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神さまのために

どこかの町の高田
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神さまのために

うつくしい天使は夏の間だけ街に舞い降りて
かなしみを背負ったひとに祝福を授けるのです
ワンピースを着た若い天使は
生まれたときの その前のことを考えているのです。

心が貧しいことは、いいこと?
埋まらないココロや、食べても食べても満たされないお腹を
抱えながら生きることは、いいこと?

天使さま、子供にも馬鹿にされることは、いいこと?
裏切られたココロは、どこに行けばいい?

うつくしい天使は夏の間だけ街に舞い降りて
かなしい嘘をつかざるを得なかった微笑みのひとに
安息を授けるのです ワンピースを着た若い天使は

「あなたが生まれたときの その前のことを考えているのですよ
そうです、人はひかりながら生まれ ひかりながら死んでいくんです
これはナイショの話ですよ あなただけに教えるのですよ
詐欺師じゃないですよ わかってくれるかなあ、、、どうも嘘は苦手だ」

心が貧しいことは いいこと?
埋まらないココロや 傷つけても傷つけても足りない自身を
撫でながら生きることは いいこと?

天使さま、私は生きていくのでしょうが
生きていくことのイの字もわからないのです
望んでいることの九割は叶わないのです
あなたの羽が、私には妬ましい

うつくしい天使は、すこし困ったように舌打ちします
そしてもう一度、セールストークを繰り返そうか迷っています
天使は何を 私に売りたいのでしょう
それが安息や 祝福であるのなら 天国色の領収書を、私にください。

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