「家族」は正しいことをするための場所ではない。大切なのは、安心できること ~信田さよ子さん出演のオンライン相談会より

 10代のための相談窓口まとめサイト「Mex(ミークス)」が、「親が重い。逃げたい。親との関係どうしたらラクになる?」と題して、ZoomとYouTubeを使ったオンライン相談会を実施しました。
 全2回で、ゲストは公認心理師・臨床心理士の信田さよ子さん。MCは太田尚樹さんです。

1回目の質問テーマは、「私は親にとって要らない子だと思ってしまう」
2回目の質問テーマは、「親との接し方がわからない」

 あらかじめサイトに寄せられた質問に信田さんが答える形でライブ配信され、その後も、いまのところアーカイブ(録画)がどなたでも視聴OKになっています。

↓1回目の相談会について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 2回目の「親との接し方がわからない」を、私はライブ配信からすこし経って、アーカイブで視聴しました。今回も、相談者の言葉を決して否定せず、深刻な悩みに真摯に答える信田さんの姿が印象的でした。

 親との問題を大人に話すとき、「大人は親の肩を持つのではないか」というのが、相談者である子どもの不安な点だと思います。私も昔はそうでした。
 信田さんは著書などで、しばしば〝被害者の話を聞くときには中立の立場などあり得ない。中立のポジショニングは、被害者から見れば加害者側に寄っていることになる〟というようなことをおっしゃっています。だから、援助者としての自分の仕事は、相談者(被害者)の言葉を全面的に信じて、その人の側に立つことから始まる、とも。

 今回も、その姿勢がよく現れていて、子どもの側に立って「家族」を見ていく信田さんの言葉に、胸が温められました。
 親との関係に悩んでいる人や、子どもとの関係に悩んでいる大人、そういう人のそばにいて助けたり支えたりしている人など、たくさんの人にとって参考になる内容だと思います。

 心に残ったのは、信田さんの〝家族は正しいことをするための場所ではない〟というお話です。大人は巧みに自分の行為を「正しいこと」として正当化します。でも、家族や家庭において大切なのは、「正しさ」より、「そこにいるとほっとする、安心できる」ということだ、と。
 ほんとうに、そうですね。私も子どものころ、「ほっとして眠れる場所、安心できる居場所」がほしかったです。それを探して生きてきて、すごくたいへんなことはあったけど、いま、そういう場所にたどり着きました。生きるのがつらい時期はあったけど、いまは、生き延びてよかったと感じています。

 相談会の後半には、性虐待の相談を取り上げる時間帯があります。MCの太田さんが、被害の経験がある人のフラッシュバックなどに配慮して、「これから〇時〇分くらいまで、性虐待についてのお話があります――」みたいな前置きをしてくれるので、苦手な場合はその時間帯を避けることができます。

↓オンライン相談会「親が重い。逃げたい。親との関係どうしたらラクになる?」について、Mex(ミークス)のサイトはこちら。1回目、2回目のYouTubeへのリンクもあります。

↓Mexのホームページ。さまざまな悩みについて、相談窓口を検索できます。



◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから、hanakokoroさんの作品を使わせていただきました。ありがとうございます。

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