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ちえのかたまり

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2020年7月の記事一覧

抑圧してきた自分の感情にアクセスする「エモーショナルリテラシー」というスキル

抑圧してきた自分の感情にアクセスする「エモーショナルリテラシー」というスキル

先日、プリズン・サークルという映画を見た。

対話をベースに受刑者の方同士が自身の犯した罪に向き合う「TC(Therapeutic Community=回復共同体)」プログラム。島根にある刑務所「島根あさひ社会復帰促進センター」で行われているそのプログラムに、2年間にわたって密着したドキュメンタリーだ。

なぜ自分は今ここにいるのか、いかにして償うのか? 彼らが向き合うのは、犯した罪だけではない。

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ツイートがバズったわたしは、口紅を買えていない

ツイートがバズったわたしは、口紅を買えていない

仕事を辞めた翌日、わたしは生きていた。

「当然である」と、言えるだろうか。わたしは自分のことを"よくやっている方"だと思っている。意味もなく宙を見上げ、水滴を仕舞う。人生を都合のいい妄想へ預けなければ、硝子のように心が割れてしまいそうだ。

「大丈夫ですか?」

歩きながら眠っていた。目が血走り、足が痙攣する。どこかから声が聞こえた気がしたが、辺りを見渡しても人は少なかった。ロクにごはんも食べて

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津久井やまゆり園で起きた事件を通して表出した「第二の刃」を社会はいつまで振りかざすのか?

津久井やまゆり園で起きた事件を通して表出した「第二の刃」を社会はいつまで振りかざすのか?

私は、2016年7月26日未明に神奈川県立津久井やまゆり園(以下、津久井やまゆり園)で事件が起きた時から、この施設の入所者の皆さんの日常を取り戻すために、そこにいる職員たちを支援したいと考え、さまざまな試みをしつつ時を待ち、先方の目に触れ、お声掛けいただくまで、待っているスタンスを持ちました。

運よく、先方に当法人(特定非営利活動法人サポートひろがり)の存在を知っていただくことになり、2017年

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書籍『男の子でもできること:みんなの未来と願い』

書籍『男の子でもできること:みんなの未来と願い』

国際NGOプラン・インターナショナル(文) 金原瑞人(訳)
2020 西村書店

タイトルからして素晴らしい本。
数々の写真に透けて見える、表情豊かな子どもたちの写真。
そこに添えられた文章がいい。
金原瑞人さんの訳がいいからすうっと入ってきて、考えさせられる。
最後に、上野千鶴子さんの解説が全体をまとめあげる。

男の子「でも」できること。「だから」ではなく、「しか」ではない。
女の子「だけ」で

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【1時間で分かる】P&G流マーケティングの教科書

【1時間で分かる】P&G流マーケティングの教科書

2020年5月末でP&Gのブランドマネージャーを退職しました。僕はこのNOTEで、P&Gで非言語的に受け継がれているマーケティングの思考法を、分かりやすい教科書のようにまとめようと思います。本気で読めば1時間かからず読めると思います。が、ちゃんと理解すれば知識レベルとしては本何冊分にもなることをお約束します。さらには、そのマーケティング思考の先に、僕がどんなマーケティングの進化を考えていて、そのた

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「家族」は正しいことをするための場所ではない。大切なのは、安心できること ~信田さよ子さん出演のオンライン相談会より

 10代のための相談窓口まとめサイト「Mex(ミークス)」が、「親が重い。逃げたい。親との関係どうしたらラクになる?」と題して、ZoomとYouTubeを使ったオンライン相談会を実施しました。
 全2回で、ゲストは公認心理師・臨床心理士の信田さよ子さん。MCは太田尚樹さんです。

1回目の質問テーマは、「私は親にとって要らない子だと思ってしまう」
2回目の質問テーマは、「親との接し方がわからない」

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【コラム】コロナ禍で暮らしを支える制度

【コラム】コロナ禍で暮らしを支える制度

日々の生活と合わせて医療費がかかることは、多くのがん患者さんにとって負担になることだと思います。

愛知県を本拠地とするがん患者さんの就労支援団体「インディペンデント」から隔月で通信がでているのですが、13号はとても分かりやすくまとまっていたので、ぜひご覧ください。

・コロナの影響で休業や失業し、仕事ができないときの保障制度について
・給料や個人事業主の売り上げが激減し生活に困った場合の給付金に

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#ずいずい随筆⑬:偽物のメシア

#ずいずい随筆⑬:偽物のメシア

 メサイア・コンプレックス、という言葉がある。
 日本語では「救世主妄想」などと呼ばれることもあるらしい。まるで自らが「救世主(メシア)」になったかのように、「自分自身が世界を救うのだ」という妄想をふくらませる。しかし、その裏には自分自身に対する劣等感や自己肯定感の低さがあり、自分自身が満たされないのを埋めるために「他人を救うことができる自分は素晴らしい」という思いに支配されているのだという。

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