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今日の本

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面白かった本、印象に残った本、役に立つ本を紹介します。
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記事一覧

比べるものではないけれど|「三流シェフ」三國清三

この本でいちばん素晴らしいのは、このカバー写真だと思っています。 一方は、若き日のとんが…

猫を飼いました|「動物のお医者さん」佐々木倫子

高校生のころからの愛読書。 もう、幾晩の枕のお供になってきたかわからない。 なのに、本が増…

刑事とともに内省を深める|「冷血」髙村薫

一家四人強盗殺害事件の長編犯罪小説。 犯罪小説は、グイグイ読ませるエンタメ要素の強いもの…

人それぞれの枠組み、線引きのなかで生きる|「1Q84」村上春樹

時々雑誌で特集を組まれたりする、当代きっての小説家、村上春樹さん。 海外小説やエッセイ、…

わかりにくさを受け入れる|「三つの物語」フローベール

古典は、物語の舞台が私たちの生きる現代ではないため、理解しづらいことが多い。歴史的背景や…

現代日本女性のふつう|「姑の遺品整理は、迷惑です」垣谷美雨

タイトルの通り、姑の遺品整理をする物語。 姑は、部屋中いたるところにモノをぎっしりと詰め…

知られざるスーパースター|「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」増田俊也

柔道家・木村政彦。戦前、史上最年少で「全日本選士権」を制し、1949年に優勝するまで一度も負けず、15年間、不敗のまま引退。 「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と言われた、日本柔道史上、最強の柔道家。 こんな偉人が、今ではほとんどの人に忘れ去られてしまった理由とは— * 2012年発行のこの本は、第43回大宅壮一ノンフィクション賞と第11回新潮ドキュメント賞を受賞しています。 当時、本屋で平積みになっていたこの本のインパクトの強さを、よく覚えています。 煽情的なタ

姑を女性として尊敬する|「扉の向こう側」ヤマザキマリ

著者ヤマザキマリさんといえば、その経歴の特異さ。 17歳で高校退学、イタリアの美術学校に留…

何のために商売を大きくするのか|「商人」ねじめ正一

時代は江戸中期。かつおぶし卸売商、伊勢屋にんべんの次男に生まれた伊之助が主人公。創業者で…

「平気」で生きる|「自分の中に毒を持て」岡本太郎

いつも本屋さんで見かけるし(つまりロング&ベストセラー)、いつかは読んでみようと思ってい…

とにかく切り返せ!|「職場の嫌な人から自分を守る言葉の護身術」後藤千絵

職場での人間関係は攻略済み、ここのところ平和が続いていましたが、子どもを通じたママ同士の…

「ふつう」の家庭の食卓とは|「ぼっちな食卓-限界家族と『個』の風景」岩村暢子

普通の家庭の「食卓」を定点観測。その「食卓」は10年後、20年後どうなったか、調査した結果を…

毎日起きるのが楽しみ|「頭が冴える!毎日が充実する!スゴい早起き」塚本亮

また最近早起きして、自分の時間を有効に使いたいと思ってきたので、まず1冊。 脳科学系、運…

問題は、「色」ではない|「非色」有吉佐和子

いわゆる「戦争花嫁」の物語。 日本に駐留したアメリカ黒人兵士と結婚、日本に残された妻と子。 娘が「黒ン坊」と驚かれ、蔑まれる日本を離れ、人種のるつぼ、ニューヨークで生活していくことに。 「非色」。色に非ず。すごいタイトル。 黒い肌は色としてみなされない、無視されるということか?と思って読みましたが、読み終わった後は、「(問題は)『色』ではない」という意味ではないかと考え直しました。 色ではなくて、社会的階級や職業、出身地。 使う側と使われる側。 ⁂ もう20年も前に、