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重ねていく宝物〜失敗の備忘録

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数多くの失敗があるから今があり、これからも重ねていくでしょう。いわば宝物のような失敗の数々を書き留めたものです。
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ミントと蛸の生春巻き、そして夏の断捨離へ。

ミントと蛸の生春巻き、そして夏の断捨離へ。

家の改装に伴って、
9月から約3ヶ月のあいだ
少し自宅から離れた海沿いに
老犬と夫婦ふたりで住まうことになりました。

自宅のミントたちともしばしのお別れ。
この夏は、特に世話になったハーブでした。

仮住まいの家の近くには地ダコの直売所もあり、
遠さを嘆くより、せっかくなら楽しんで暮らしてみようと思っています。

魚屋さんでおすすめだった江戸前のたこに
刻んだミントを和え、
レモンや酢で軽くしめ

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父の遺したビデオテープ

父の遺したビデオテープ

今年もお盆が近づいてきました。
むせ返るような暑い夏の勢いも、
これから日毎に少しずつなりをひそめて行くのでしょう。
心から待ち遠しいはずの涼しさがうっすら寂しさも纏ってくるのは、子供の頃からの習い性なのでしょうか。

早いもので、父が身罷ってから今秋で10年になります。

ここ数日、父の好きだった料理店の前をたまたま通ったり、家人との話に父の好きなお酒の銘柄の名前が出てくるなど、記憶の抽斗が一つ

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高知の青海苔、ナポリの揚げパン。

高知の青海苔、ナポリの揚げパン。

高知、四万十川から届いた、
早春のすじ青海苔。
河口から少し上った、海水と綺麗な淡水が混ざり合ったところで採られ、丁寧に天日干しされたものです。

色も美しいけれど、
香りはさらに素晴らしく、
袋を開けて何度もクンクンしたくなりました。

さっと乾煎りしたすじ青海苔とピザ生地を混ぜて、
ゼッポリーネという小さな揚げパンを作りました。
ここ最近、イタリアンのバルなどでも見かけることが増え、お馴染みに

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黒豆となますの行方

黒豆となますの行方

仕事初めの後の連休も終え,
いよいよ明日から本格始動です。

束の間ながらも、
穏やかでぽかぽかと、
心安らぐお正月休みでした。
今年もどうぞよろしく
お願い致します🎍🌅

毎年、
大晦日にはゼェゼェ言いつつなんとか間に合わせる、おせち料理。

最近は元旦から開いているお店も増え、
もしかしたら、次第になくなって行くものなのかもしれませんが…

良いことも辛いことも、とにかく盛りだくさんに忙し

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道具で愉しむ、ひとりごはん

道具で愉しむ、ひとりごはん

家族というものは
年を経るごとにかたちを変えていくもので。
今年娘が社会に出てからは、
ことに一人で食事をすることが増えましたが、
一番大きく心に残る変化は、
やはり7年前の、息子の独立のときだったかもしれません。

部屋が決まって、息子とふたり、
うちにある器や鍋類、生活用品を車に積み
何もない空っぽの部屋へ車で向かい、
洗濯機に冷蔵庫、電気に水道、
不自由ながらもひと通り揃ったのを見届けて

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料理が億劫になったとき

料理が億劫になったとき

私は頭の中がほぼ食べものという変わり者のため、作るときにはほぼしんどさや億劫が顔を出すことはありませんが、片付けも料理のうち。
ああ、あの時はしんどかったなあ、なんていう思い出は、やはり沢山、心の奥にあります。

使った道具や鍋、器を洗って拭い、元にあった場所に戻すだけでずっとすっきり片付いていることがわかっているのに、朝も晩もいつもぎりぎり。
頑張っているはずなのにうまく行かず、家事が終わり切ら

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やさしく、ゆったり作ること

やさしく、ゆったり作ること

 料理を作ることは、人が生きて行くための手段の一つでもあり、必要に迫られれば誰でもできることです。
この春からも、一人暮らしなどをきっかけに始められる方も多いことと思います。

今は料理レシピのアプリもたくさんあり、作り慣れないうちは、美味しそうな写真についたレシピを探して、その工程に沿って作ることができ、心強いものでしょう。
けれど、そのレシピを見ながら作っている途中で、今ひとつ表現のニュアンス

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父の唐揚げ

父の唐揚げ

昨夜、久しぶりに父が夢に現れてくれました。
夢枕に立つ、というほどの啓示的な感じではありませんでしたが、私のプレゼントしたものに何かが足りず追加でまた買いに行こうねと言いながら過ごしていたところ、出かけ支度をしている私に「今から一緒に探しに行こうか」と照れくさそうに誘ってきた、という夢でした。
何か言いたいことがあったのかな。と気になっています。

少し父の話を。
父は船員だった頃に覚えてきた日本

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忘れられない失敗のこと

忘れられない失敗のこと

ここまで、それなりに長く生きてきました。

生来の粗忽から、
失敗して、反省しての繰り返しを経て、今の自分に繋がっています。
殊に仕事にまつわる失敗は、忘れられないものが少なくありません。

読んでくださる方には何らかかわりのない話になるかもしれませんが、仕事での反省や学びと同様のことを、日々生きる上でも感じることが多くあります。
私のお恥ずかしい思い出話の数々も、もしかしたら反面教師としてどなた

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味方にできなかった圧力鍋〜去って行った調理道具

味方にできなかった圧力鍋〜去って行った調理道具

…もちろん、圧力鍋をはじめとした道具たちに原因がある訳では全くなく、
その道具たちを使いこなせなかった、私の狭量の話です。

料理の仕事を続ける中で、次々に生まれる便利な道具や新しい情報に翻弄されそうになることがままあります。
忙しさも手伝い、ほんとうに自分の身の周りに必要なのか見つめなおす余裕を失うとともに、他の人が有意義に使っているのを聞いては安易に真似をしがちでした。
そんな私の失敗も、読ん

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失敗の記録@台所

失敗の記録@台所

はじめてひとりで台所に立った小学生の頃から、料理の記憶はひとつながりで不思議なほどにするする、と思い出されます。
ひとり暮らしの小さなキッチンで、
助手の頃の事務所で、
撮影現場のキッチンや仮設の調理台に、
新婚の頃から今の自宅の台所まで。

その中には会心の出来も、予想通り、あるいは経験や知識の不足だったり思いが勝ちすぎたゆえの失敗作も。いずれも数知れずです。
noteを書き始めた時にも、自分の

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