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「ふつう」の家庭の食卓とは|「ぼっちな食卓-限界家族と『個』の風景」岩村暢子

普通の家庭の「食卓」を定点観測。その「食卓」は10年後、20年後どうなったか、調査した結果を記した本。
いわゆる「ふつうの家庭」って、いったい何を食べて、どんな部屋に住んでいて、どんな会話がなされているのか。
子供のころから「よその家」に興味があったので、こういうフィールドワーク的な本は、「よくぞ調査してくれました!」と、諸手を挙げて飛びついてしまう。


初回調査の実態は「家族の勝手でしょ」という本に詳しいです。
一般的な家庭の、日常食卓写真の数々。調査を意識した主婦は、初日は気合を入れて、みそ汁やごはん、焼き魚、純和食を演出しても、一週間後には菓子パンやインスタントみそ汁が食卓に並ぶ…あまりにも飾り気のない写真、そのリアルさに目が釘付け。


その食事で育った子どもが、夫婦が、10年後、20年後にどうなっていたか。家族で一緒に食卓を共にする「家族共食」の機会がキーワード。共食を大切にしてきたか、家族それぞれの「個」を優先させ、共食をおざなりにしてきたか。その結果には戦慄を覚えてしまいました…。他人ごとではない。


我が家の場合も、上の子が中学生になって以来、食卓を共にする機会が減ってきた!朝ごはんも自分だけ先に済ませてから家族に食べさせている!など、あらためて振り返るきっかけに。


食事には「文化」が凝縮されている、と常々感じる。
自分の「個」を尊重するあまり、子どもにその文化を受け継いでいく機会を奪ってはいないか。
いやー、痛いところをつかれたな、反省。というのが正直な感想。
鋭い問題提起にビクついて、我が家の場合は家族で一緒に食べる機会が増えました!



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