Clytie

大学生 周りの人たちが大好き

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大学生 周りの人たちが大好き

記事一覧

日曜夜、月の見える東京駅丸の内駅前広場で

TGIF、そんな気分じゃない。 三時間前に届いたメールで、第一志望の企業の最終面接に落ちたことを知ったばかりの今夜だった。 乗り越えるべき障害が多いほど人生は面白く…

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2年前
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恋人がいない状態は不十分な状態なのか~ひとりのアセクシュアルとして~

大学にも慣れてきて、仲の良い友達が次々と恋人を手に入れている。 親友に至っては、ターゲットの子を手に入れるため飛ぶ鳥を落とす勢いで垢抜けており、周りを驚かせてい…

Clytie
3年前
69

母の日に母が濃厚接触者になった話~美しい惰性~

応援していたネットメディアの代表理事がセクハラ・性加害で解任された。 Twitterやネットニュースをひらくと、自分なりの正義を振りかざした人たちによる火まつりが行わ…

Clytie
3年前
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読んで良かった本5冊(異性とのかかわり編)

Photo by yuriponzuuさん 恋愛・性という言葉がうまく説明できないので異性とのかかわりを主に描いた本、というカテゴリで紹介する。 ※Amazonのハイパーリンクを埋めてあ…

Clytie
3年前
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読んで良かった本3冊(静謐な小説編)

簡潔に。 ※ハイパーリンクを埋め込んであるのでAmazonに飛べます。 ユリイカ―EUREKA 青山 真治 決して派手ではないが異様にリアルで、美しい。 バス運転手とひと組の兄…

Clytie
3年前
10

読んで良かった本5冊(ミステリー編)

本の魅力は、本来であれば出会う/経験するはずのない人生/感情を疑似体験できるところだと思う。 友達が少ないあまり全校生徒800人の小学校で当時小学二年生にして図書貸し…

Clytie
3年前
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かっこ、カッコ、()

もともと何もなかったはずのところに、 【】 囲いができる。 すると何もなかったはずの囲いと囲いの間に、 空間が生まれる。 内容がないだけで、空白が存在するようになる…

Clytie
3年前
7

だけかしら

私の住むアパートはすぐにブレーカーが落ちる。 ドアへと続く階段の手すりが錆び切った昭和建築、隣人の観ているCMがわかるほど壁の薄い木造住宅の運命だろうか。 同時に…

Clytie
3年前
7

自分は人とは違うのかもの気持ちととみんなと一緒にいたいの気持ち

マイノリティであること マジョリティもマイノリティも、多様性を形作る大事なピースである。性別・人種・門戸にかかわらずインクルーシブな社会であってほしいし、そうい…

Clytie
3年前
4

another choice

大学受験で、幸運なことに、いくつかの魅力的な合格校から進学先を選ぶことができた。そして最近、内省する時間が多いので過去の”選んでこなかった”選択肢について考える…

Clytie
4年前
9

祖父の話

 父方の祖父は、一緒に外食するたび、会計のおばちゃんに「この子、市の広報に載った子だよ」とさも自分が特集されたかのように話しかける。この慣れた物言いから推測する…

Clytie
4年前
7
日曜夜、月の見える東京駅丸の内駅前広場で

日曜夜、月の見える東京駅丸の内駅前広場で

TGIF、そんな気分じゃない。
三時間前に届いたメールで、第一志望の企業の最終面接に落ちたことを知ったばかりの今夜だった。

乗り越えるべき障害が多いほど人生は面白くなる、そういう人もいるけれどそんなのは所詮成功しかしなかった人の高みの見物だ。


大学四年生五月の今まで、おおむね上手に生きてきた方だと思う。
首都圏ではないけれどド田舎でもない、都会の波にもまれないながらにもある程度の教育と教養

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恋人がいない状態は不十分な状態なのか~ひとりのアセクシュアルとして~

恋人がいない状態は不十分な状態なのか~ひとりのアセクシュアルとして~

大学にも慣れてきて、仲の良い友達が次々と恋人を手に入れている。

親友に至っては、ターゲットの子を手に入れるため飛ぶ鳥を落とす勢いで垢抜けており、周りを驚かせている。長年側で見ていてもびっくりするほどだ。

最近、原宿のカリスマ的ポジションの美容室でイメチェンしてきたらしく、周りからの評判も上々である。本気で頑張っているのを知っているので、実ったらいいなぁと応援している。

友達との夜の電話でみん

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母の日に母が濃厚接触者になった話~美しい惰性~

母の日に母が濃厚接触者になった話~美しい惰性~

応援していたネットメディアの代表理事がセクハラ・性加害で解任された。

Twitterやネットニュースをひらくと、自分なりの正義を振りかざした人たちによる火まつりが行われている。

人を信じたくない。信じられない。

ああ、どうにも、不安定だ。

いつもちょっと届かなくて
いつもちょっと間に合わなくて

風に吹かれて/クリープハイプ

世は母の日。

不景気な顔をした百貨店諸々が、売れ残った薄桃色

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読んで良かった本5冊(異性とのかかわり編)

読んで良かった本5冊(異性とのかかわり編)

Photo by yuriponzuuさん

恋愛・性という言葉がうまく説明できないので異性とのかかわりを主に描いた本、というカテゴリで紹介する。
※Amazonのハイパーリンクを埋めてあります。

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
森見 登美彦古風な文体と物語の軽快さが非常にくすぐったく、読んでいて楽しい。
人間のしょうもない煩悩をここまでやるかというくらいに難解に表現する。カオスである。
”侃

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読んで良かった本3冊(静謐な小説編)

読んで良かった本3冊(静謐な小説編)

簡潔に。

※ハイパーリンクを埋め込んであるのでAmazonに飛べます。

ユリイカ―EUREKA
青山 真治 決して派手ではないが異様にリアルで、美しい。
バス運転手とひと組の兄妹はバスジャックに遭遇し、3人で生き残った。しかしそれぞれが事件で心に深い傷を負う。
傷によって綻んで、崩れていく家庭。ひとりぼっちで生きていく。あの事件のことは何もかも忘れたい。でも、世間が忘れても、時代が変わっても、

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読んで良かった本5冊(ミステリー編)

読んで良かった本5冊(ミステリー編)

本の魅力は、本来であれば出会う/経験するはずのない人生/感情を疑似体験できるところだと思う。
友達が少ないあまり全校生徒800人の小学校で当時小学二年生にして図書貸し出し数トップになってしまった私が、最近読んでよかった本を紹介する。
ジャンルは主に小説/エッセイ。

※Amazonへのハイパーリンクを埋め込んであります。

百年法(角川文庫)
山田 宗樹とってもおすすめである。
原爆が6発落とされ

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かっこ、カッコ、()

もともと何もなかったはずのところに、
【】
囲いができる。

すると何もなかったはずの囲いと囲いの間に、
空間が生まれる。
内容がないだけで、空白が存在するようになる。

空気しかなかったはずなのに、ドーナツがあるだけで、一部の空気は穴になる。
穴とは何か、みたいな論争があったような気もする。

もともと何もなかったはずなのに、
囲いの種類によって生まれた空間の雰囲気も違うのは面白いと思う。

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だけかしら

だけかしら

私の住むアパートはすぐにブレーカーが落ちる。

ドアへと続く階段の手すりが錆び切った昭和建築、隣人の観ているCMがわかるほど壁の薄い木造住宅の運命だろうか。

同時に使える家電は3つまで。キッチンの照明、IH、炊飯器。これにケトルを追加しようものならすぐにガシャンと全てが落ちる音がする。そしてすぐ闇だ。気をつけてはいるのだけれど結構な頻度でやらかしてしまう。

なぜかそのたびに、

自分が全部否定

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自分は人とは違うのかもの気持ちととみんなと一緒にいたいの気持ち

自分は人とは違うのかもの気持ちととみんなと一緒にいたいの気持ち

マイノリティであること

マジョリティもマイノリティも、多様性を形作る大事なピースである。性別・人種・門戸にかかわらずインクルーシブな社会であってほしいし、そういう社会を作っていきたい。

なんかずっと変だな、合わないな、と思っていた。

いざ自分がマイノリティ、多数ではないタイプだと気づくと、大きな疎外感と不安感に襲われた。生きづらさに気づいた。

この生きづらさを抱えながら懸命に生きている人は

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another choice

another choice

大学受験で、幸運なことに、いくつかの魅力的な合格校から進学先を選ぶことができた。そして最近、内省する時間が多いので過去の”選んでこなかった”選択肢について考える。

もし。

今進んでいる道と違うものを選んでいたら。

私は今どんな人間になっていただろうか。

中学二年生。

水泳で関東大会の出場権を得た。嬉しかった。しかし私は同時に、同時期に行われる市のオーストラリア研修にも合格していた。本格的

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祖父の話

祖父の話

 父方の祖父は、一緒に外食するたび、会計のおばちゃんに「この子、市の広報に載った子だよ」とさも自分が特集されたかのように話しかける。この慣れた物言いから推測するに、きっと私のいないジムでも、行きつけのコメダ珈琲でも、会う人会う人に言っている。二年前からずっと。買いたてのスマホで誌面を撮って、わざわざL版印刷して額縁に入れてくれた。雑誌の予備、手元に5冊も残ってるんだけどね。
 
 母方の祖父は野球

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