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散文

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#詩

写真詩『1ページ目』

写真詩『1ページ目』

こちらは写真詩集『影をまく』の1ページ目の作品です。

高校三年生の頃にとったフィルム写真。
あの頃は今のカメラじゃなくて、兄にさずけられたオートのフィルムカメラで撮影していた。

私の高校はラブホテルとお墓を通った場所にあった。
初めて母校になる高校に模試で行った時、私は道がわからなくなりそうだった。
そのとき、方向を確認するために使ったのが、このラブホテルだった。
小さい頃からこの近くは通って

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詩 『小さくなって考える』

詩 『小さくなって考える』



小さくなって考える
日々の悲しみの源は誰とも関わることが出来ないこと
たくさんの人とすれ違ったとしても
私は誰とも繋がることが出来ない

小さくなって考える
このわだかまりは、私が私のことを理解してあげられなかったこと
責められたときに言い返せるほど
私は私の感情に気にかけられない

小さくなって考える
指先から冷たいものが入ってくるのは、攻撃ではなくただの侵食
私は抵抗することも出来ず、

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写真詩『街頭の震え』

写真詩『街頭の震え』



もうやめよう
微かな希望ばかり見て
自分の持ち物を投げ捨てる
そんな苦しみを
愛してしまうのはどうしてなの

輝きに目がくらむ
生きるって苦手だ
震える胃が全身を嬲る
止まらない鼓動
やめてしまえたら楽なのに

写真詩集第2弾 秋版『蛇行する夕焼け』の収録予定作に作品です。
今、一生懸命作っております。
多くの人に手に取って貰えたらいいなぁ。

こちらで出来次第販売を始めますのでよかったらブッ

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写真詩『校舎の電気に怯えた』

写真詩『校舎の電気に怯えた』



この空の下で生きてきた
無視をされて無かったことにした日も
消えた上靴の居場所も
走って逃げたあの夜も
泣きながら登校したあの朝焼けも
全てはここにあった
きっとみんないる
私を傷つけた人も
私を責めた人も
ずっとここにいる
目を背けてきたつもりは無い
だけど少しずつ傷から逃げてきた
逃げ方を教えてくれたこの歌が
私に消そうとしたものを浮かばせた
止まってばかり
道をはずれてばかり
それでこそ

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写真詩『始まりは地球』

写真詩『始まりは地球』



いたずらに始まったその熱は
過去の人の途切れた思い
夢の出来事は思い出になっている
丸窓から飛び出したカエルのような
突飛な日々こそが人生かもしれないのに
みんな現実じゃないって言う
君もそう思うかい?

写真詩集の『冬』の制作を始めました。
前作『はみ出す青』は、夏から秋にかけてのものでした。

なので、今作は秋から冬にかけてのものにしたいと思っています。

今回はフィルム写真のみでお送りし

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写真詩『言葉は痛い』

写真詩『言葉は痛い』



言葉は痛い
書き残したルーズリーフは途切れたまま
君の読む本のタイトルを知ることは無かった
投げかけた挨拶は消えていく
ずっとは無いこの時間
筆圧は強くなる
君の言葉を考える
机に書かれた誰かのボヤキ
私はそんなこと出来ない
書き残せるほど少ない想いじゃない
言葉は痛い
君にはあげられない

写真詩『だから君が嫌いなんだ』

写真詩『だから君が嫌いなんだ』



暮れゆく愛おしさは色を知らず
ただいつでもそこにあることを私は知っている
煌めきは無くていい
ただ透き通る命があればいい

恋をしたイルカが跳ねた空
君は見ることがない
美しいと思わない
だから君のことが嫌いなんだ

詩『入道雲の残党』

詩『入道雲の残党』



夏戻り醒めない夢を届ける雲の微かなエグ味
泣けない子供に注ぐ青はただならぬ
自分の生命力を奪われて
さて、という

はじめましてはここにない

散文 点滅と借り物

散文 点滅と借り物



街が点滅している。

反射する川の色は、深い愛よりも歪に赤と青を折り合う。
重なり合った空をなぞるように私は見ているのだけど、きっと何も見えていないんだ。

高い場所に来た。街の中でも高い場所。夕焼けを見たいがために歩いた足は不安がある。何でこうなってしまったんだろう、なんて言葉を出せないほどに私の舌は硬く怯えている。

空が燃える。

どこかの放火をいつも毎日大きく写し出していた。

街が点

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写真詩『愛おしさと風』

写真詩『愛おしさと風』



滑り台の下に置かれたカバンたち
どこかから聞こえる工事の音
待ち合わせ場所だったカーブミラー

蘇るようになぞるように
風になる

自転車はキィキィ鳴るけど
それも全てこの秋の奏でる一部で
ふと生きた感覚が指先に
鼻の先の冷たさをすぐに忘れる

秋のいつの日かを思い出すとき
この目に映るものが
息衝いていたことを理解するのだろう

写真詩『金色の目の先』

写真詩『金色の目の先』



明日の夜の声がした
漂う金色は中秋の名月の匂い
肺に溜め込むよう吸い込んだ
君の眺める世界は
裏切るもののいない空の下
遠く彼方よりも
目の前の愛を守りたかった

写真詩『生き返るってなあに』

写真詩『生き返るってなあに』



真夏にクーラーの効いた部屋に戻った時「生き返ったぁ」って言わない?

本来『生き返る』って言葉は死んでない時に使う言葉だと思うんだ。生きてるって感じる時に使うの。

そして、愛する人の死に面して、まだ死んでないと信じたい人がその言葉を使うんじゃないかな。
生きてて欲しかった人が沢山いたんだ。

【大学の課題】
舞台芸術の授業にて、小さい子の「なぜ、生き返るっていう言葉があるの?」という質問への

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