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猫を飼いました|「動物のお医者さん」佐々木倫子

高校生のころからの愛読書。
もう、幾晩の枕のお供になってきたかわからない。
なのに、本が増えると売られるハメになるのはいつもこの手の漫画で、結局3回くらい買いなおしている。
Amazonで検索してみたら、もうすぐkindle版が販売されるようで、これからは電子書籍でいつでも読めるようになる!

年始早々、保護猫を譲渡していただくことに決め、10年ぶりに猫を飼うことになりました。
一緒に生活をして2週間。ただひたすらいとおしい猫のありさま。
眺めて、撫でて、あっという間に時間が過ぎてしまう。
そうやって過ごしていると、昔飼っていた猫はもちろん、いままで出会ってきた猫、それぞれの特徴を思い出す。


前述したとおり、「動物のお医者さん」はあまりにも読み込んでいることに加え、舞台となったH大(北海道大学)周辺に住んでいることもあり、登場人物はまるで自分の友人みたいになっているし、出てくる動物たちも見知っている子たちかのように錯覚している。
北大農場横を車で通りすぎるとき、「あの雪原歩いて近道してるの、菱沼さん(登場人物)じゃないかなー」とか思ってしまう。


そんなふうなので、この漫画は私の血となり肉となってきた作品。
迎え入れたうちの猫は、撫でて気持ち良くなってくると、甘えて手を噛んでしまうのが癖らしい。
そんなことされると、漫画に登場する、人を噛むのが癖から名前が「ガブリエル」という猫になぞらえて、「ガブみたい!名前、『ガブリエル』にしたほうがよかった??」なんて声をかけてしまう。

この漫画は、動物たちがほんとうによく描けています。
絵もさることながら、特質、というか動物たちの特徴がいちいちリアル。
私は実家が酪農なので、牛はもちろん、猫もハスキー犬も飼ってきて、にわとり、ウサギ、金魚…。あらゆる動物とともに生活してきました。
好き嫌い以前に、動物を観察できる環境だったので、それぞれの動物の特徴や、同じ種類でも性格がぜんぜん違う面白さを、いつも新鮮に眺めていました。


そんな私がこの漫画で一番好きな話は、ハスキー犬が脱走してしまう話。
この漫画の主人公がシベリアンハスキー「チョビ」なのは有名ですが、チョビ(メス)はどちらかというとおとなしくて控えめな性格。脱走するのは、「シーザー」という典型的なハスキー犬。
脱走して数日、飼い主や周りの人がもうあきらめたころに、「特に疑問も抱かず」ほかの家で飼われていたことが判明。
特に何の疑問も抱かず、ほかの人に飼ってもらえるほど人懐こい性格なんだけど、それって元飼い主としては淋しい、というか理解できない、というか…。


ハスキー犬って、陽気な明るい性格がとても人懐こくてかわいいんだけど、とにかく帰巣本能が弱い。うちで飼ってたハスキー犬も、遊びに夢中になるうちにすごいスピードで走り去っていって、近所の目撃情報をもとに親が連れ帰って、と、ほんとうに世話の焼けるヤツだった…。
オスだったのも要因かもしれませんが。


動物エピソードも面白いけど、登場人物も癖のあるタイプが多く、佐々木倫子の鋭い観察眼を感じます。
佐々木倫子作品は、必ずといっていいほど冷静で達観したタイプの男性主人公(この漫画ではハムテル)と、振り回すタイプの破天荒な女性(菱沼さん)が出てきて、恋愛要素はほとんどない。
だから個人的には、夜寝る前に安らかな気持ちで読むことができる、安定剤的作品。





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