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この本いいよ!

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これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
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2023年5月の記事一覧

今を生きる私たちへ大切なメッセージがこの本にはある。(汐見夏衛:『たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ』)

今を生きる私たちへ大切なメッセージがこの本にはある。(汐見夏衛:『たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ』)

今回は私が好きな作家さんの最近読んだ新しい本を紹介します。
今回紹介するのは、汐見夏衛さんの『たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ』という作品です。noteで汐見さんの本を紹介するのは9冊目となります。(アンソロジー『卒業』も含めれば10冊)
最近はアンソロジー収録の短編作品が多かったので、汐見さんの長編作品を読むのはとても久しぶりな感じがします。

誰からも愛される男子生徒・鈴白く

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『ときどき旅に出るカフェ』がすごく好きな内容だったので紹介したい!

『ときどき旅に出るカフェ』がすごく好きな内容だったので紹介したい!

最近読了した近藤史恵さんの『ときどき旅に出るカフェ』(双葉文庫)という作品がとても面白かったので紹介します!

この本は、数ヶ月前にヒガクレ荘の貸し本棚を見ていて選んだ1冊です。近藤史恵さんの本を多く置いていた棚店主さんがいて、「きっとこの棚店主さんは近藤史恵さんの面白さをみんなに知ってほしいんだろうな…」と勝手に想像して気になり、いろんなシリーズがある中でまずは単発作品っぽい今作を買ってみました

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暗闇の中に希望を感じる話が好き(町田そのこ:『52ヘルツのクジラたち』)

暗闇の中に希望を感じる話が好き(町田そのこ:『52ヘルツのクジラたち』)

町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』を読みました。
数年前に本屋大賞を受賞した作品というのもあり、いつか読んでみたいと思っていました。

今作は主人公の貴瑚(通称:キナコ)が、親から「ムシ」と呼ばれ、虐待を受けている少年を助けたところから物語が動き出します。

傷ついた少年の姿と自分の過去が重なって見えたキナコは、大半には聴こえないけど、いつか出会う仲間に届くように祈っている「52ヘルツのク

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バラエティ豊かな謎に出会える『11文字の檻』

バラエティ豊かな謎に出会える『11文字の檻』

青崎有吾さんの短編集『11文字の檻』(創元推理文庫)を読みました!

この短編集は、表題作+いろんな出版社のアンソロジー等収録作で構成されていました。どれもタイプが異なる作品なので、青崎さんの作品をまだ読んだことのない人でも推し作品に出会いやすい短編集となっていました。

以前読んだ短編も何本かあった一方、田中寛崇さんの画集に収録された短編や小学館文庫のショートショートは気になっていたけど未読だっ

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高校時代の楽しみが蘇る青春ミステリー!(皆藤黒助:『環司先生の謎とき辞典』)

高校時代の楽しみが蘇る青春ミステリー!(皆藤黒助:『環司先生の謎とき辞典』)

懐かしい気持ちになれた小説を読んだので紹介します!
今回紹介するのは、皆藤黒助さんの『環司先生の謎とき辞典』(ポプラ文庫ピュアフル)というライト文芸作品です。

高校生の頃、この作家さんの『ようするに、怪異ではない。』(以下:「よう怪」シリーズ)というシリーズが大好きで、何度も繰り返し読んでいました。結局3巻までしか出ませんでしたが、当時はシリーズの新刊が出るのをいつも楽しみにしていました。

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『ひとり旅日和』がめちゃくちゃ面白かったので紹介したい!

『ひとり旅日和』がめちゃくちゃ面白かったので紹介したい!

最高すぎる内容の小説に出会えたので紹介します!
今回の本は、秋川滝美さんの『ひとり旅日和』という作品です。

今作ではコミュニケーションが苦手な主人公・日和が、周りからの勧めで挑戦したひとり旅にハマり、全国各地を旅して人生を変えていく様子が描かれました。感覚としては、物語というより旅や食をテーマにしたエッセイを読んでいるようでした。

まず今作最大の注目ポイントは、なんといってもひとり旅の面白さに

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美しくない世界と戦う力をくれる物語(冬野岬:毒をもって僕らは)

美しくない世界と戦う力をくれる物語(冬野岬:毒をもって僕らは)

冬野岬さんの『毒をもって僕らは』という作品を読みました。

生きづらさと戦う青春小説が私は大好きなので、ポプラ社のサイトで表紙とあらすじを見て発売前から凄く読みたかった1冊です。

★★★

今作は入学早々に学校での居場所をなくし、更には尿路結石と診断されお先真っ暗となってしまった主人公・道歩が、病院で知り合った綿野という少女との交流を通じて、生きる希望と世界の美しさを見出していく物語となっていま

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図書館で借りた面白本:『ローカルおやつの本』

図書館で借りた面白本:『ローカルおやつの本』

今回は久しぶりに、図書館で最近借りて読んだ小説以外の面白い本を紹介します!今回紹介する本は、全国各地にある地元で昔から愛されているお菓子の情報満載な『ローカルおやつの本』です。

甘いお菓子やおせんべいなど、全国的には知られていないご当地商品の魅力をたくさん知ることができました。おしゃれなお菓子のカタログのような本で写真だけでも楽しめます。

商品が生まれた当時は珍しかった食べ物をお菓子で再現した

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悲しいだけじゃない生と死の物語(塩瀬まき:『さよなら、誰にも愛されなかった者たちへ』)

悲しいだけじゃない生と死の物語(塩瀬まき:『さよなら、誰にも愛されなかった者たちへ』)

とても心に沁みる物語に出会えたので紹介します!
塩瀬まきさんの『さよなら、誰にも愛されなかった者たちへ』(メディアワークス文庫)という作品です。

今作は生と死の世界をつなぐ「賽の河原株式会社」で働くことになった至が、様々な事情を抱えた死者たちと出会い、彼らとの別れを経験して成長していく物語が描かれました。

ファンタジーのような世界観ではありながらも、賽の河原株式会社のお客様ともいえる死者たちと

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