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子ども時代にこそたくさんの体験を!「体験格差」が浮き彫りにした現代の「闇」について考える~お金をかけずに体験するための情報収集の方法とは

こんにちは、水無瀬あずさです。最近なんとなく読書づいているので、本についての意見とともに問題提起などを一つ。

ゴールデンウィークのころに、Yahooニュース経由でこんな記事を見かけました。

「体験格差」、この言葉をご存じでしょうか。私はこのときはじめて目にしたのですが、クラブ活動や習い事、休日の自然体験や家族旅行、ボランティア、地域のお祭りなど、いわゆる学校とは違う場所で子どもが得られる「体験」にも、保護者の所得や環境などさまざまな要因によって格差が生じているというのです。

私はつねづね「子どもの習い事にはお金がかかる」ということを実体験として感じていたので、所得の格差が広がれば子どもの体験にも格差が生まれるのは仕方ないことだよなと思いつつ、非常に世知辛い気持ちになりました。だって子どもたちの友達は、3つも4つも習い事を掛け持ちしている子が少なくないんです。みんなどこにそんなお金持ってるの!?と思いますが、とにかくお金持ちはそれだけ教育にお金をかけれるから、子どもに質の高い体験を与えられるということ。何とも世の不条理を感じたわけです。生まれながらにして優劣ってあるのよな、たぶん。

とはいえ、体験格差は子どもの社会情動的スキル(非認知能力)だけでなく、想像力の幅や選択肢の幅にも関連しているというのは問題です。人間、誰しも自分が経験した体験をベースに物事を判断するものですから、「体験」を得られずに成長した子どもは、自ずとあらゆる選択肢の幅が狭くなるということ。未来を担う子どもたちの将来が、格差によって制限されてしまっている現状は非常に悲しいと感じました。子を持つ保護者一人ひとりが子どもの「体験」の大切さを認識し、出来る範囲で努力することが大切なんじゃないかなあ。

そこで今回は、新書『体験格差』から浮き彫りになった「闇」を明らかにしつつ、我が家が実践している「お金をそれほど使わなくても子どもに与えられる体験」についてご紹介したいと思います。


全国調査で明らかになった「体験格差」とは

上記のニュース記事を読み、当該の本を買ってみました。

著者は、子どもの貧困や教育格差に取り組んできた非営利団体チャンス・フォー・チルドレンの代表理事である今井悠介氏。同著では、2022年に日本初の「子どもの体験格差に特化した全国調査」を実施し、その結果から見えてきた日本社会の姿を明らかにしています。この調査は公表されると同時に話題となり、さまざまなニュースでも取り上げられたそうです。そういえばニュース7で見たような気がしないでもないでもない・・・。

なお「体験」の定義は、このようになっています。皆さんも子ども時代、いくつかは参加した経験があるのではないでしょうか・・・。

出典:子どもの「体験格差」実態調査最終報告書|公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

同著によると、「体験」がなぜ重要なのか、その意義として、以下のようなことを挙げています。

  • それぞれの子どもにとっての「楽しさ」を実感できる

  • 子どもの社会情動スキル(非認知スキル=忍耐力、自尊心、社交性、目標を達成する力、他者と協働する力、情動を抑制する力など)を伸ばす

  • 将来に対する意欲や価値観を高める

  • 色々な他者とのつながりを育める

何かを一度もやったことがなければ、それが好きか嫌いかもわからない。何かを一度も食べたことがなければ、それが好きか嫌いかもわからない。どこかに一度も行ったことがなければ、その場所が好きか嫌いかもわからない。
子どもたちにとっての想像力の幅、人間にとっての選択肢の幅は、大なり小なり過去の「体験」の影響を受けている。貧困状態にある子どもたちは、「過去にやってみたことがあること」の幅が狭くなりがちだ。そして、そのために「将来にやってみたいと思うこと」の幅も狭まってしまいがちなのだ。
体験格差とは、今を生きる子どもたちにとっての楽しさや充足感の問題でもあり、将来の人生の広がりに関わるより長期的な問題でもある。そのどちらも極めて重要だ。

引用元:『体験格差』第一部

このように「体験」は子どもの成長に非常に大切であるにもかかわらず、保護者の収入格差によって、いま子どもの体験格差が生じているというのです。調査によると、学校外での体験(放課後に行うクラブ活動や休日の体験など)を過去1年間の間に1度も経験しなかった割合は、世帯年収300万円未満で29.9%、300万~599万の世帯で20.2%、600万円以上の世帯で11.3%となり、300万円未満と600万円以上の世帯2.6倍もの格差が出来ていることになります。

出典:子どもの「体験格差」実態調査最終報告書|公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

確かに大人になってみると、子どもを連れてのキャンプや海水浴、家族旅行というのはいちいちすごくすごく、そう、ものすごくお金がかかることが分かります。入場料そんなにかかるの?移動費だけでこんなに!?食費かかりすぎじゃない?みたいな。自分たちの子どものころはそれが当たり前と思っていたことが、意外とハードルが高かったことを知り、お父さんお母さん本当にありがとうという思いを強くするのです。いやマジで。

そうなってくると、家族旅行なんてホイホイいけないし、お金のかかるお出かけは数か月に一回とか、どうしても削らざるを得なくなります。共働きの我が家ですらこうなのですから、ひとり親などのいわゆる貧困家庭にその余力を求めるのは酷というものです。結局、お金持ちだけが質の高い体験を提供できる「勝ち組」へと成り下がっている、それが現代社会の「闇」と呼ぶべき部分なのでしょう。いや世知辛いぜ。

実際調査でも、「子どもに体験をさせてあげられなかった理由」の堂々1位が経済的な原因、それから時間的な原因ですね。精神的・体力的な余裕がないというのもあります。特にひとり親だとそういうのが深刻でしょう。仮にお金があっても、働いていたら付き添ってあげられないし、難しい現状がありますよね。

出典:子どもの「体験格差」実態調査最終報告書|公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

このような現状を打破するためには、「社会で体験を支える」という考え方を持つことが必要だ、と同著には書かれています。さらにそのためには、体験に参加する子どもへの「直接の補助」(=保護者にお金を渡して終わりではないということ)、企業や地域ボランティア、NPO法人と言った体験を提供する担い手に対する補助、そして体験として活用できる施設の維持管理などが必要としています。

物価高騰などの影響で国民生活がひっ迫し続けている昨今、「子どもの体験のためにお金を出す」という決定を国がしてくれるとは正直到底思えません。しかし未来を担う子どもたちの将来が、こんなに暗澹たるものであってはならないのも事実。どうか子どもの貧困や格差と並行して、体験格差の是正についても動き始めて欲しいと願います。

2時間もあればサクッと読める本なので、ぜひ子を持つ皆さんにお読みいただきたいですね。

我が家で実践している「体験」

さて、体験格差について一通りご理解いただけたところで、我が家の子どもたちの体験について触れておきたいと思います。すでにお伝えしているとおり、我が家の子どもたちは現在習い事をしていません。一時期やっていたことはありますが、ほどよい場所に通いたいものがなかったこと、それから普通に今は学校生活だけで毎日が忙しいことから、特に何も通っていないという状況です。

では我が子たちがこれまで体験をしていなかったかといえば、答えはNOです。現在中3の長男くんは5年生から現在まで、NPO法人が主催する地域活動「ジュニア記者」に参加しています。今年なんと5年目。また、そこからのつながりで別の地域活動ボランティアにも参画しています。次男くんのほうは、同NPO法人の別の活動「ミニヨコハマシティ」というプロジェクトに参加しています。今年で3年目、これまでの経験を生かし、年下の子どもたちにいろいろとレクチャーをしてあげる立場になっています。

これらの地域活動、基本的に私は一切ノータッチです。ジュニア記者は保険料として年間1000円だけかかりますが、他の活動は基本的に無料。ただし、いろいろなところに移動するので、現地までの移動費や昼食代などだけは実費として負担します。とくに長男くんはこれまで本当にいろいろなところに行っていて、たとえば以下のようなことを体験しています。

  • 区内にある製麺工場の取材

  • データセンターの取材

  • バスケットボールチームの試合観戦&選手インタビュー

  • 県内の商店街のおまつりを企画

  • 横浜市の依頼でイベントの体験&取材

  • 横浜マリンタワー取材

  • 大学祭の取材

  • 区長にインタビュー

めっちゃ面白そうじゃないですか!?この活動、初めは私が見つけて「やってみない?」と長男に持ち掛けたものだったのですが、いろいろなところに行って取材までできるので本当に羨ましくて、何なら私が代わりにやりたいくらいです。1年で辞めるかなと思ったら「続けたい!」と言っていたので、始めて見て本当に良かったと思っています。

基本的に市内の移動なので移動費もそれほど高くなく、またものによっては交通費や昼食代も出ることがあるので、長男くんは「今日は経費で豪華ランチ!」などと喜んでいます。こんな素晴らしい活動なのに、参加者は年々減っているそうで、それゆえ我が子たちは戦力として大変役に立てているという部分もあるようです。

小学生の頃は移動も少し心配でしたが、それでも今の時代はスマホがあるのである程度は安心です。公共交通機関に一人で乗る体験って、子どもにはなかなかやらせてあげるのも勇気が要りますが、こういう機会があると思い切って経験できていいですよ。

これらの経験で培われるのは社会性です。いわゆる非認知能力ってやつ。同世代や年下、年上、年配の方など、幅広い世代の人たちと関わり合うことによって、学べることは非常に多いはず。いい人もいて悪い人もいて、合う人、合わない人がいる。そういう世界を経験することで、学校という世界が実はすごくちっぽけなこと、もっと別の世界がいかに広がっていること、自分にできることがまだまだたくさんあることなどを認識できるのだと思います。

私は常々、子どもに必要なのは知識と体験だと思っています。ここでいう知識というのは塾に行って学ぶようなものではなくて、ニュースを見て世の中を知って人の真理を知って、この世界を生きていくための知識。別に学校の勉強ができることはそれほど大切じゃないけど、たぶん知識はきっと多ければ多いほど良い。良いというか強い。知識は力です。どれほどネットが普及して「検索すれば分かる」時代になっても、知識を持っている人と調べた人との間には雲泥の差があって、知識を持っている人のほうが人生はより豊かだと思います。だから私はね、子どもたちに体験を通じて知識、生きた知識を増やしてほしいんです。

その体験っていうのは、もちろんお金を払えばそれなりに質の高いものが得られるとは思うけど、世の中って別に質の高いものばかりじゃないし、意識高い人ばっかりじゃないしね。あまりお金をかけずに参加して、いろいろな分野の人と触れ合うことが、実はすごく大事なんじゃないかなって思います。

地域活動を通じて、子どもたちの非認知能力、たとえばコミュニケーション能力やプレゼン能力、仕切る力、意見をまとめる力なんかは着実に育っていると感じます。学級参観などで長男くん、次男くんともに学級委員で頑張っている姿を見ると、地域活動が生きているなあ、参加させて本当に良かったなあと感動しますよ。

子どもの体験は保護者の情報収集能力で決まる!

体験格差に関連して私が強く言いたいのは、「それほどお金をかけなくても子どもに体験させられることって意外とあるよ」ということです。大事なのは、保護者の情報収集能力。あちこちにアンテナを張り巡らせていると、「ここでこんなイベントやってるんだ」と情報をキャッチできて、子どもに体験の機会を十分に与えられるんです。

実際、上でご紹介した「子どもに体験をさせてあげられなかった理由」の第5位には、「どのような活動があるか分からないから」というのがあります。情報はたくさんあるけど、探し方が分からないというのは、実は大きな機会損失になっていたりするんですよね。非常にもったいない。

我が子たちが参加している地域活動はNPO法人が実施しているのですが、参加者は年々減っているそうです。うちの周りは横浜でも特に子どもが多い地域なのですが、そういったところはお金持ちが多いらしく、お金を払って習い事に通わせるため、こういう地域活動に人は集まらないんですって。こんなに素晴らしい体験をたくさんしているのに、なんてもったいない!と思いますが、まあお金持ちはもっとお金を落とせばよろしい。うちのように「あまりお金はかけたくないけど・・・」っていう家庭の皆さんに、こういった活動がもっともっと届けばいいのになあと思いました。情報提供はいろいろなところでしているけど、なかなかそういう情報って能動的に探さないと目に留まりにくいんだよね。

お金がかからない体験の探し方

子どもを産んで育ててみてつくづく感じるのは、子育てに関連する人(主にお母さんや学校、行政)の圧倒的な情報リテラシーの低さです。スマホを持っていてゲームはプレイしていても、必要な情報提供や情報収集にはつなげられていないんですよ。令和の現代でも。

だから何が言いたいかというと、子育てに関する情報を手に入れたいなら圧倒的にアナログなんです。つまり!!行政の情報なんて紙媒体をPDFにしてアップとかされるので、それはそれはWebで探しづらい。紙情報を貪欲に収集することが、体験情報を探す大事なカギです。

ということで、紙媒体で子どもに体験をさせられる情報が載っているものをいくつかご紹介します。意外と見逃している目玉情報が眠っているかもしれないので、チェックしてみてくださいね!

都道府県や市区町村の広報紙の地域情報

各家庭にポストに入る都道府県や市区町村の広報紙、あれは実は情報の宝庫です。読まずに捨てている?もったいないですよ!私は子どもたちがまだ小さかった頃、働いていなくて貯金を切り崩して細々と暮らしていましたが、外にはどうしても出かけたくて、市の広報紙などを隅々までチェックして近場で出かけられそうなところを探していました。

たとえば横浜市の広報紙はこんなかんじ。市のお知らせページはまずチェックしますよね。「募集」「催し」「講義・講演」とか。最新号には日米対抗ソフトボール2024に小中学生を招待というのもあって、応募しようか悩みました(ソフトボールには興味なさそうだったから止めた)。

出典:横浜市広報紙最新号

あとは区版ですね。横浜市は市の情報と別に区の情報のページもあるので、市のページよりも入念にチェックしますよ。行けそうな施設で楽しそうなイベントがあれば、スケジュールを見て参加申し込みしたりします。ただこのへんは平日のイベントが多いので、なかなか参加もできないんですけどね。ただ、多くはWebじゃなくて電話問い合わせなので、人数制限があっても意外と競争なく申し込めますよ。穴場。

出典:横浜市広報紙最新号

学校からもらってくるチラシやこども新聞

学校からもらってくるイベントのチラシや新聞関係やフリーペーパーも実は要チェック。結構おもしろいイベント情報が載っていたりします。

ちなみに私が長男くんの地域活動について知ったのは、学校からもらってきた「ジュニア新聞」という新聞からでした。メンバーを募集していたので気になっていたのですが、参加できるのは5年生からだったので、「絶対5年生になったらやってもらおう!」と心に決めていたのです。

フリーの地域情報紙

商業施設などで配布している地域のフリーペーパーやクーポン付きチラシなども意外と穴場。我が家ではポスティングで入ってきたりするので、届いたら目を通すようにしています。限定イベントとか、ショッピングモールで開催される企画展とかの情報を見つけられることがあります。

地域の掲示板

アナログの極みなのですが、地域の自治会などが管理している掲示板ってありますよね。そこに子育て支援施設の情報なんかが掲載されていることがあります。たけのこほりとかおいもほりとか、子どもが喜びそうなイベントも結構あるので、定期的にチェックするといいかもですね。

子育て支援施設などで配布しているチラシ

横浜には子育て支援施設と呼ばれる場所がいくつかあって、子どもたちが小さい頃はしょっちゅう足を運んでいました。利用料は無料から300円くらいまでで、おもちゃがたくさんあって子どもが遊べる広場になっているんです。到着したら基本的に子どもたちはそのへんの子と一緒に遊んでいるので、私は荷物の近くでフゥ~とくつろいだりしていました。そういう施設には、提携している子育て施設や市の無料施設なんかのチラシがたくさん置いてあって、情報収集にはうってつけです。イベントや子育て相談のチラシを持って帰って、家で精査するみたいなことを昔はよくやっていました。

結び

子どもの体験には親の情報感度が非常に大切だと思っているので、もし「うちの子はあんまり体験をさせてあげられていないな」と感じるなら、ちょっと周りに目を向けてみてください。意外と面白そうなイベントって近くに潜んでいて、「なにそれ面白そう」とワクワクするものがたくさんあります。

ちなみに神奈川県では県が主催する夏休みの考古学体験という無料イベントがあって、申し込みが始まっています。抽選です。県内の小中学生のお子さんが居る方は要チェックよ!場所が微妙なんだけどね。

こんな感じで、まあ保護者には多少なりとも負担はあったりしますが、子どものための体験って無限に広がっています。休みの日にキャンプに行けなくても、県や市が主催する無料や安い体験イベントなら参加できることもあります。子どもたちの未来のために、今しか体験できないこと、珍しいこと、面白そうなことをたくさん見つけてあげましょう。そして保護者も一緒に楽しむ!これが基本ですね。

積読の本がたくさんありましてですね、まだまだ消化できていないので、しばらく本の話題が続くかもしれませんがご了承くださいませ。今回も長くなっちゃったァ・・・。

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