古里あゆみ|本と生活

フルタイムワーママ。 仕事や子育てと同じくらい大切な私のライフワークは、読書・ライフハ…

古里あゆみ|本と生活

フルタイムワーママ。 仕事や子育てと同じくらい大切な私のライフワークは、読書・ライフハック・ファッション(時間とお金をかけている順)。 面白かった本、よかったアイディアを紹介します。生活がよりよくなるヒントになればうれしいです。

マガジン

記事一覧

比べるものではないけれど|「三流シェフ」三國清三

この本でいちばん素晴らしいのは、このカバー写真だと思っています。 一方は、若き日のとんがった表情、ポーズの三國シェフ。 もう一方は、同じポーズなのに穏やかで、好々…

猫を飼いました|「動物のお医者さん」佐々木倫子

高校生のころからの愛読書。 もう、幾晩の枕のお供になってきたかわからない。 なのに、本が増えると売られるハメになるのはいつもこの手の漫画で、結局3回くらい買いなお…

刑事とともに内省を深める|「冷血」髙村薫

一家四人強盗殺害事件の長編犯罪小説。 犯罪小説は、グイグイ読ませるエンタメ要素の強いもの、と思ってこれを読み始めると、良い意味で裏切られます。 加害者の犯行動機、…

人それぞれの枠組み、線引きのなかで生きる|「1Q84」村上春樹

時々雑誌で特集を組まれたりする、当代きっての小説家、村上春樹さん。 海外小説やエッセイ、人文科学系や社会学のほうが好きなので、あまり現代日本作家は読んでいません…

2023年マイベスト家電

今年一番活躍した家電はこちら! うちは冷蔵庫が小さめ。 そのため、大量の野菜や食品をいただいても、ストックしておくのが難点。 ということで、小さく真空パックにし…

食欲と嗜好|「貧乏ピッツァ」ヤマザキマリ

ヤマザキマリによる、食に関するエッセイ。 イタリア人が食べる普通の食事、日本の素晴らしき食文化、世界の食事のあり方。 「文化」は、いったん外に出て別の視点を借りて…

わかりにくさを受け入れる|「三つの物語」フローベール

古典は、物語の舞台が私たちの生きる現代ではないため、理解しづらいことが多い。歴史的背景や文化もある程度わかっていないと、ついていけなくなる。その点、光文社古典新…

現代日本女性のふつう|「姑の遺品整理は、迷惑です」垣谷美雨

タイトルの通り、姑の遺品整理をする物語。 姑は、部屋中いたるところにモノをぎっしりと詰め込んで亡くなっていった。 対して15年前に亡くなった自分の母親は、生前に自分…

知られざるスーパースター|「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」増田俊也

柔道家・木村政彦。戦前、史上最年少で「全日本選士権」を制し、1949年に優勝するまで一度も負けず、15年間、不敗のまま引退。 「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし…

姑を女性として尊敬する|「扉の向こう側」ヤマザキマリ

著者ヤマザキマリさんといえば、その経歴の特異さ。 17歳で高校退学、イタリアの美術学校に留学。詩人と恋に落ち、妊娠しシングルマザーとして帰国。その後年下のイタリア…

何のために商売を大きくするのか|「商人」ねじめ正一

時代は江戸中期。かつおぶし卸売商、伊勢屋にんべんの次男に生まれた伊之助が主人公。創業者である父が亡くなったあとを伊之助の兄が継ぐ。不運に見舞われ、心身を病んでし…

「平気」で生きる|「自分の中に毒を持て」岡本太郎

いつも本屋さんで見かけるし(つまりロング&ベストセラー)、いつかは読んでみようと思っている本ってありますよね。 その中の一冊が、岡本太郎著「自分の中に毒を持て」…

とにかく切り返せ!|「職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術」後藤千絵

職場での人間関係は攻略済み、ここのところ平和が続いていましたが、子どもを通じたママ同士のつながり、いわゆる「ママ友」との付き合いに、心がざわついたりすることが多…

朝イチで何をすべきか|「朝1分間、30の習慣。」マツダミヒロ

早起き本、2冊目。 といってもこの本、別に早起きを推奨しているわけではありませんでした。 何時に起きても、朝時間はプラチナタイム。目覚めた後、1分間になにをするか?…

毎日起きるのが楽しみ|「頭が冴える!毎日が充実する!スゴい早起き」塚本亮

また最近早起きして、自分の時間を有効に使いたいと思ってきたので、まず1冊。 脳科学系、運動系、スピリチュアル系……。いろーーーんな本が、「朝活」を推してますよね…

「ふつう」の家庭の食卓とは|「ぼっちな食卓-限界家族と『個』の風景」岩村暢子

普通の家庭の「食卓」を定点観測。その「食卓」は10年後、20年後どうなったか、調査した結果を記した本。 いわゆる「ふつうの家庭」って、いったい何を食べて、どんな部屋…

比べるものではないけれど|「三流シェフ」三國清三

比べるものではないけれど|「三流シェフ」三國清三

この本でいちばん素晴らしいのは、このカバー写真だと思っています。
一方は、若き日のとんがった表情、ポーズの三國シェフ。
もう一方は、同じポーズなのに穏やかで、好々爺然とした現在の三國シェフ。
現在の三國シェフは、かつての自分をパロディ化できるほど、豊かな経験に裏打ちされて日本料理界に君臨していることを、彼をよく知らない私ですら一瞬で読み取ることのできる写真。



裸一貫から、「世界のミクニ」と

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猫を飼いました|「動物のお医者さん」佐々木倫子

猫を飼いました|「動物のお医者さん」佐々木倫子

高校生のころからの愛読書。
もう、幾晩の枕のお供になってきたかわからない。
なのに、本が増えると売られるハメになるのはいつもこの手の漫画で、結局3回くらい買いなおしている。
Amazonで検索してみたら、もうすぐkindle版が販売されるようで、これからは電子書籍でいつでも読めるようになる!



年始早々、保護猫を譲渡していただくことに決め、10年ぶりに猫を飼うことになりました。
一緒に生活を

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刑事とともに内省を深める|「冷血」髙村薫

刑事とともに内省を深める|「冷血」髙村薫

一家四人強盗殺害事件の長編犯罪小説。
犯罪小説は、グイグイ読ませるエンタメ要素の強いもの、と思ってこれを読み始めると、良い意味で裏切られます。
加害者の犯行動機、そこに至るまでの衝動や生い立ち。
加害者を理解したいと努める刑事・合田。加害者に向き合う中での内省。本件と並行して扱う別の事件からの気づき。
読む人によっては、長い!冗長!そんなに深い心理の分析は要らないから、早くストーリーをすすめてくれ

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人それぞれの枠組み、線引きのなかで生きる|「1Q84」村上春樹

人それぞれの枠組み、線引きのなかで生きる|「1Q84」村上春樹

時々雑誌で特集を組まれたりする、当代きっての小説家、村上春樹さん。
海外小説やエッセイ、人文科学系や社会学のほうが好きなので、あまり現代日本作家は読んでいません。村上春樹作品も、だから、ほとんど読んでいない。
自分でもわかりすぎている問題や悩みを、小説みたいに心に残る方法でえぐられるのを、無意識で避けているんだと思います。



主人公は青豆と天吾。舞台は1984年、もしくは1Q84年を行き来し

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2023年マイベスト家電

2023年マイベスト家電

今年一番活躍した家電はこちら!

うちは冷蔵庫が小さめ。

そのため、大量の野菜や食品をいただいても、ストックしておくのが難点。
ということで、小さく真空パックにして冷凍しておけるように、フードシールドを購入しました。

今年の夏はドライトマト、ピザ用トマトソース、ハラペーニョ酢漬けを大量につくり、冷凍ストック。

この冬はキムチも作ってます。

自家製キムチは管理が難しいけど、真空パックだと酸化

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食欲と嗜好|「貧乏ピッツァ」ヤマザキマリ

食欲と嗜好|「貧乏ピッツァ」ヤマザキマリ

ヤマザキマリによる、食に関するエッセイ。
イタリア人が食べる普通の食事、日本の素晴らしき食文化、世界の食事のあり方。
「文化」は、いったん外に出て別の視点を借りて眺めなおしてみると、新しい発見がある。
ヤマザキマリさんの視点はもちろん、イタリア人の夫や姑、友人、息子など、まわりの人の視点で食文化を捉えなおしていることで、読者にも新しい気づきがある。



共感したのは、ファーストフードをめぐる考

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わかりにくさを受け入れる|「三つの物語」フローベール

わかりにくさを受け入れる|「三つの物語」フローベール

古典は、物語の舞台が私たちの生きる現代ではないため、理解しづらいことが多い。歴史的背景や文化もある程度わかっていないと、ついていけなくなる。その点、光文社古典新訳文庫は、読みやすい文体とわかりやすい解説で、古典が身近に感じられるおすすめテキストです。



「ボヴァリー夫人」が代表作のフローベール。
「三つの物語」は、その名の通り三つの短編から成ります。
19世紀、せまい世界で生きる無学の使用人

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現代日本女性のふつう|「姑の遺品整理は、迷惑です」垣谷美雨

現代日本女性のふつう|「姑の遺品整理は、迷惑です」垣谷美雨

タイトルの通り、姑の遺品整理をする物語。
姑は、部屋中いたるところにモノをぎっしりと詰め込んで亡くなっていった。
対して15年前に亡くなった自分の母親は、生前に自分のモノはきっちり片付け、机の上に残されていたのは、指輪だけ。
主人公・望登子はひとりで片付けながら、姑に毒づき、自分の母親の立派さにあらためて感じ入る。
時間をかけて片付けをすすめていくと、生前は気づかなかった姑の別の顔が見えてくる。

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知られざるスーパースター|「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」増田俊也

知られざるスーパースター|「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」増田俊也

柔道家・木村政彦。戦前、史上最年少で「全日本選士権」を制し、1949年に優勝するまで一度も負けず、15年間、不敗のまま引退。
「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と言われた、日本柔道史上、最強の柔道家。
こんな偉人が、今ではほとんどの人に忘れ去られてしまった理由とは—



2012年発行のこの本は、第43回大宅壮一ノンフィクション賞と第11回新潮ドキュメント賞を受賞しています。
当時、本

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姑を女性として尊敬する|「扉の向こう側」ヤマザキマリ

姑を女性として尊敬する|「扉の向こう側」ヤマザキマリ

著者ヤマザキマリさんといえば、その経歴の特異さ。
17歳で高校退学、イタリアの美術学校に留学。詩人と恋に落ち、妊娠しシングルマザーとして帰国。その後年下のイタリア人と結婚し、夫の仕事都合で家族3人、シリア、リスボン、シカゴ、イタリア等に暮らしながら歴史漫画を描く。
ヤマザキマリさんの持つ世界観に興味があり、漫画はもちろん、エッセイはほとんど読んでいます。
エッセイにちょこちょこ出てくる、つまりヤマ

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何のために商売を大きくするのか|「商人」ねじめ正一

何のために商売を大きくするのか|「商人」ねじめ正一

時代は江戸中期。かつおぶし卸売商、伊勢屋にんべんの次男に生まれた伊之助が主人公。創業者である父が亡くなったあとを伊之助の兄が継ぐ。不運に見舞われ、心身を病んでしまう兄。その兄の跡を継ぎ、三代目となった伊之助。「商人は何のために商売を大きくするのか」。このシンプルな問いを、一時は経営不振となった店を盛り返しながら、伊之助が学んでいく物語。

「商人」、あきんど。シンプルなタイトルです。勤務先の推薦図

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「平気」で生きる|「自分の中に毒を持て」岡本太郎

「平気」で生きる|「自分の中に毒を持て」岡本太郎

いつも本屋さんで見かけるし(つまりロング&ベストセラー)、いつかは読んでみようと思っている本ってありますよね。
その中の一冊が、岡本太郎著「自分の中に毒を持て」。
この前読んだ本に引用されていたのをきっかけに、手に取りました。

岡本太郎さんの人生観が語られています。
結婚に対する考え方(「結婚は人間の手かせ、足かせにしかならない」、「結婚が人間を卑小な存在にしている」)なんかは、本質的ではあるけ

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とにかく切り返せ!|「職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術」後藤千絵

とにかく切り返せ!|「職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術」後藤千絵

職場での人間関係は攻略済み、ここのところ平和が続いていましたが、子どもを通じたママ同士のつながり、いわゆる「ママ友」との付き合いに、心がざわついたりすることが多かった最近。
なにかヒントになることが書いてあればいいなーと読んでみました。

「うざい自慢話につかまったら?」
「悪気がないふりをしてディスられたら?」
「知らないんですか?とバカにされたら?」
「ひそかに仲間はずれにされたら?」
会社に

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朝イチで何をすべきか|「朝1分間、30の習慣。」マツダミヒロ

朝イチで何をすべきか|「朝1分間、30の習慣。」マツダミヒロ

早起き本、2冊目。
といってもこの本、別に早起きを推奨しているわけではありませんでした。
何時に起きても、朝時間はプラチナタイム。目覚めた後、1分間になにをするか?それで一日が、人生が動き出す、という内容です。

目覚めた後にやりがちな行動、それは、時計代わりにスマホを見ることではないでしょうか。
この本にも、昨日記事を書いた「スゴい早起き!」にも、
寝室にスマホは置かない
ことが唯一の守るべきル

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毎日起きるのが楽しみ|「頭が冴える!毎日が充実する!スゴい早起き」塚本亮

毎日起きるのが楽しみ|「頭が冴える!毎日が充実する!スゴい早起き」塚本亮

また最近早起きして、自分の時間を有効に使いたいと思ってきたので、まず1冊。

脳科学系、運動系、スピリチュアル系……。いろーーーんな本が、「朝活」を推してますよね、昨今。
わかります。朝の集中力は、段違い。
早起きは苦手ではないけど、確たる目的がないからなのか、朝じゃなくても大丈夫、とまどろみながら思うからなのか、なかなか続かないなーと思っていたところです。

この本は「早起きが習慣化する7つのメ

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「ふつう」の家庭の食卓とは|「ぼっちな食卓-限界家族と『個』の風景」岩村暢子

「ふつう」の家庭の食卓とは|「ぼっちな食卓-限界家族と『個』の風景」岩村暢子

普通の家庭の「食卓」を定点観測。その「食卓」は10年後、20年後どうなったか、調査した結果を記した本。
いわゆる「ふつうの家庭」って、いったい何を食べて、どんな部屋に住んでいて、どんな会話がなされているのか。
子供のころから「よその家」に興味があったので、こういうフィールドワーク的な本は、「よくぞ調査してくれました!」と、諸手を挙げて飛びついてしまう。

初回調査の実態は「家族の勝手でしょ」という

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