見出し画像

読んで良かった本3冊(静謐な小説編)

簡潔に。

※ハイパーリンクを埋め込んであるのでAmazonに飛べます。

ユリイカ―EUREKA
青山 真治 

決して派手ではないが異様にリアルで、美しい。
バス運転手とひと組の兄妹はバスジャックに遭遇し、3人で生き残った。しかしそれぞれが事件で心に深い傷を負う。
傷によって綻んで、崩れていく家庭。ひとりぼっちで生きていく。あの事件のことは何もかも忘れたい。でも、世間が忘れても、時代が変わっても、傷は癒えずにふとした瞬間にうずく。
人の痛みに寄り添うこと。人の痛みがわかること。痛みを忘れること。むしろ痛みを抱きしめ続けること。前に進むこと。正解のない答えを探し続けている。

博士の愛した数式 (新潮文庫)
小川 洋子

80分しか記憶が続かない数学者。彼に仕えるのは家政婦とその10歳の息子。
記憶とは。思い出とは。忘れることと前に進むこと。美しい人間関係に、とても温かい気持ちになれる。
雰囲気が似ているのは、羊と鋼の森(宮下 奈都)コーヒーが冷めないうちに(川口 俊和)あたりだろうか。


蜜蜂と遠雷
恩田陸

読んでいるのは文字のはずなのに、耳元でピアノの音が聞こえてくる。情景がありありと目に浮かぶ。それぞれに深い事情を抱える天才たちによる演奏という名の戦いに胸を打たれる。読後感が心地よかった。

この記事が参加している募集

休日のすごし方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?