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今日の戯言

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ふと思いをよぎることを、メモのように気楽に書いています。
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海の日

海の日

 月曜日は、プラスチックなどの再生ゴミを出す日だ。
目が覚めると、今日はどのゴミを出さないといけないかが、頭をよぎる。
祝日でもゴミ出しと回収は、必ずきちんと行われる。年末年始を除いて。

 私の住んでいるところでは、一週間に五日ゴミの回収がある。分別回収がきっちりしているので、うっかり間違った種類のものを出すと、帰宅する頃にまだ残っていて、どこか気恥ずかしい。どの日も同じ時間に回収に来てくれると

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音像2

音像2

 先日、久しぶりにフェスティバルホールの演奏会へ足を運んだ。
読売日本交響楽団が、ワーグナー、ブライス・デスナー、ウェーバー、ヒンデミットと多彩な演奏を繰り広げた。
指揮者、演奏家共に優れて今人気のある方だったのだろう、会場はほぼ満席だった。

 フェスティバルホールのホームページを見ると、「天から音が降り注ぐ」とある。しかし、残念ながら改装してからのフェスティバルホールでそのような音をまだ経験し

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はつうみ

はつうみ

友人の展覧会を観に、西へ西へ。海際にある木造の倉庫は、梅雨の狭間の夏日の陽射しからホッと一息、ひんやりと心地よい。

坂を少し降りると、そこはすぐ、海。瀬戸内海だ。
地元の子供たちがあそんでいる。

簡単な装備で海に入る。
何年ぶりだろう、もしかすると、10年くらい前か?
水温は暖かく、こんなに身体が浮くのが不思議だった。長い間忘れていた感覚。波打ち際で上を向いてずっと空を見る。少し曇ってきたがち

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日曜日

日曜日

 少し蒸し暑い日曜日の夕方、ガク紫陽花の色は少し燻んでいる。

 お昼間から、亡き友人のお母さんと、ビデオを見ながら5時間ほどおしゃべりをしていた。少しづつ内容は変わってきたが、最終的に繰り返されるエピソードがいくつかに絞られてきた。様々な人間との悔しい思いや怒りが含まれている。変わらないのは、娘である亡き友人の苦労の数々と、賞賛。
娘を自分より早く亡くした喪失感は、私にはわからないが、もっと生き

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音像

音像

 このところ、大きな展覧会にかまけてギャラリーの展覧会を忘れている。人との付き合いも、大きな集まりやSNSの追い打ち広報に目を取られ、自分が大切にしているものほど、最後尾に回って忘れてしまうことも度々ある。仕事とプライベートが分かれているのかいないのか、考えても仕方がない。

 作品は、誰かのためだけに作るものではないので、境界の形は常に変わる。長年お世話になっている映像作品の編集長よりおすすめの

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私は知っているか

私は知っているか

 五月の最終週は、どこかチグハグでやる気の起こらない週だった。

今日は六月一日。
空は晴れて明るく爽やかな土曜日
明るければ、明るいほど気持ちは後ろへ引っ張られていくような朝。
今年の太陽の軌道は、もう半分進んだ処に向かっている。

 よく晴れた水曜日の平日の10時半ごろ、一人広い会場に座り、私はただ作品をぼーっと見ていた。

 中之島美術館で開催中の「没後30年 木下佳通代展」を観に行った。

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ballet-tombé

ballet-tombé

 あれは、2012年だったと思う、彼女のバレエ教室のオープンクラスに初めて行ったのは。

 教室は同年代の友人の学校で、家から徒歩8分のところにあった。教室は高槻と茨木にもあり、彼女はあっちもこっちも移動して教えていた。バレエ教室というと、とても豪華な雰囲気を想像するかもしれないが、家の近くのスタジオは広いが冬は寒く夏は暑い。更衣室など気の利いたものはなく、必要最低限の設備だった。

 はじめは

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制作後の虚

制作後の虚

 今日は五月九日だ。
4月の終わりの週から、三日間の連休が始まった。
三日間の平日を挟んで今度は四日間の連続休暇。

 「昭和の日」「憲法記念日」「みどりの日」「こどもの日」「振替休日」
それらに土曜日曜が加わって、カレンダーは赤い文字がずらっと並ぶ。
今年は、各地で観光客が再び桜を愛で、日本のハイ&アサブカルチャーを楽しみ、お土産をいっぱい手にして楽しそうな風景が続いていた。

 一年前は、まだ

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「個展が終わり雑記」

「個展が終わり雑記」

作品を持ち帰って倉庫に入れる作業と掃除で、昨日は終わった。

いつも通り「浦島太郎症候群」が始まる。

 作品とそれにまつわる言葉で埋まっていた7ヶ月間の日常から、徐々に離れていく感じがしている。
でも、まだ身体はあの鏡ように、どこかに置き去りにされた感じがしている。

絵の中なのか。それとも時間の中なのか。言葉の中なのか。

 今回は、ギャラリーの工房で制作していたので、規則正しく出勤していた。

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あと四日

あと四日

個展も残すところあと四日

始まった頃は寒くて雨が多い三月の終わり

お客様もダウンコートを着て

暖かいお茶を出していた。

昨日も今日もどんどん陽射しが強くなり

半袖でもいいくらいの午後

桜のことを忘れてしまうには

まだ早いか?

昨年末から

四ヶ月間、同じルーティンを繰り返してきた。

一日一日が

絵の具と一緒に層になり

季節の時間とは異なった時を過ごしてきた

最終日は輪唱のよ

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春、日曜午後

春、日曜午後

風柔らかく花びらはゆっくり落ちてゆく。

夏将軍は幕間で準備に余念がない。

「さて、今年の春の踊り子たちもよく舞ってくれることよ」と、
冬将軍は重い衣装をぬいで汗を拭う。

少年たちはボールを
投げる
蹴る
打つ

「結婚おめでとう」と少年たちはゲームの画面を見ながら和気藹々

そろそろ虫たちも動き出し、晴れた空に羽虫も踊る。

南の国では秋の姫が山登りを始めたと、鳩が告げて飛び立った。

©️

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阿倍野のご老師

阿倍野のご老師

 「その道に入るんやったら、親や家族の死に目には会えぬと思え」「頂いたお座敷は断るべからず」とは、卒業後に亡父が言った言葉。流石に、年齢と共にペースが変わり最近は、時々お断りすることが出てきた。

 時代遅れに響く今日頃ごろだけれども、確かに父はそのような生き方をしていたなあと思い出した。決して善人ではなかったし、裏も表があるええかっこしいのところを、私は見事に受け継いでいる。と思えば、母の田舎風

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赤いカーディガン

赤いカーディガン

先日、とても懐かしい友人とオンラインで会った。

10年以上、いやもっと長い間合っていなかったかもしれない。

その間メールニュースで自分の活動を送ってくれていた。

彼女の紡ぎ出す表現はどのようなものであれ、いつも自然な慈愛に満ちている。

メールの最後に、いつも”Sunny Love”と記されたその一言で、
ほっとすることが度々あった。

だから、時々サイト見たりして思い出していた。

画面に

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真夏の陽射し

真夏の陽射し

  連休土曜日の午前は雨も上がって、自転車で眼科医へ検診に行く。来月には個展を控えているので、平日に行くことがなかなかできない。仕事に出ている殆どの人はそうなのだと思い、混んでいても仕方ないと待合のソファで珍しく本を読む。

 このところ、左の眼の端が瞬時、眩しくなるときがある。目を使う仕事なので、画面の見過ぎが応えているのだろうか。痛みはないが、半年ぶりに、瞳孔を開いた状態にして、眼の奥まで観て

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