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Amu
2024年7月28日 01:53
「旅先の夏にて」夏の真似事をした坂道のさき潮の薫りよりも強い瞳の向こう側にモノクロの優しさがうずくまる下りかけた言葉の尻尾をつまんでひょいと掬いあげ微笑むと僕は選ばれたから此処にいるそう言って君は僕を抱きしめた水割りを頭から浴びるような夜物言わぬ背中に時を重ねた愛だとか、恋だとか例えば悲しい物語だとしても確かに其れは僕のためだけに書かれた小説だった
2024年7月24日 18:08
「祈り」透け見ゆような心もとなげ必ずだとか永遠ほどに哀しく聴こゆもの他にはなくて下手くそで佳い否、それがいいのだと小指の代わりに絡めんやひとつとして要らぬ糸はなしきみへと繋がる祈り揺れのぼる静穏なる想いたち
2024年7月11日 17:05
「微睡みに繋いで」何もない空に朝がやってくる瞳のまえに広がるきっと淡いであろう赤子のみどり産声をあげたひかりの匂いそれは素足の心にくすぐったいを教えてくれる背から絡みつくまるでカフェモカのような温もりと何もないはずの空に手を伸ばす微睡み……昨日より、きょう今日よりも明日なんだって違うよ深い眠りにつく前に僕たちは誰よりも何よりも、ふたり
2024年7月5日 13:30
「風にとける」透明の言の葉をふた指つまんで青い風に透かし瞳をとじる聴こえてくるのは何時かの鈴の音真暗な峠に灯ったあかり沈んだ夕陽の代わりの文字に旅雨たゆたう君の心音いつかのボクだと細めた声を背中で拾うて眉間で哭いたもうすぐ夏がやってくる庭先わすれた風鈴が今年も君の名を呼び続けている
2024年7月1日 13:32
「無邪気では……」高鬼あそびの無邪気がふわり空へと舞いあがったとき触れては駄目だ、風が鳴いて僕はゆっくりと瞳をとじるときに想いは君を傷つけ言葉はときに邪魔をするからいつまでも、子供のままでは居られないから塀のうえには子猫がひとり寂しそうに笑っていた
2024年6月15日 12:45
「Ka'pilina」蹴破られた扉の向こう側弱さの中にある強さの意味を知る甘くて苦いひかり白く激しくメザメルト消えていく黒の記憶たち愛してると触れる指先永遠を意味するマウロアのくちづけ心地よく
2024年6月11日 18:25
「君は知っていた」小さな笑い声と涙たちが長い時をかけひとつの物語になるあの日、君と出会った姿で僕はひとりこの街へと帰ってきた朽ち果てた換気扇の下脳裏に転がる路地裏の風ピン刺したポイントを指でなぞると妙に全てのことが腑に落ちた君が託した願いの意味と僕を待たずしてこの街を去った理由あの頃と同じ空に手をのばす独り、此処から……