【業界研究】総合商社は資源から脱却すべきなのか?
ラジオで聞きたいという方はこちらから!(内容は同じです)
こんにちは!
就活アドバイザーのYasuです。
大変久しぶりの投稿となりました。
実を言うと、仕事が少しバタついていた&最近仮想通貨の相場が大変よく、投資に集中してしまっていました。
(仮想通貨の記事も増やしていけたらいいですね)
今後も定期的に就活関連、総合商社のニュースを紹介していきたいと思いますので、宜しくお願いします。
私は、新卒から総合商社で働いておりまして今年で3年目になりました。
突然ですが、
「総合商社の資源からの脱却」
とよく聞きませんか?
価格変動の激しい資源だけに頼らずに、非資源分野で安定的に純利益を増やしていこうという考え方です。
3年前くらいから言われていますね。
この言葉について、少し疑問に思っていますので、
①総合商社の資源ビジネスの現状
②それに対する私の意見
を書いていこうと思います。
私の疑問をひとことでいうと、
「資源で稼ぐのはいけないことなのか?」
です。
まとまりのない話になってしまったら、ごめんなさい。
では、始めていきます!
筆者ってどんな人?
2019年卒で、総合商社にて勤務しております。
趣味:読書とスポーツ全般
出身大学:MARCHレベル
就活時は幅広く業界を見ており、40社にエントリー。面接も70回以上受け、結果的に外資金融、外資コンサル、大手食品メーカー、広告代理店を含む6社から内定をいただきました。
noteでは、就活のコツや総合商社業界に関する記事を中心に書いています。
学歴で諦めない、攻めの姿勢の就活を応援します!
profile:https://note.com/bookbility/n/nfd1539ae83ba
1.総合商社の資源ビジネス
まずは総合商社の資源ビジネスについて現状を整理します。
資源と言ってもかなり幅広いです。
商品としては以下のようなイメージを持ってもらえれば良いかと考えます。
・石炭:脱炭素の流れから、縮小傾向
(参考)グレタ氏の指摘により、三菱商事がベトナム火力発電から撤退したこともありましたね。SDGsの観点で、石炭は資源の中でもかなりの逆風です。
・鉄鉱石、原油:社会のインフラとして依然として大事。
一方で環境的なインパクトが度々指摘されている。
価格の変動が大きく、純利益への影響も大。
・LNG:石炭火力よりは環境に優しいため、注目されている。
・銅:EV車は通常の車の3倍の銅を消費するため、
今後も伸びが期待される。
2.総合商社は資源ビジネスに依存しているのか
東洋経済オンラインにて「資源一本足打法」と例えられる三井物産は、2022年3月期第2四半期決算にて、資源ビジネスが純利益に占める割合が、なんと67%でした。
(決算資料より私が算出)
3分の2が資源ということになりますね。
特に鉄鉱石の鉱山運営事業が調子良いです。
三菱商事も強みを持つ石炭を中心に稼いでおり、天然ガスや金属で全体の40%ほどを占めます。
伊藤忠はITに注力し、資源分野での利益は30%ほど。他と比べると少なめですね。
現状を整理すると、「資源は総合商社にとって大事なビジネス」と言えます。
では、なぜ各社資源からの脱却を目指しているのでしょうか?
この点について以下で解説してみます。
3.資源の欠点:利益が安定しない
資源ビジネスは利益が安定しないという欠点を持っています。
その背景に潜む2つのリスクを解説します。
まず第一に価格変動リスクです。
2017年からの石炭の先物価格を見て下さい。
2020年の底値から比べて、2021年の前期に4倍以上になっていますね。
そのあとは急降下しています。
どの資源も例外なく、政府の意向や採掘量の変化による価格の上下が激しいです。
一方でITや機械、金融など非資源の事業は、事業会社の運営を通じて安定的に稼ぐことができます。
需要は比較的安定していますし、価格変動リスクは少ないからです。
ゆえに企業が「安定的」に成長していくためには、非資源ビジネス割合を増やす必要があると言われます。
資源一本足では過去最高益と、最大赤字を繰り返してしまう可能性があり、これでは新規案件に継続的に投資ができないのですよね。
2つ目に、オペレーションリスク(操業リスク)があります。
資源ビジネス、特に鉱山はオペレーションが止まると大赤字になってしまいます。
例えば昨年度の住友商事のマダガスカルのニッケル鉱山事業。
コロナによりマダガスカルで外出規制が行われた影響で、3月末から鉱山の操業が停止されました。
住友商事が想定していた時期に操業が開始できないとなると、持っている資産価格を再評価し、減損を計上する必要があります。
結果的に20年度は、この事業で、1,500億円の減損を出すこととなりました。1つの事業で1,500億円なので、如何に規模が大きいか分かります。
オペレーションリスクは、コロナのような先行き不安の時代に、猛威を振るうのです。
以上2つのリスクから、資源ビジネスの利益は安定しないことが分かります。
4.各社の取り組み~資源から脱却するために~
「資源からの脱却」は各社で広がってきています。
・まず、非資源の商社、伊藤忠商事は市況に左右されにくい、生活消費関連事業の育成に注力し、上で書いた通り、資源割合は3割程度に抑えています。
ローソンなどの小売りを中心としたDXも進めていますね。
・資源の代表格三井物産も、病院経営を中心としたヘルスケア部門に注力し、大型投資を行っています。
2019年3月には約2300億円を投じ、インドやマレーシアなどで80病院を経営するアジア最大級の民間病院グループ・IHHグループの筆頭株主となった。
引用:https://toyokeizai.net/articles/-/403398?page=3
・三菱商事は資源から脱却するとの戦略は出していませんが、
EX(エネルギートランスフォーメーション)を進め、再エネを中心とした資産の入れ替えに積極的な印象です。
5.私の意見「総合商社は資源から脱却したほうが良いのか?」
さて、ここまで総合商社の資源ビジネスをまとめてみましたが、
「総合商社は資源から脱却したほうが良いのでしょうか?」
個人的には、資源ビジネスが純利益に占める割合を減らすことに賛成しつつも、【脱却】の必要はないと思います。
野球のチームで考えてみてください。
資源ビジネスは空振りが多く、打率も低いが、一発を秘めているいわばホームランバッターです。
一方で非資源ビジネスはコツコツ安定的にヒットが打てるが、長打は狙えないアベレージヒッターだと思います。
全てがアベレージヒッターのチームもいいですが、他の商社のどこかがホームランを打ち続けたら、大きな差が生まれてしまいますよね。
資源から完全脱却すると、競争から疎外されてしまう可能性もあるのです。
一発がある限り、大切にしないといけないのではないでしょうか?
三菱商事のように資源の洗い替えを行うのは、もちろん大事ですね。
SDGsの観点から反し過ぎない資源ビジネスを展開すると、良いかなとは思います。
また、資源開発は総合商社にしか取り組めないビジネスだと思っています。
専門商社が行っているのはあくまでトレードが中心で、
鉱山の開発には、政府とのコネクション、資源に関する深い知見、そして莫大な資金力が不可欠です。
この観点で見ると、総合商社以外が資源開発を行うのはかなり厳しいです。
まだまだ、総合商社に競争優位があるので、続けてほしいビジネスです。
以上の理由から
「総合商社の資源からの脱却」
という言葉には違和感を感じている今日この頃です。
純利益にもかなり貢献していますよね!
皆さんはどう思いますのでしょうか?
Twitterやnoteのコメントでご意見いただければと思います。
本日はここまでにします。
最後までお読みいただき有難うございました。
今後も宜しくお願いします。
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