国際契約英文法ー実際の契約書を検索する

実際の契約書を検索するには 

基礎からわかる英文契約書」シリーズ、そして、この「国際契約英文法」のシリーズでは、多くの英文国際契約書の「実例」にふれてきました。そのような実例はどのようにすれば検索できるかをお話ししましょう。

便利なサイトを3つ紹介します。いずれも無料で登録も必要ありません。下記のそれぞれの見出しにリンク先がついています。

SEC EDGAR

まず、米国証券取引委員会(SEC)の EDGAR サイトです。ここには米国の証券取引法などの法規に従って届け出られて、公表された書類が掲載されています(契約書だけではありません)。 

まずURLを開いたら
The new EDGAR advanced search gives you access to the full text of electronic filings since 2001
というページが出てきます。

Search by keyword, ticker, company name, CIK number or individual’s name
という欄にいきなり検索語を入れてもよいのですが、そのすぐ下の
+ more search options
を左クリックすると

Keywords to search for in filing documents
Company name, ticker, CIK number or individual’s name
Filing category

という3つの欄が出てきます。これを使うと少し手間が省けるように思います。

検索語入力のヒント

(1)まず Keywords の欄に探したい言葉を入れます。複数の検索語句を入れることが出来ます。

言葉が1単語のときはそのままでかまいませんが、複数の単語からなるときは、ひとまとめにするために引用符(” … “) に包んで入れます。

たとえば「ライセンス」なら、license だけでよいのですが、「ライセンス契約書」が見たければ ”license agreement” と入れます。

ライセンス契約書中で、かつ in good faith(「善意で」、「誠意をもって」)という語句が使われている例を見たければ、”license agreement” ”in good faith” と入れます。

(2)ただし出てくる契約書は必ずしも国際契約とは限りません。証券取引委員会にファイルされる契約書は基本的には英語で書かれていますから、米国の国内契約も出てきます。

それを少し限定するために、”governing law”、“arbitration” といった国際契約書に特徴的な言葉を加えてみる方法があります。もっともこれで完全に排除できるわけではありません。米国内でも当事者の州が違えば準拠州法を選ぶ必要がありますし、紛争解決の手段として仲裁もあります。

(3)Filing category の欄を View all のままにしておくと、あらゆる書類が対象になってしまうので、プルダウンメニューから All annual, quarterly, and current reports を選んでおくと、少し範囲が絞られます。

(4)アメリカ以外の国の会社が当事者となっている契約書が見たい、と思ったどうすればよいでしょう。そのときには外国の会社の形態を表す特徴的な言葉があれば、それを入れてみます。たとえば英国の ”plc”、ドイツの ”GmbH” などです。国名を入れる方法もあります。

もっとも ”SA”と入れてみたら、フランス、ベルギー、スイスの会社のほかに、South Australia、South Africa も出てきました。

Ctrl+F の活用

英文契約書に動詞の do が使われている実例を調べたことがあります。Keywords to search には do を入れざるを得ないのですが、そうすると、documents、London、endorse など do が単語中のどこかに出てくるものが全部出てきてしまいます。

これは防ぎようがありません。けれども、出てきたリストから契約書を選んだらその後は方法があります。何もないところにカーソルを宛てて、左クリックし Ctrl を押しながら F と押すと「検索窓」が出て来ます。そこに求める言葉を入れて、 又は ∧ を押すとつかわれている箇所が出てきます。

注意することがあります。
① Ctrl+F では引用符(” … “) は不要です。
② do ではなく、do の前後にスペースを入れて do として検索します。スペースを入れることによって、documents、London、endorse などが排除されます(検索窓ではスペースも文字扱いのようです)。
③ ただし逆に does は対象から漏れてしまいます。

FindLaw

このサイトでは、会社名取引業界の種類で検索が出来ます。出てきた契約書そのものの中で特定の語句が見たければ Ctrl+F が使えます。

Browse Contracts by Company Name は会社名による検索です。最初の画面には数社しか出てきませんが、View more ≫ をクリックすると社名のABCが出てきて、知りたい会社が探せます。誰でもが知っているような会社の契約書が出てくるので、見ているだけでも楽しめます。

Browse Contracts by Type は取引の種類別です。一覧に出てこなくても太字の種類をクリックすると、その下位分類が出てきます。たとえば Business Planning のところには Mergers、Spin-offs、Stock Purchase しかありませんが、Business Planning をクリックすると6つのカテゴリーが見られます。

Browse Contracts by Industry は業界別の分類です。

onecle

このサイトでも取引の種類別に検索することが出来ます。

Business Contracts from SEC Filings とありますので、SECに登録されたものを取引形態別に集めたもののようです。

たとえば License Agreement を開くと大変な数の契約書が出てきます。私はその中で見当をつけてクリックして見ることにしています。いったん契約書を開けば、知りたい語句を見つけるために Ctrl+F が使えます。


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