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「部下ガチャ」に失敗すると大変だなあとプロジェクトマネージャーの夫を見ていてしみじみ思った話

こんにちは、水無瀬です。6月が終わろうとしていることに驚愕を覚えています。ということを先月も書いた気がしないでもない。

本日から長男(中2)が定期テストでした。前回の記事で書いたとおり、2年生の成績から高校受験の内申に大きく響くらしいので、今週の勉強はずいぶんと気合が入っていました。よきかな。

で、本日長男が帰ってきてから、初日の感触を聞いたところ「・・・微妙」とのことで、母は「あっ・・・(察し)」となりました。結果がどうかはさておき、あと2日間乗り切ってほしいものです。ふぁいとー!

それはさておき、少し前、プロジェクトマネージャーをしている夫が部下のことでずいぶんと悩んで頭を抱えておりました。管理職って大変だよねアヒャヒャヒャと生暖かく見守っていた私ですが、夫の話を聞けば聞くほど「いや、その部下の子すごいね?」と思いましてね。とにかくイマドキの若者と交流することの難しさを痛感している次第です。というかこわい。

ということで今回は、夫の話を聞くなかで、マネジメントの難しさを実感するとともに、「上司ガチャ」だけじゃなくて「部下ガチャ」ってのもあるんだなとしみじみ思ったもので、そのへんの考えをまとめてみようと思いました。よろしくお付き合いください!

「通勤したくない君」の話

夫は都内にあるシステム開発の会社に勤めています。勤続7年目。コンスタントに転職をしてきた夫にとっては、一番長く在籍している会社です。役職はプロジェクトマネージャで、複数の案件や部下を管理するお仕事。パンデミックによる外出自粛のなかリモートワークになり、3年たった現在も在宅で働いています。穏やかで人当たりがいい性格なので、お客さんからの信頼も厚く、バランスや状況に応じて物事を調整できるスキルはすごいなあと思います。

そんな夫を最近悩ませているのが、都内の常駐先へ勤務している25歳男子の部下。私はその彼のことを「通勤したくない君」と呼んでいます。「通勤時間が1時間半もあって、ストレスで倒れそう」と上司である夫に相談してきたからです。ちなみに、リモートワークなら問題なく働けるらしい。なんそれ。

まず前提条件として、夫の会社はフルリモートではありません。夫は複数プロジェクトをマネジメントしている立場なのでリモートワークですが、ほとんどの社員はSES(※)で客先へ常駐しており、通勤かリモートかは客先の判断にゆだねられている形になります。で、「通勤したくない君」の常駐先は、社員もSESのメンバーも一貫して通勤が必要な会社ってわけ。

※SES(システムエンジニアリングサービス)とはソフトウェアやシステムの開発・保守・運用における委託契約の一種であり、特定の業務に対して技術者の労働を提供する契約です。(中略)SES契約では、システムエンジニアの能力を契約の対象とし、客先のオフィスにエンジニアを派遣して(常駐)、技術的なサービスを提供します。

引用元:ビジネス用語集|エリートネットワーク

「通勤したくない君」は千葉に住んでいて、地元は九州とのこと。一般的に「通勤がしんどい」だけで仕事内容に問題がないのであれば、そして単身で持ち家がないのであれば、職場近くに引っ越せばいいと思うのですが、夫がそれを言っても引っ越す気はないらしい。

そもそもなぜ出身でもないのに千葉に住んでいるのか夫が聞いたところ、昔都内に住んでいたことがあったんだけど、事故物件だったとかで(?)ベランダにホームレスが侵入したのがトラウマになって引っ越したんだとか。なんだそのエピソード、おもろすぎるやないかい!事故物件だからホームレスが来るわけではないのでは?というのと、だからってなぜ千葉?都内でも探せばほかにあったのでは・・・?とツッコミどころ満載であります。

職場が基本的に出勤だったとしても、たとえば卓越したスキルがあるとか、高い能力を持った人であれば、お客さんから高い評価を得られて、もしかすると特別にリモートが許可されることもあり得るかもしれません(まあなかなか難しいケースだけど)。ただ「通勤したくない君」の場合、技術スキルは超普通だそうで。しかも、よく休むのでお客さんの評判はイマイチとのこと。だめじゃん・・・。

私が正社員エンジニアだったころは、残業は当たり前でした。今はかなり変わっているとは思いますが、納期が必ずあるので、どうしても残業しなければいけないときがあります。残業でクタクタで、1時間半の通勤時間はしんどいよね・・・って「通勤したくない君」に同情の気持ちがあったのですが、よくよく聞いてみると「通勤したくない君」、毎日きっちり定時退社らしくて「なんじゃそら!?」となりました。ならええやんけ!と、言ってはいけないのでしょうが、いや時間はたっぷりあるやん・・・ダメなの・・・?

基本「会社が何とかしろ」の精神

夫は上司に当たるので、相談されたら何もしないわけにはいきません。「通勤したくない君」の言い分を聞き、社長や同じPMの同僚に相談して対応を考え、お客さんにも聞いてみたけどやっぱりリモートは無理と言われ。連日「どうしたらいいんだろ・・・」と頭を抱えていました。どうにかしてあげたくても、どうにもできないことの方が多い。何せ下請けだからね。つくづく、管理職って大変だなあと思いました。

とりあえず夫は、リモートにはできないことを伝えるとともに、それでもできる限りのサポートはするから話を聞くよってスタンスで、仕事終わりに「通勤したくない君」と長々とZOOMで話していました。いろいろと譲歩策を言ったものの、受け入れられることはなかったそうな。だめだこりゃ。

一般的に、自分の現状がイケてないと思ったとき、やることといえば①自分を変える②環境を変える、のどちらかだと思います。まず自分で動いてみて、それでも変化がなければ環境を変えるという流れになるかと。でも話を聞いた限り、「通勤したくない君」は自分が動く気はない人みたいです。何が何でも変えたくない、会社が何とかしろって姿勢。ある意味強い。

むしろ「通勤に1時間半もかかるから、自由になる時間が1時間半しかない」と漏らしていたらしい。いや、定時退社して通勤1時間半で、自由時間が1時間半って。一体何時に寝ているんだ。

最終的に1時間半くらい話していた気がしますが、最終的に「通勤したくない君」の口から出たコメントは「結局、自分が頑張るしかないってことが分かっただけでも良かったです」という謎のフォローだったそうで。会社は結局何もしてくれないんだね!という意図が見え見えで、穏やかな夫が珍しく「キレそう」と言っていました。あんなにいろいろ苦労して動いていたのにね・・・。

さらに、上のような話の流れに続いて、「週末フットサルやるので、来ませんか?」と誘ってきたそうで、「よくそこにぶっこんで来たな?」と驚くべき鋼メンタルであります。なんでも「通勤したくない君」、週末はフットサルにいそしんでいるんだとか。いや、それでもさ・・・って感じですが、メンタル強いの弱いのどっちなの。

「通勤したくない君」が今後取るべき道

いずれにせよ、「通勤したくない君」がこれから取るべき方向性は限られていると思います。

  1. 現状のまま頑張って働く

  2. リモート案件があればそっちに入れてもらう

  3. 通勤時間が短くなる都内とかの近場へ引っ越す

  4. フルリモートワークの会社に転職する

夫の会社に居続けるなら1から3のどれかだけど、2は可能性が低そう。ぶっちゃけリモートワークってある程度信用のある人じゃないと任せられないところがあって、「通勤したくない君」が信用に足る人物とはとても思えないんですよね。まあ、お客さんがどう判断するかによりますが。

仕事が辛いなら、辛くなくなるように自分を何とか変えていく必要があると思うんだけど、それは嫌らしいので、個人的にはさっさと辞めてリモート専門の会社に転職するか独立すればいいんじゃないのって思います。

必ずしも「我慢=悪」ではない

最近よく書いているけど、私の世代って「できるまで止めるな」と我慢を強いられたド根性世代で、「就職したら3年は辞めるな、転職できないぞ」と言われたので歯を食いしばって続けたし、超絶ブラックなエンジニア職だったこともあり、「我慢」することの多かった人生だと思います。

もちろんそれが美徳だとは思わないし、良い時代だったとは思わないけど、必ずしも「我慢=悪」でもないとも思うんですよね。昨今、仕事でもなんでも「やりたくないことはやらなくていい」って風潮が強いですが、それはそれで全然悪いことではないんですが、我慢して続けた先にこそ見つけられるものもあるよって。すごく私は思います。

私のエンジニアの仕事ってまさにそれだったしね。結構ボロボロになりながら頑張った過去があったからこそ、十数年のブランクがあってもエンジニアとして復職できました。

まあ、「嫌なことは嫌」でいいけど、ここぞという時にはぐっと耐えて、じっと堪えて、それをばねに巻き返していける強さがあればいいんですよね。こらえどころ、我慢のしどころさえ間違えなければいい。我が子たちには、くれぐれもそれを間違えないでほしいなと強く感じました。

「上司ガチャ」と「部下ガチャ」

少子高齢化で若者の売り手市場が続くなか、「会社ガチャ」「上司ガチャ」に失敗したなんて声がちらほら聞かれます。

若者にとって、古い風習や会社の文化、古い価値観の上司は「ウザい」ものかもしれないけど、古いから必ずしも悪いわけじゃないし、大切に残しておくべき考え方だってあるはずです。でもこういうときフィーチャーされるのはだいたい若者の声で、夫のように真摯に対応したにもかかわらず(まあ結果は変えられなかったけど)、「ガチャ失敗」の扱いを受けるのは実に気の毒だなあと思います。夫は「部下ガチャ」失敗したんだなあ。

ちなみに、今回書いた件が起こったのは1か月ほど前でしたが、現在の「通勤したくない君」はというと、「普通に通えているみたい」とのこと。一体何だったんだろう。おそらくですが彼はこんな感じで、あーだこーだ会社に文句を言いながらもズルズルと居続ける気がします。何となくだけど・・・。

マネジメント人材が不足する理由

お客さんから怒られ、部下からも文句を言われ、管理職というのはとにかく割に合わない仕事です。日本にはマネジメント人材が不足しているって話は先日Webライターの記事でも書きましたが、夫の今回の様子を見ていて「そりゃみんなやりたくないよね」とつくづく感じました。心が削がれるだけだ。

出典:人材マネジメント実態調査2021|リクルートマネジメントソリューションズ

コロナ禍を経て、「次世代経営人材の不足」「ミドルマネジメント層の過重な負荷」「新人・若手の立ち上がりの遅れ」「中堅社員の小粒化」が課題になっているという調査結果。とくに「ミドルマネジメント層の過重な負担」が高まる傾向なんだとか。いや、ほんとこれ。

部下には部下の言い分があって、上司にも言い分があって、会社にも言い分がある。でも大きくフィーチャーされるのは部下の言い分だけなので、上の立場になるほど厳しくなるっていうのが現状なのかな。夫の心が壊れることのないように、ちゃんと話を聞いたりしてフォローしていかなきゃいけないなと、「通勤したくない君」の件を見ていて改めて思いました。

結び

ガチャと言えば、中2長男が少し前に「俺って親ガチャ成功したわ~」と言っていました。友達が親に厳しいことをいわれたり、いやなことをされたりしている話を聞いて、「うちの親はそういうことをしなくて良かった」と思ったんだとか。実は言われたとき超嬉しかったし、今までの子育ての答え合わせが少しだけできたような、そんな気持ちになりました。

会社ガチャ。上司ガチャ。部下ガチャ。社会や仕事はゲームでは読み解けない部分はあるけれど、どれもコミュニケーションの問題だと思います。「通勤したくない君」もこれから会社人として経験を積むなかで、相手の立場や考えを想像する力とか、譲歩することとか、いろいろ学んでいけるといいよね。と夫を励ます気持ちで書きましたが、マジでぶっちゃけ早々に辞めたらいいんじゃ・・・?が本心であります。若者こわい。

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