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令和邦画しぐさとしての最高峰「ゴジラ-1.0」

落日を超え地中深くまで沈降していく昨今の邦画であるが、天下のアカデミー賞まで手にした「ゴジラ-1.0
「ゴジラ」という邦国が生んだ珍しき哲学的キャラクターを、「シン・ゴジラ」は3.11後の天災とともに生きてきた邦国の歴史とそれに人間は成すすべもない原初的体験を見事に群像劇として書き上げた。
GODZILLAはその誕生の悲劇の責任を当てつけられている当の彼の国により、キングコングと殴り合うMONSTERとされている。

ゴジラ-1.0はどうか?
人気役者+感動ドラマ+安心脚本+オタク的カルチャー消費
という昨今の邦画しぐさを完全に網羅した委員会方式バンザイ映画となり、「予定されていた」適時打を放った。
初代ゴジラ、昭和怪獣映画としてのゴジラ、リバイバル平成ゴジラ、シン・ゴジラを経て、感動ドラマゴジラ-1.0である。
わかりやすい復讐モノ、家族愛、恋愛、友情、勝利、ナショナリズム、反戦メッセージ、オタク的カルチャー、全方向への土下座映画となっている。
これでよいのが昨今の邦画である。
映画産業も商売だ。素晴らしい結果であろう。
そこにはゴジラというブランドの適切かつ適度な消費がある。
その適度な甘い世界観に、魁男塾的ご都合ストーリー、さらに家族愛等の古典的砂糖コーティング、まさに完全無欠な適度映画。
素晴らしい!

ゴジラ-1.0のゴジラは、ただの怪獣であり、かつての先輩同様理由もなく日本に現れ、登場人物たちとの関係性がドラマになり、それでいて感動以外の感想を残さない。ケツを拭いても何もつかない。
これぞ令和邦画の最高峰!

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