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小説のタイトル、悩みませんか?
こんにちは。
私はよく小説を書くのですが、
タイトルを決めるとき、毎回悩みます。
できればインパクトあるものにしたい。それにもちろん内容を象徴するものにしたい。でも、ネタバレにはしたくない。
と、考えるとなかなか決まらないのです。
できるだけキャッチーで、いいタイトルをつけたくて、毎回毎回悩むのです(笑)
【短編小説】オレとシマダ
八王子の駅前は朝から雪が降りつづいていた。この冬一番の寒さらしい。オレとシマダは大学に向かうバスを待ちながら寒さにふるえていた。今日、二人で目標とする大学の入試がある。オレとシマダは中学、高校と同級生で何度も同じクラスになったこともあり、いわば一番の友人。オレは地味なタイプだけれど、シマダは陽気で目立つタイプ。いわゆるクラスの人気者だ。高校三年生の時、オレは弁護士、シマダは教師という高い目標を掲
もっとみる【短編小説】黒ネコ・カールの大冒険
深夜に友人から携帯電話がかかってきた。
「いま、ネットを見ていたら、カールが舞台化されるんだって」
友人の声は上ずっていた。
「ホントか。じゃあ、一緒に見にいこう」
そんな情報はメールでもよかったんじゃないか、と一瞬思ったものの、話をしているうちに喜んでいる自分がいた。
子供の頃のテレビアニメ「黒ネコ・カールの大冒険」は大好きで毎週欠かさず見ていた。
平和な町・キャットタウンに悪魔
【短編小説】ある大学教授の憂鬱
みなさん、夜はぐっすり眠れますか。
近ごろ、なかなか眠れない、眠りが浅い、という悩みをよく耳にします。
しかしながら、私はなぜかよく眠れるのです。仕事で頭を使うからでしょうか。布団に入るとあっという間に寝てしまいます。ぐっすりと毎日七時間以上は寝ています。寝れないと悩んでいらっしゃる方が信じられないほどによく眠ることができるのです。
よく眠ることと同時に、夢を見ることも多いのです。夢
【短編小説】ボクとあの子の物語
毎朝、地下鉄で見かける色白のかわいい子がいる。スラリとして背も高くスタイルがいい。ちょっと細すぎるぐらい。さらさらの長い髪も印象的。その子を初めて見たとき、まるで突然殴られたような衝撃を感じていた。
ボクは高校を卒業し、春から名駅にあるコンピュータの専門学校に通っている。あの子も毎日、名駅で降りるみたい。でも朝は人でごった返してどこに行くのかもわからない。でも今日はあの子のすぐ後ろを歩いてる。
【短編小説】赤いウエディングドレス
「女房と畳は新しいほうがよい」と昔の人は言ったものだが、先日最新型
のパソコンを購入した。私の職業は小説家でパソコンを使って原稿を書く。
使いやすそうなパソコンを選び、やっと新しい小説を完成させた。
タイトルは「赤いウエディングドレス」
主人公のミサトはショウタと恋に落ち七年間の交際の末、結婚することに。大ゲンカもし遠距離恋愛も経験したが、二人はすべてを乗り越えた。
しかしミサトの同僚・亮が
【短編小説】内科医 筧直太郎 改訂版
私、内科医の筧直太郎と申します。現在、大学病院の勤務医をしています。ここ一、二年の外出自粛の影響もあり、心理的、精神的に影響を受けていらっしゃる患者さんが顕著に多くなっています。毎月のように楽しんでいた旅行に行けない。コンサートを観ることもなくなった。レストランでの食事も会社帰りの居酒屋も以前のようには行けない。誰もが楽しみにしていたことがほとんど否定されてしまった。
こんな日々がいつまでも続
【短編小説】母への手紙
気持ちのいい日曜の朝、近くのコンビニに行った。その途中公園で、遊ぶ若いお母さんと子どもの姿が目に入った。男の子だろうか。子どもがお母さんの周りを走り回る。思わず私も微笑みながら、自分のことを思い返した。私にはこんな思い出がなかった。
私には母がいない。私が三歳のとき、父と私をおいて家を出ていった。どうやら若い男と
一緒だったらしい。だから私には、母の記憶がほとんどない。ただ少しだけ記憶にあるの
【短編小説】DJシンジロー その5 最終回
前回、家庭の話も放送ですることができシンジローは何か満足したものを感じ、今週の放送で重大な発表をしようと胸に秘めスタジオに入った。定刻通りに番組はスタートし順調に進んだ。そして番組は終盤になる。その時、放送直前に届いたメールをスタッフから手渡された。
「さて、実は今回は私がDJとしてお話しする最後の放送となりました」
シンジローは深い思いを込めて伝えた。
「では私が紹介する最後のメールです。札幌
【短編小説】DJシンジロー その4
今週、シンジローはさわやかな思いでスタジオにいた。
「さて今日の相談です。大阪の美咲さん、二十四才の会社員の方からのメールです。私は三年ぐらいお付き合いをしている彼がいます。そろそろ彼と結婚したいと思っています。ただ彼の仕事が絵を描いたりするアーティストなので父が結婚を許してくれません。どうしたらいいでしょうか、というメールです」
シンジローは何かを思い出すかのようにゆっくりと目をスタジオの天
【短編小説】DJシンジロー その3
イジメについての放送があった数日後、シンジローはライブの打ち合わせでシリウスの相棒であるユウイチと都内のレコーディングスタジオで久しぶりに会っていた。いまシリウスは一時期ほどの爆発的な人気はないものの、年に数回ライブを開催し、かなりの観客数を動員していた。
「DJの評判いいらしいな」
とユウイチが声をかける。
「まあな」
とシンジローは少し不満そうに苦笑いを浮かべた。
「どうした。何かあったのか