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第3話 「契約書」はContractですか、Agreementですか?

実際の契約書のタイトルを見ると、両方共に使われています。どちらが正しいのでしょうか。

厳密には Contract なのですが、Agreement と呼んでも構いません。実際には全く同じ意味で使われています。(☚これがポイント)

参考のために1896年に作られた契約書の写しを付けておきます。最初の行に大きくAgreementと書いてあります。

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ところで、誤解を恐れずにはっきり言えば、契約書には名前なんてなくてもよいのです! しかし不便ですね!

そこで大抵はその契約書に書いてあることを一言で表したような題を付けます。例えばこんな具合です。
   License Agreement    技術やノウハウを使う権利を与える契約
   Sales Contract    ものを売買する契約
   Loan Agreement   お金を貸す契約

Agreement と呼ぶか、Contract と呼ぶかは、かなり慣習的なことですし、口調も影響しているようです。売買契約は Sales Agreement と言うことも多くあります。しかし例えばお金を貸す契約は、ほとんど Loan Agreement と呼ばれ、Loan Contract は、可能ではありますが、少数派です。

とにかく契約書名は、大体のことが分かれば何でもよいのです。めんどうなら Contract だけでも、Agreement だけでも構いません

Letter of Intent、Memorandum

ところで当事者の合意を書面にしたものには、他に Letter of Intent(趣意書)Memorandum(覚書) などいった名前の書類があります。これらの書面はContract や Agreement と呼ばれていないから、何の効力もないのでしょうか。
そうではありません。実は約束事の法的拘束力は、書面のタイトルで決まるのではなく、内容によって決まるのです。(☚これがポイント)
当事者で話はしたものの、まだ最終結論が出ないときに、合意した内容を忘れないように(相手に知らんぷりをさせないためにも!)、取りあえずこれらのソフトな名前がついた書類に書いておくことがあります。
けれども、その中に何かを確定的に約束した、と解釈できる記述があれば、それは<書類の名前にかかわらず>法的拘束力を持つ可能性があります。

法的拘束力を持つ、と解釈されることを嫌って、「そうではない」とはっきり書いた趣意書の一部を添付しておきましょう。

中には逆に「一定の条項には拘束力がある」、と曖昧さを排して明文で定める趣意書もあります。

このようにタイトルに関わらず、ある記述に法的拘束力があるかどうかは、書き方によって判断されるのです。(☚これがポイント)


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