのか?の根本原因

          安倍元首相射殺事件で暴露された日本社会の構造

          信じられないニュースが世界中を駆け回った。 元首相が公衆の面前で、しかも手製の銃により暗殺された。 その後の政治家やメディアの右往左往ぶり、そして一般国民の野次馬根性、まさしく二発の銃弾で日本社会の構造が暴露された事件であるといってよいだろう。 犯人の動機や残されたTwitterなどの言説より、統一教会により家庭を破滅させられたことへの復讐というのは間違いなさそうである。 「では統一教会関係者を狙えば良かっただろう」という巷の声をチェリーピッキングすることでメディアは潮目を

          安倍元首相射殺事件で暴露された日本社会の構造

          スクールカーストによる洗脳に気づけば人生楽になるよという話

          スクールカーストといえば、学生時代に誰もが感じたであろうクラスの中のヒエラルキー。 簡単に言えばリア充、非モテ。更に細かく分けると、アメリカの学園映画でおなじみのスポーツ万能体育会系やモテ男子女子軍団を頂点とし、末端はオタクにKYなどなど。 本質的なことをいえば、これは安全欲求が満たされた同質的な集団があれば必ず生じる集団形成の澱のようなものだ。 なぜ我々はヒエラルキーを生み、そしてその中だけの世界しかないと信じ込み、ヒエラルキーの序列に準じたキャラクターを演じようと空気を

          スクールカーストによる洗脳に気づけば人生楽になるよという話

          生き辛さの原因を隠し続ける社会

          生き辛さを抱える人々は延々と苦悩し続ける。 それは終わりなき苦しみ・・・ではない。 だが、なぜあなた達は生き辛さを抱えているのに根本原因を探ろうとしないのか? 「自分が悪い」「コミュ障だから」「あいつが悪い」「いじめが悪い」「大人が悪い」「日本が悪い」 そうではない。 あなたが生き辛さを抱えているということは、生き辛さを抱えていない人間もいるということだ。 なぜなら生き辛さとは、他者との比較の上で感じる『適応感』であるから。 学生時代や社会人になって、「なぜあいつはあんなに適

          生き辛さの原因を隠し続ける社会

          イカゲーム見て楽しんでるやつは人生の傍観者

          Netflix史上最大の世界的ヒットドラマ「イカゲーム」 内容は韓国メディアの基本フォーマットである「格差」に、バトルロワイヤルとカイジを煮込んでトッポギを添えたようなドラマである。 正直なところ、韓国の格差社会の闇はドラマや映画からはみ出して嗚咽が聞こえるくらいのリアリティを節々に感じるので、逆になぜ今までこのドラマが誕生しなかったのかということのほうが疑問である。 ストーリーは格差社会の風刺としては王道中の王道であり、古くはローマ帝国の時代にまで遡る「金持ちが貧乏人を金

          イカゲーム見て楽しんでるやつは人生の傍観者

          なぜcoten radioが中国の皇帝になって、ゆる言語学ラジオがランジングしているのか?

          僕はポッドキャストのヘビーリスナーである。 通勤の往復1時間もあれば、けっこうな量のポッドキャストを視聴できる。 ちょうどポッドキャストを聞き始めた時に始まったのが、coten radioである。 coten radioとは、株式会社coten代表深井龍之介さんを中心に歴史のあんなことやこんなことを非学術的に語る番組である。 これが面白かった。 何が面白かったかというと、全く歴史の専門家でもない人たちがささっと目を通した歴史の一般書(を中心に)をまとめたものを何となく構造的に

          なぜcoten radioが中国の皇帝になって、ゆる言語学ラジオがランジングしているのか?

          人生「主人公感」が大事だが、それは本当にあなたの主人公感?

          僕は現代人に最も必要な自己肯定感は、「主人公感」であると思う。 そもそも現代社会は自己肯定感を必要とさせる。 これは2つの理由がある。 1つ目は、現代社会では個性が埋没してしまうからだ。 社会システムが高度に発達した今、個人はシステムの中の歯車であり、全体性やグループとして処理されている。 よって「生きている実感」が生じにくい。 これがひどくなるとうつ病や精神病になってしまう。 これは豊かな現代社会の負の部分だ。 2つ目は、消費経済への誘導である。 個性を失った個人は、個

          人生「主人公感」が大事だが、それは本当にあなたの主人公感?