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18禁小説!! 邪道作家赤城ちゃん 特別編

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本編


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要は、軍事行動である。

ドームのステージ上で「皆───ッ!! 今日は来てくれてありがとー!!」

と叫びながら大勢を動かすのにしても、10万の軍勢に「進め!!」と命じて行軍させるのと相違ない••••••どこぞの独裁者が分かり易いが、要は「沈黙」すら利用し「集団心理の扇動」作戦の実現こそ、アイドル家業の実態だ。

例え9才の小娘であろうと、このように大勢を動かせる訳だ••••••とはいえ、別に大した「偉業」というわけでもない。むしろ、非人間の殺人鬼作家として人間の心を知り尽くした身からすれば、中身は「動物の調教」と変わりない。

言うまでもないが、人間の「心」なんぞ「見れば」分かる。実際、ステージ上での動きの全ても、他の「人気アイドルの行動原理」や「動きによる民衆の同調理論」を完璧に理解したからこそ出来ただけだ。

群を動かすのとは、別の規範。

面倒臭いが、仕方ない───これが行軍による戦であれば、目を疑う軍略と悪意に溢れた抉り打ちで勝負を決めるが、生憎とアイドル作家はそうではない。むしろ、大勢の人気取りの為の動きを学び、模倣しなければならないのだ。

嫌な時代だ!! こんな連中のご機嫌取って、それが何だというのか。

その分、ノベルティは高めに設定させておいたが、果たして意味があるかどうか。
どこでもそうだが、売上の大半は事務所社長が握っている。無論ただ奪われるのは御免なので、私も弱みを握っているが───如何せん、9才の身ではまだまだだ。

もっとだ。もっと、権力と暴力を掌握せねば。

今日はその前段階───私はステージを終えると楽屋に入り、以前からセクハラを働いていたプロデューサーの一人を呼びつけていた。当然、可愛らしい美少女作家から声をかけられて、奴はといえば鼻息を荒くしている。

私は楽屋の中で準備をしながら、それを迎えた。無論、この「私」の準備なので、当たり前だが「平和的解決」からは程遠い。

無論、コンプライアンスやら、法律遵守など論外だ。

そんなことも知らずに、何だったか、この男の名前は••••••人間の名前は、非人間には覚えきれん。大体、100億近くいるのに、大した個性もなく恥ずかしくないのか?

蟻の名前なぞ、論外だ。やはり「男」でいい。

ただし、「金と権力」何より「人脈」を持つ肉塊だ。

なので、殺す訳にはいかなかった───事前設置したカメラで迫りよる男との映像───都合の良い部分だけを加工する───を「撮り終えた」後に、つまり恐怖しながら男に言い寄られる姿の演技という、鬱陶しい状況を乗り越えた直後、私は左膝の内側へと回り左肘で体制を崩してケツごと引っ張り地面に叩きつけた。
混乱する男を他所に、そのまま削り切った鉛筆で左手を壁に串刺しにする。そう、磔にされる聖者の如く、私は奴の左手を打ち付けた。

「ぎィやッ!!? な、なん」
「しィ──────」

空いている左の人差し指で口の前に指を立てつつ「黙れ」と目で命じる。無論防音設備のある場所をと準備は整っているので、別に騒がれても構わない。
ただ、虫が五月蝿いと腹が立つ。故に黙るよう促した。

「いいか、良く聞け••••••お前が私に言い寄った姿は「全て」録音済みだ。ああ、勿論「家族関係」や「不倫関係」に関しても調査してある」

とは言っても信じないだろうからと、事前に用意した写真を見せてやった。
何でも、マネージャーだかと浮気したらしい。しかし、一方で奴自身の出世は妻との政略結婚に近いものなので、バレれば全てを失うだろう。

「分かるか? 貴様の進退、業界での「命」を私は握っている」
「──────ッ!?」

理解出来ない、何が起きてるんだこれは夢かといった顔だ。まあ、いきなり9才の美少女アイドル作家が「脅迫と支配と政治」の話をしたら誰でも思う。

だが事実だ。そして、それで問題ない。

どうやって写真を手に入れたか? 立場が幼女だろうと「金の力」に不可能は無い───何故なら、人間がそう信じるからだ。

なので、立場を隠してネット越しの依頼を出しただけだ。探偵、ヤクザ、企業家、様々な人種を動かし必要な技術を揃えさえすれば、人類社会に不可能は無い!!

「分かるか? 貴様は私に従い続けるしか無いんだ。もし、逆らうか逆らうと私が判断しただけでも、貴様の今の立場───だけでなく、家族や社員にまで「事故」が起きる」

そして、耳元で娘の通学先、社員の行動記録を囁き、最近妻と何を話したかまでを話したあたりで「真実」であると思ったらしい。目つきが変わり「幼女アイドル」から「化け物」を見る目に変わった。

まあ実際、非人間の殺人鬼は化け物だろうが。

それが作家をやるというのだから、わからん時代なものだ。

そして、間髪入れず持ち出していた「鞭」を鳴らす。これは「人間の恐怖意識」を操るのに非常に効果的で、要するに「罰が与えられる」という「恐怖のイメージ」を刷り込むことで、犬と同様に躾けるのだ。

人間も同じだ。効果的に鳴らし続け、言葉を脳髄へと刻んでいく。

「───という訳だ。分かるな? 次の番組主催に私を推せ。でなければ」
パァン!! と派手な音が大きく鳴る。そして
「い、いやしかしそれは」
と、反論しようとしたところで足を叩いた。

「あぎぁッ!!!?」

「──────ダメだ、悪い子には「お仕置き」だ。いいか良く聞け───私は「やってくれ」ではなく「やれ、さもなくば殺す」と言ってるのだ」

涙を流しながらコクコクと頷く••••••早すぎるな。もっと躾けておきたいのだが。
なので、意味もなくもう一度二度鞭を鳴らした。

「あひィ!! やる、やります。やるから許して••••••」

「ダメだ。お前は今、少しだけだが「逆らっ」た。この「先」の事もあるしな───私に逆らえば「どうなる」のか? 徹底的に「刻んで」やろう」

悲鳴を上げる男を他所に、私は楽しみに満ちていた。
平和な時代ほど毒だらけだ。やれ「法律」だの「我慢」だの、殺人衝動を我慢する殺人鬼に、一体どうやって生きろというのか?

これだから人間讃歌は!! 音と反射行動で人を支配する、私には猛毒極まりない──────ちなみに、オモチャの鞭でも反応するようになり、スタジオなどはそちらを常用している。

要は「恐怖を思い出す」ようにすればいい。それで人間は支配可能だ。

とはいえ、実際には満足から程遠い結果となった。というのも、殺す訳にいかないという理由からひたすら「周囲の壁ごと死なない程度に」鞭打ち百回をしただけだ••••••本人を嬲れないので、殆ど壁を叩いただけだった。

やれやれ、つまらない時代だ。全くな。


とはいえ、表面だけ装飾すれば「何でも」出来る時代とも言える。中身なんぞ誰も見ていないというなら、表面だけ美少女ならそれで解決だ。それに、別に自分自身がそうでなくとも、そういう人材を雇えばいい。

その上で、本を売る。邪道作家シリーズを売りまくる。

死んでいようが生きていようが、どちらにしても同じ事だ───偉ぶった悟り小僧が「常世で金銭は無いのです」とほざくのならば、金融システムをあの世に密輸してでも物語至上主義を貫き通す。

それが「私」だ。9才のアイドル作家、そういう体で売っている。
なぁに、真実が非人間の殺人鬼、サイコパスの化け物でも構うまい? とりあえず美少女で歌と踊りが大切だ。適当な表面だけで、貴様ら簡単に騙されるだろう?


任せろ!! 正体を隠しつつ「確実に」邪魔者は消し去り利益を掴む。
どんな「手」を使ってでも、自分「だけ」を信じて利益の未来へ辿り着く!!

それが「私」だ。よろしくな、読者共!!!


その「悪の頂点」としての自負だけは、嘘偽りなく「保証」しよう!!!!





新旧あとがき有り 上記ファイルは旧版

テーマ 非人間讃歌
ジャンル 近未来社会風刺ミステリー(心などという、鬱陶しい謎を解く、という意味で)
グーグルプレイブックス対応 栞機能付(右上)

殺人鬼作家が作者取材ついでに、奪って襲って暴れまくる。
そんな話だ。天上天下において唯我独尊を貫き、未来過去現在に「並ぶ者無し」と断言出来る、その「悪意」だけは「保証」しよう!!!


テーマ 非人間讃歌
ジャンル 犯罪ファンタジー? 
簡易あらすじ
仕事に精を出しただけなのだが、平たく言えばサツには嫌われ衛兵に物を投げられ若い女に手を出そうとすると、エルフ耳の青髪娘にゴミを見る目で見られる物語だ。

分かり易いだろう?



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