どこかの町の高田
架空の町『きらきら町』の住民たちがワーワー言います。
本を読んだ感想を交えた日記
私の声を聞いてください。私の声を聞いてください。私はきらきら町に住んでいる歌と詩が好きな18歳です。名前は高畑彩です。友達からは綾鷹と呼ばれています。私の声を聞…
神さまのために うつくしい天使は夏の間だけ街に舞い降りて かなしみを背負ったひとに祝福を授けるのです ワンピースを着た若い天使は 生まれたときの その前のこ…
さて、なにから書き始めればいいのでしょうか。今は初夏。強くなり始めた日射しが、あらゆるものを彩度高く染め上げています。風は花の香りを含み、海は鼓動のように浪を高…
望み遥けき初夏の浜辺に わたしは一つの思想を思い出そうとしていた この詩の主人公は人類です わたしは人類の最新版のひとりです。 土地訛り、トチナマリ、わたしはけ…
せや、あんた、賭けをしようや いまから夏になるやろう、花が咲くやろう その花を愛や誠というものに変えられたものが、勝ちや。 炎天下、お陽さんはえらい過酷な温度で、…
例えば、好きな作家について書こうとすると、上手くいかない、というより何も浮かばない、ということがあると思います。はて、と頭を振ってみても何かが出てくる予感がない…
ふるえそうな体で以って あたらしい思想を生み出そうとするわたしは せめて生を諦めることはしないと決意して いばらの生い茂った沃野を疾走した。 わたしは 自分の言…
忘れてしまうのでしょう? あなたが生きていたことも 初夏 ガキのように大声で歌い エレキギターを掻き鳴らした夜や 血の傾くのにまかせて まぐわったこと あなたが 生…
うつくしい天使は夏の間だけ街に舞い降りて かなしみを背負ったひとに祝福を授けるのです ワンピースを着た若い天使は 生まれたときの その前のことを考えているのです…
夏が来た。海の音はいっさいの否定を打ち消す。私は愛や、誠実という言葉の意味をかんがえながら、それでいてよこしまな考えにもふけってしまう。ニヤリ、と笑ってみる、ト…
目に映る景色は、百億の名画にも勝るぜ。都美子はワンカップ片手にもう出来上がっています。梅雨に差し掛かるきらきら町の河川敷は、思うままの光をみせて、ほんとうに美し…
明らかな祈りせめて歌になるまで。美香は今日もオヒメサマごっこを続けている。授業で教科書を男子と共有している。美しいものは夢……、ならば生殖は悪? 俺は笹原ってい…
失った衛星を探して二十四年、私はどうやらキラワレ者らしい。ということだけが分かった。捨てられてばっかりの人生だ、サヨナラすら言わせてもらいなんてね。口が悪いこと…
しん、と静まった朝に 海は潮を寄せていた。 わたしの舞が永遠に連なると信じて おわらないうたの断片を歌おうと咽にちからを込めた。 (らー……) わたしは力が抜け…
輝波さん、俺は世界に子種を落とそうと思ってる。むろんあなたにも、風にも、木々にも、雨にも、雪にも、万葉集に描かれたすべての自然物にも。そして最後の一人に出会うま…
言葉にならないくるしみが、笹原を覆いました。なぜ、俺は俺でしかないのか、なぜ、俺は俺の人生しか歩めないのか。笹原は不思議で仕方がなかったし、つよい憤りすら感じて…
2024年6月19日 00:42
私の声を聞いてください。私の声を聞いてください。私はきらきら町に住んでいる歌と詩が好きな18歳です。名前は高畑彩です。友達からは綾鷹と呼ばれています。私の声を聞いてください、私の声を聞いてください。私は初めてきらきら町商店街で路上ライブをします。何かが変われると思っています。私はあたらしい倫理を探し出さなければならないのですから。教室は嫌いです。嫌いでした。大学には滑り止めで合格しました。学部は親
2024年6月9日 20:25
神さまのために
神さまのためにうつくしい天使は夏の間だけ街に舞い降りてかなしみを背負ったひとに祝福を授けるのですワンピースを着た若い天使は生まれたときの その前のことを考えているのです。心が貧しいことは、いいこと?埋まらないココロや、食べても食べても満たされないお腹を抱えながら生きることは、いいこと?天使さま、子供にも馬鹿にされることは、いいこと?裏切られたココロは、どこに行けばいい
2024年6月3日 22:25
さて、なにから書き始めればいいのでしょうか。今は初夏。強くなり始めた日射しが、あらゆるものを彩度高く染め上げています。風は花の香りを含み、海は鼓動のように浪を高く打ったのです。ことば、というものについて考えます。ことばは自身や自身の大切な人を守るための盾として用いられることもある一方、自身や他者を傷つけるためのナイフとして用いられることもある。とはよく言ったものですが、さて、詩の言葉とはどちら
2024年5月28日 21:26
望み遥けき初夏の浜辺にわたしは一つの思想を思い出そうとしていたこの詩の主人公は人類ですわたしは人類の最新版のひとりです。土地訛り、トチナマリ、わたしはけったいな言葉で話し出そうとしているあほらしいこと言わんでええねん、ウツクシイことばっか喋ってようや言葉商いしとりますさかい、掬い出さなあかん、人生を運命を。ウチは祭りが好きや、祭りだけを信じとりますよいどれ船の行く先
2024年5月27日 23:04
せや、あんた、賭けをしようやいまから夏になるやろう、花が咲くやろうその花を愛や誠というものに変えられたものが、勝ちや。炎天下、お陽さんはえらい過酷な温度で、人を照らすやろう沸き立つ血が、汗が、俺たちにあたらしい愛の形を見せるやろう (そうか? あたらしい愛とはなんや?)ヒマワリひとつ、旗や棍棒のように持って天使に向かって振り下ろす花弁が散って散ってきれいやろうなあ!天使は
2024年5月27日 20:02
例えば、好きな作家について書こうとすると、上手くいかない、というより何も浮かばない、ということがあると思います。はて、と頭を振ってみても何かが出てくる予感がない。しかし、その作家について感じていることは、ある。むしろそれが大きすぎるがゆえに、文章としてあらわすことができないというのが実情ではないでしょうか。初夏となりました。いや、最近の暑いこと暑いこと、参ってしまいます。このようなときには海に
2024年5月25日 23:06
ふるえそうな体で以ってあたらしい思想を生み出そうとするわたしはせめて生を諦めることはしないと決意していばらの生い茂った沃野を疾走した。わたしは 自分の言葉で自分の詩を書こうとして嘲笑もかまわず生きるつもりでペンを執った生に対して全面的に肯定的な詩人であろうとして人間のかなしみを祈りに変えるために生まれてきた。天使は、すでに顕れていることを信じ星々の光る月のない夜
2024年5月24日 22:06
忘れてしまうのでしょう?あなたが生きていたことも初夏 ガキのように大声で歌い エレキギターを掻き鳴らした夜や血の傾くのにまかせて まぐわったこと あなたが 生きていたことを。忘れてしまうのでしょう?私が生きていたことも初夏 全霊を賭けて詩を書いた死者とも繋がれると信じ切って 夜は降霊の時間だった血の傾くのにまかせてあなたを愛したわたしが 生きていたことを良い
2024年5月24日 01:33
うつくしい天使は夏の間だけ街に舞い降りてかなしみを背負ったひとに祝福を授けるのですワンピースを着た若い天使は生まれたときの その前のことを考えているのです。心が貧しいことは、いいこと?埋まらないココロや、食べても食べても満たされないお腹を抱えながら生きることは、いいこと?天使さま、子供にも馬鹿にされることは、いいこと?裏切られたココロは、どこに行けばいい?うつく
2024年5月18日 20:33
夏が来た。海の音はいっさいの否定を打ち消す。私は愛や、誠実という言葉の意味をかんがえながら、それでいてよこしまな考えにもふけってしまう。ニヤリ、と笑ってみる、トンビの声が高く聴こえる。遠くでは世音香が波の近くで跳ねてあそんでいる。飛沫のように散っていく波、笑う世音香、彼女は気が付いているだろうか、すでに彼女は人ではない、鹿のように跳ねまわり、天使のように笑う彼女は。すべてがみな静止した映画
2024年5月2日 00:42
目に映る景色は、百億の名画にも勝るぜ。都美子はワンカップ片手にもう出来上がっています。梅雨に差し掛かるきらきら町の河川敷は、思うままの光をみせて、ほんとうに美しかったのです。「なあ、魔法少女ちゃんもそう思うでしょ!? どんより雲も銀幕だと思えば美しいなあ!」「やめてください、酔っ払い。私、こんなことに付き合ってる場合じゃないんですけど」「ええ!? いいじゃんいいじゃん、世にも珍しい現代
2024年4月30日 22:39
明らかな祈りせめて歌になるまで。美香は今日もオヒメサマごっこを続けている。授業で教科書を男子と共有している。美しいものは夢……、ならば生殖は悪?俺は笹原っていうんだ、男で、大学生で、部活の所属はなし、そんでもって高校生の時に買ったレスポールを後生大事にもっている。尊敬するのは小林秀雄、池田晶子、懐疑しているのは若松英輔。俺は、あたらしい生存の倫理を探している。明らかな祈りせめて歌になるまで
2024年4月29日 20:26
失った衛星を探して二十四年、私はどうやらキラワレ者らしい。ということだけが分かった。捨てられてばっかりの人生だ、サヨナラすら言わせてもらいなんてね。口が悪いこと、小手先で隠してたら皮肉屋になっちゃった! 馬鹿らし、虚しいなあ。失った衛星を探して二十五年、失った衛星ってなに? 分からないものばかり追いかけてたらバカになっちゃうよ? (うつくしいという言葉を禁句にしようよ)どこかでカラスの群れが死
2024年4月22日 23:35
しん、と静まった朝に海は潮を寄せていた。わたしの舞が永遠に連なると信じておわらないうたの断片を歌おうと咽にちからを込めた。(らー……)わたしは力が抜けてしまう。現世からかろやかにはなれわたしは前世のともだちに会いに行こうとしている腕をゆるやかに伸ばし、腕はひかれみちびかれわたしはついにきれいに、はっきょうする。しん、と静まった朝に海は春を撫でていった。わ
2024年4月21日 03:58
輝波さん、俺は世界に子種を落とそうと思ってる。むろんあなたにも、風にも、木々にも、雨にも、雪にも、万葉集に描かれたすべての自然物にも。そして最後の一人に出会うまで、うつくしい女すべてに。俺はもうさみしくない、何編言ったってさびしくないんだ。本当だよ。夏が来る。夏が来ると芹川は会いたくなる異性がいる。それはきらきら海浜公園の海だ。春の終わり頃の日に、始めて人気のない海に浸った。抱き寄せられて、射
2024年4月16日 23:28
言葉にならないくるしみが、笹原を覆いました。なぜ、俺は俺でしかないのか、なぜ、俺は俺の人生しか歩めないのか。笹原は不思議で仕方がなかったし、つよい憤りすら感じていたのです。笹原は午前2時の人通りも車通りも少なくなった道路で踊る。ゆるやかに身体をひらき、まわし、ときに低く高く唄いました。(俺が、俺がひとつの舞となれば、俺がもはや個人というものから抜け出してしまえば、俺が、他人の心をこのからだにそ