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基礎からわかる英文契約書              目次と予備知識


この note の執筆者、中村秀雄の「開講の辞」と「自己紹介」はこちら

目次

前書きにかえて〜予備知識 英文契約書というもの~
第1話 国際契約はなぜ長いのですか?
第2話 国際契約書には何が書いてあるのですか?
第3話 「契約書」はContractですか、Agreementですか?
第4話 Contract や Agreement って、「契約書」のことですか、それとも  「契約」のことですか?
第5話 実際の契約書を読むーはじまり、はじまり
第6話 英文契約書特有の表現  'made and entered into'
第7話 契約書に日付がなかったらどうなりますか?
第8話 契約書の日付はいつにしたらよいのですか?
第9話 当事者の名前ー誰と契約しているのですか?
第10話 当事者の表示ー会社の名前はどう書けばよいのでしょうか?
第11話 当事者の表示ー会社はちゃんと存在していますか?
第12話 当事者の住所とは何でしょう?
第13話 契約書の中で、当事者をどう呼べばよいでしょうか?
第14話 契約には、どこの国の法律が適用されるのですか?ー契約の準拠法(1/3)
第15話 正解がいくつもある問題!ー契約の準拠法(2/3)
第16話 準拠法はどのように決まるのでしょうか?ー契約の準拠法(3/3) 
第17話 定義した語と「定冠詞 the」「不定冠詞 a」の使い方を考えてみましょう
第18話 冠詞の使い方について、もう少し考えてみましょうー A Party, the Parties, Parties
第19話 定義の作り方(1)
第20話 定義の作り方(2)
第21話 契約書の最初に出てくる Whereas や consideration とは何でしょうか?
第22話 Witnesseth って英語ですか?
第23話 売買契約書をどう書くか (1) ー売主は何をするか
第24話 売買契約書をどう書くか (2) ー買主は何をするか
第25話 売買契約書をどう書くか (3) ー実例検討①
第26話 売買契約書をどう書くか (4) ー実例検討②
第27話 役務提供契約書をどう書くかー当事者は何をするか
第28話 ライセンス契約書をどう書くかー当事者は何を約束するか
第29話 国際契約書の記載事項ー当事者の約束に続くこと
第30話 一般条項(1)ー必要なのでしょうか?
第31話 一般条項(2)ー両当事者に等しく適用されるべきでしょうか?
第32話 一般条項(3)ー解除条項ほか
第33話 一般条項(4)ー紛争解決条項ほか
第34話 一般条項(5)ーその他
第35話 英文契約書を実際に書くー文章でなければなりませんか?
第36話 英文契約書を実際に書くー文章にする(1)
第37話 英文契約書を実際に書くー文章にする(2)
第38話 英文契約書を実際に書くー文章にする(3)

英国判例笑事典
エピソード(1)   「クリケット場が先か? 家が先か?」
エピソード(2)  「シェークスピアはお好き? ―営業免許取消事件―」
エピソード(3)   「法学部の試験問題にぴったり!」
エピソード(4)   「老いぼれ裁判官には、実社会のことは分からない?」
エピソード(5) 「ハンプティー・ダンプティー登場!」
エピソード(6) 「ようこそ、パブ『英国廷』へ!」
エピソード(7) 「契約は契約かもしれないが、こんな判決は出したくな かった!」
エピソード(8) 「羨ましきかな!採点されぬ答案」
エピソード(9) 「銀行に預けたお金が銀行にない!」
エピソード(10) 「栄光あるイスラム法」対「世界の英国法」

国際契約英文法
シリーズを始めるに当たって
動詞の目的語(1)
動詞の目的語(2)
here-、there- and everywhere !?
日本評論社より本が出ました 『国際契約の英文法』
言わなくてもよいこと(1)
言わなくてもよいこと(2)
法律文書では、どうして簡単な言葉を使わないのですか?(1)
法律文書では、どうして簡単な言葉を使わないのですか?(2)
実際の契約書を検索する
契約書に副詞は出てきますか?


前書きにかえて
   〜予備知識 英文契約書というもの~

英文契約書がどうして国際的に使われているのか、英文契約書はどんな環境で使われているのかを、最初に知っておいて下さい。

① 英文契約書が最初に出来たのはイングランドです(以下では「英国」と呼びます)。当然のことですが、英国の法律の上に立って作られました。
② ところが、英国には今でさえ、契約に関する紙に書いた法律(「成文法」と言います)は部分的にしかありません。基本は不文法の国です(どこにも何も書いてないのです!)。
③ ではどうするかというと、あることが事件になって判決が出ると、そこで言われたことが、そのことに関する法原則になるのです。事件をきっかけに法原則が目に見える形になる、ということです。
④ そういうわけですから、あることが事件になって判決が出ないと、そのことに関する法原則も存在しないのです。裁判の判決が主な法律の源泉というわけです。だからよほど分かりきったこと以外は、わざわざ契約書の中に書いておかないと安心できないのです。
⑤ それはそれとして、英国の法原則は商取引にとても適していたので、英国の海外発展と共に多くの国で、基本ルールとして使われるようになりました。そのようにして英語で書かれた英国の契約の型、契約書のひな形が世界の国際取引の標準になったのです。
⑥ もうひとつ大事なこと。日本人同士の契約は日本法の上に立っていますが、国際契約は何国法の上に立っているのか(契約の解釈のもとになる法を、契約の「準拠法」といいます)というのが、そう簡単に決まらないのです。
⑦ つまり、不文法の国で発展した契約書のひな形を、準拠法の分からないところで使わなければならないのです!
⑧ さらに重要なことですが、もし紛争になったときに日本なら日本の裁判所に行きますが、国際契約ではどこの国のどの裁判所に行けばよいのかも、すぐには分からないのです。

このように、国際取引で使われる英文契約書の世界は、分からないことだらけの何とも頼りない話なのです。(☚これがポイント)

すべてはここから始まります。このことを念頭において、第1話以降を読み進めてみて下さい。



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