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育児エッセイ✏️

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5分で読める育児に関するエッセイ📗
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18時の匂い

18時の匂い

お昼寝から目覚めた息子と、家のまわりを散歩した。

石をひろったり、排水溝をのぞいたり、空を見上げて「くも!くも!」と言う息子に、僕も「くもだねぇ~」とか「あっちに木があるよ」と口にしながらぶらぶらと歩く。

いい時間だ。5月の夕方はまだ肌寒いけど、心はじんわりと温かい。

ふいに、どこからかいい匂いがしてきた。
18時の、あの匂い。

各家庭のキッチンから発せられる、あれだ。
唐揚げ、焼き魚、し

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いまって、いましかないんだよなぁ。

いまって、いましかないんだよなぁ。

テレビみていた息子が、いきなり「メタモン」って言った。
画面には、あの紫色のやつが本当に映し出されていたんだけど、僕と妻はそんなこと教えた記憶がないので、なんで知っているんだろう?と不思議だった。

きっと、僕らが無意識に口にしていたか、テレビでその名前が呼ばれていたかのどっちかなんだろうけど、同じような「なんで知ってんの!?」とか「そんなことできんの!?」が最近けっこうある。

子どもの成長は、

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「痛い目をみて学ぶ」のはむしろ親である

「痛い目をみて学ぶ」のはむしろ親である

生後11か月くらいで歩けるようになった息子。
この頃って好奇心に身体能力が追い付いていないから、どうにも危なっかしい。すぐによろけて転んだりするのに、ちょっとした段差があってもそのまま突進したりするから、「危ないよ!」とか「足元みてよ!」とか言いながらずっと息子につきまとっていた。

過保護なボディガードである僕をみて、義母は「ちっちゃい子どもは、いっかい痛い目みて学んだ方がいいんだ」と言った。

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【育児の成功体験】けっきょく抱きしめるのが一番いいのかもしれない(1,000文字)

【育児の成功体験】けっきょく抱きしめるのが一番いいのかもしれない(1,000文字)

浴室から顔を出して「いーよー」と言えば、「はーい」と妻が答える。

ほどなくして妻に抱えられた息子が登場し、服とオムツをはぎ取られ、丸裸の天使に変身した。

お風呂で遊ぶ用のおもちゃをたくさん用意しているので、興奮した息子が早く入りたいと湯船に手を伸ばす……のは普段ならの話であるが、この日は違った。

もうめちゃくちゃ泣いた。子閻魔にしかみえない。
理由は単純で、その日、リビングにも新しいおもちゃ

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【育児エッセイ】小さな背中はタイムマシーン

【育児エッセイ】小さな背中はタイムマシーン

「まもなく離陸します」
女性のアナウンスに続いて、ヒュイーンとモーター音が響く。

赤と青のランプを交互に点滅させながら、飛行機は少しずつスピードをあげて…壁に激突した。

壁に向かってなお走り続ける飛行機をみて、リビングの端っこで遊んでいた1歳半の息子がキヤッキャと笑っている。

義理の母も、自分が買い与えた飛行機のおもちゃで楽しそうに遊ぶ孫の背中をみて、微笑んでいる。

妻の実家は、僕の住む家

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【エッセイ】時間の波を家族と。(1,500字)

【エッセイ】時間の波を家族と。(1,500字)

時の流れは、ほんとうにあっという間だ。
息子が生まれてからの1年と数ヶ月は特に目まぐるしく過ぎていったけれど、思えばそれ以前もそうである。

飛びはねて喜ぶ日もあれば、おでこがすり減るくらい落ち込む日もあったし、鼻歌まじりで湯船につかることもあれば、やけに布団がおもたく感じる夜もあった。

そんな高低差のある、荒波のような日々をなんとか乗り越えてきたというのに、いまとなって振り返ってみると、思い出

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子育てがひと段落したら「ミミクリーズ」でお酒を飲みたい。

子育てがひと段落したら「ミミクリーズ」でお酒を飲みたい。

僕には小さな夢がある。

タイトルのまんまですが、いつか息子が大きくなって「子育てがひと段落したな」と思えたら、Eテレをつまみにお酒を飲みたい。

息子が生まれてから、ほとんどNHKしか映さなくなった我が家のテレビ。

初めのころは、「普通の番組もみたいなぁ」なんて思っていましたが、ちゃんと見るとNHKって意外とおもしろいんですよね。
今となっては息子よりも僕の方がテレビに夢中なくらいです。

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寝かしつけ、妻ならできたのかな。と思った話。

寝かしつけ、妻ならできたのかな。と思った話。

今日のこと。

午後から家族で出かける用事があったので、午前中に買い物を済ませておこう、ということになっていた。

僕と妻と息子の家族3人で近くのスーパーに行くはずだったけど、準備をしているうちに息子がなんだか眠たそうにしはじめた。

「どっちかが寝かしつけて、どっちかが買い物に行こう」となり、なんやかんやで僕が寝かしつけ担当に。

妻を見送ったときは、「息子が寝たらYouTubeでも見ようかな」

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普通のお父さんになりたい

普通のお父さんになりたい

僕は”普通の”お父さんになりたい。

人生とはなんたるかを上手に説くお父さんじゃなくていい。
子どもが人として歩むべき最低限の道を踏み外さないように、そっと手を差しのべられるお父さんでありたい。

海外旅行とか高級レストランに連れていけなくてもいい。
休日は、多少の文句を言ったっていいから、家の近くの公園で子どもと遊んであげるようなお父さんになりたい。

「好きなことを仕事にしたほうがいいぞ。ほら

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洗濯物を干すことしかできない父親

洗濯物を干すことしかできない父親

妻が子どもを寝かしつけているときは家事をやっています。

こう書くと、見栄えはいいかもしれませんね。

ただ、実際は全然いいことじゃないんです。
僕じゃ寝ないんですよ子どもが!笑

僕だけで寝室に子どもを連れていっても、しばらくしたら妻を求めて泣き出します。

昼間はいい感じなんですけどね!
絵本を読めとせがんできたり、抱っこしてくれと足にしがみついてきたり。
「おぉ、そんなにお父さんがスキなのか

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義母のラブホはセーフかアウトか

義母のラブホはセーフかアウトか

ご結婚されている男性のみなさま。
義理の母の口から「ラブホ」という言葉を聞いたことがありますか?

僕はあります。
それも、家で向かい合って食事しているときにです。

テーブルの上に「ブテホル」だか「ブリテホ」だか忘れましたけど、とにかく「ラブホテル」っぽい名前の薬が置いてあったんですね。

それを見た義母が突然「これラブホっぽくない?」と。

僕の頭の中では、「義母」と「ラブホテル」がすぐには結

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父親はスーパーサブを目指そう。

父親はスーパーサブを目指そう。

イクメンって言葉が流行ったり、男性の育児参加の必要性が叫ばれるようになって、だいぶ経ちましたが、やはりいまでも「男性は働き、女性は育児」という家庭が大多数を占めるのではないかと思います。

育児において、父親は補欠なんです。

僕も例外ではありません。平日は仕事をしていますし、妻はその間育児をしてくれています。

子どもと一緒にいる時間が長いのは妻、つまり母親です。

そうなると、育児用品のある場

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いい体温計、買っときな。

いい体温計、買っときな。

いい体温計がなくて困ったよ、って話です。

先日、息子が初めて風邪を引きました。

コロナの影響で、これまで人混みを避けてきたこともあって体調を悪くしたことがなかったのですが、1歳3ヶ月にして初めての風邪。

いやー、やっぱり体調は良いに越したことはないですね笑

正直めちゃ大変でした。

意外なところで困ったことがあったのでそれを書いていこうかなと。

体温計の話です。

我が家には体温計が2つ

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抱っこ、あと何回できるのかな。

抱っこ、あと何回できるのかな。

左腕が痛い。明日は筋肉痛かもしれない。

最近は息子を抱っこすると、すぐに腕が悲鳴をあげるようになった。

息子は1歳と4ヶ月。
体重も10㎏以上あるのだから当然といえば当然だ。

僕にはあと何回この幸せな筋肉痛が訪れるのだろうか。

あと何回「抱っこして」としがみついてくれるのだろうか。

きっと「そういえば抱っこしなくなったなー」と後になって気づくのだと思う。

そのときには、また違う幸せを噛

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