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写真詩『1ページ目』
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こちらは写真詩集『影をまく』の1ページ目の作品です。
高校三年生の頃にとったフィルム写真。
あの頃は今のカメラじゃなくて、兄にさずけられたオートのフィルムカメラで撮影していた。
私の高校はラブホテルとお墓を通った場所にあった。
初めて母校になる高校に模試で行った時、私は道がわからなくなりそうだった。
そのとき、方向を確認するために使ったのが、このラブホテルだった。
小さい頃からこの近くは通っていたはずだ。
だから、何となく見覚えがあった。
あの頃はずっとジェットコースターを模した看板?なんだと思っていた。
だけど、高校に通い始めてから気づいた。
これは、王冠なんだ。
Loveとかいたラブホテル。
安直で、分かりやすくて、潔のいいラブホテル。
それは、私の青春の真ん中にあった。
毎朝このホテルの前を通って高校に行き、夕方暗くなる中をまた通って帰る。
ネオンの看板はずっとそこにあった。
誰よりもくすんでいて、輝いていた。
それがある日、地震によって壊れた。
剥がれて、少し落ちていた。
それからずっと、電気がつくことは無かった。
夕方、暗い中、光る指針もなく帰っていく。
夜はもっと明確に黒になってしまった。
あの光がないことが悲しかった。
そして、やっと工事が入りそれらのライトは全てLEDになった。
ネオンとLED。
光。
それは大した違いじゃないんだろう。
だけど、私からは何かが欠けた。
ホテルに高校生で入ったことは無い。
この詩だけでは、まるで性に奔放な日々をホテルの中で過ごしてきたみたいに読めてしまうだろう。
私にとってはそういう場所じゃなかった。
いや、性の場所ではあった。
そのドキドキ感もあった。
だけど、それだけの場所じゃなかった。
私にとっては心の光はネオンの色だった。
そういうものなんだ。
そういうのが私の1ページなんだ。
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