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#臨床心理
「エンカウンターグループで深まる」 臨床心理士への随録 心理学
エンカウンターグループとは、来談者中心療法の創始者C.ロジャーズによって開発された、対人関係の改善や個人の心理的成長を目指す集団療法である。今回贅沢にも、その流派において名の知れた当大学院の教授に進行役をお願いし、私を含む5名の希望者で、2時間4セッションの1day体験会を催した。
非構成型での実施。ファシリテーターは明確な指示を控え、ほぼ全ての流れをグループの叡智に任せる。私は開始直後から、何
「授業手記より教授への敬愛を表して」 臨床心理士への随録 心理学
4月より他大学へご栄転された教授の佇まいが好きでした.心理屋でありながら教育者,現実社会の仕事もできる人.失礼ながら専門職の方々は得てして事務や組織形成などの俗世の仕事は苦手な(避けてきた)人が多い中,どこで身につけたのかと思わせる働き様で,含蓄ある言葉を駆使し,決めつけや偏見を押し付ける一方的な指導をしない.本当に素敵で尊敬しています.指示待ち行動が得意な学友は”あの先生嫌い”と言っていましたが
もっとみる「傾聴ボランティアと心理面接〜とあるエピソードから」 臨床心理士への随録 心理学
外科手術で身体の一部を喪失した高齢者との対話で教えてもらったのは、特養で行う傾聴ボランティアと、大学院心理相談室で行う心理面接の相違についてでした。
傾聴ボランティアは受容的な関与傾聴ボランティアのゴールは、傾聴スキルを活用しながら施設の利用者とおしゃべりをすることです。施設利用の満足度とご本人のQOLの向上を目的とします。ボランティアと利用者の間には心理治療同盟がないので、ボランティアは利用者
生きることはすばらしい 「死の医学への日記」柳田邦男著 臨床心理士への随録 心理学
あなたは今どのような死生観をもっていますか。余命宣告を受けたがん患者さん達の死を前提とした終末期の生(せい)を通じて、ターミナルケアや在宅医療の在り方、クオリティオブライフなどについて考えさせられます。修士論文研究のテーマを、老成自覚×死への態度×健康度×中年期に定めたので、参考図書として手に取りました。この本に出会うまでは、自分の死因は痛みや苦しみのない突然死がいいと思っていましたが、死ぬ準備期
もっとみる愛着障害の子どもが回復する家で考えた大人の役割について|臨床心理士への随録 心理学
先日、関東圏にある児童心理治療施設へ学外実習に行ってきました。入居している6〜15歳の子どもたちは、自閉症スペクトラムや情緒的な問題を抱えており、大多数の子どもが虐待経験からの愛着障害を併有しているとのことでした。
生活風景を見学していて、関わる大人全員が、入居している子ども一人ひとりに、たっぷりの愛情を注いでいるのが伝わってきました。しかしながらこの子たちは、愛情が一番必要だった時期に、一番注
「僕のヒーローアカデミア」にみる障害者福祉の世相 臨床心理士への随録 心理学
「僕のヒーローアカデミア」は、魅力的な登場人物たちが個性を武器に悪を倒していく、いわゆるジャンプらしい王道マンガです。今やその人気は日本に止まらず、アニメは世界148カ国に配信されています。私は毎週土曜日に放映されているアニメを観ながら、現代の障害者福祉を反映している作品だなと感じていました。
現在の障害者福祉におけるキーワードは「共生社会」です。共生社会とは、これまで十分に社会参加できる環境に
「日々進行する認知症と、怒りの感情」 臨床心理士への随録 心理学
自宅近所にある特別養護老人ホームにて、ショートステイに来られる認知症高齢者の傾聴ボランティアを行っています。四月から大学院が始まり、生活リズムを掴むまで少しお休みしていたのですが、先月より復帰しました。今日も今から行ってきます。
今年一月に初めてお話ししたおばあさんと久しぶりにお会いしたら、怒りっぽい性格に変容されていて、大きな衝撃を受けました。
感情のコントロールや理性的な行動を司る前頭葉が
「精神科病院実習で感じた、統合失調症のリアル」 臨床心理士への随録 心理学
8〜9月は通常講義がないため、学外実習に時間が当てられています。先日は近県にある精神科病院で、外来診察の陪席、入院病棟の見学、デイケアへの参加を通じて、統合失調症のリアルを感じてきました。統合失調症やうつ病などの精神障害を抱える患者数は、2011年57万人から2016年84万人へと増加の一途をたどっています。
統合失調症は、妄想や幻覚(特に幻聴が多い)などの陽性反応、意欲喪失や感情の平板化などの
「お節介をしない レディネス」 臨床心理士への随録 心理学
大学院では、20代の学友たちと一緒に学んでいるのですが、彼らの若さゆえの未熟さ、例えば独りよがりな思考や敬意を欠いた行動、孤独に耐えない自我の弱さなどに目がいく瞬間があります。老婆心からひとこと進言したくなるのですが、直接的な介入はしていません。私は「レディネス」の存在を信じています。
ヒトの発達について、20世紀アメリカで誕生した行動主義では「ヒトのあらゆる発達は適切な環境からの条件付けによっ
努力して得たものを捨てる「禅的老い方」境野勝悟著 臨床心理士への随録 心理学
歳をとると体力は落ちるし物覚えは悪くなるし嫌になることもあるのですが、慈愛の精神が育ってきたり色んなことに振り回されることが減ったりと良いこともあるんですよ。私はこの先、自己肯定感を持ちつつ、過去の成功体験を捨て去り、若い人から謙虚に学び続けられる人間でありたいです。
「禅的老い方」境野勝悟著若い人が自信と誇りを持つと、そこに必ずやわらかな笑顔が見える。喜びにあふれた言葉が生まれる。が、年が寄っ
遊びの心理ゲーム「森の中に現れた動物は?」 臨床心理士への随録 心理学
「それいけ×ココロジー 真実のココロ(青春出版社)」に掲載されている、心理ゲームを紹介します。
あなたなりの森をまずイメージしてください。。。その森の中を、あなたは歩いていきます。。。するとそこに、一匹の動物が現れました。それはどんな動物ですか?そしてその動物に向かって、あなたはどんな行動をとりましたか?
どうぞ目を閉じて、想像してみてください。
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いかがでしょうか?
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それでは解
「レジリエンスは柳のしなり」 臨床心理士への随録 心理学
レジリエンスとは、元々は物理学の用語で「外力による歪み(=ストレス)を跳ね返す力」という意味で使われていました。心理学者のラターは臨床的定義として「深刻な危険性にもかかわらず、適応的な機能を維持しようとする現象」と唱えました。私は「しなって折れない柳」のようなイメージを持っています。
特に産業領域で取り上げられることが多くなった背景に、近年の急激な労働環境の変化が考えられます。厚生労働省発表の「
「不名誉な挨拶できない人」 臨床心理士への随録 心理学
産業領域の臨床現場で活躍する特任教授が、社会人マナーについて講義してくださいました。
「挨拶ができない臨床心理士が多すぎる。」
開口一番におっしゃったのがコレです。嘆かわしい事ですが、心理職が働く医療・福祉・教育・産業・司法すべての領域の方々からそう言われているようです。20代半ばの新人が社会人経験をもたずにひとり職場で働き始める。社会常識がないのはある程度仕方ないことかもしれませんが、挨拶は
「加害者にならない絶対的確証はない 児童虐待」 臨床心理士への随録 心理学
今回の福祉心理学の講義テーマは児童虐待でした。哀しみ、怒り、憤りなど、様々な感情で靄(もや)がれていく自分を感じていました。なぜこんなにも鬱蒼とした気持ちになるのか、それは「子ども」と「親」の心情を同時に想像することで生じるアンビバレントさと感情のオーバーフローからと解釈しました。
私は小中学生の頃、弱い自分を憂いていました。背が低く痩せていたため、同級生とのプロレスごっこでは簡単にねじ伏せられ