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#短編小説
美しき、百“希”夜行(夜天/女王蜂)
今、『先が見える人』と『先が見えない人』は、どちらの方が多いんだろう。
終わりが見えないなんちゃらウイルスに、もしかしたら明日起こるかもしれない震災に。
行きたい場所へ、行けない。
誰かに会いたいのに、会えない。
ピリピリした現実。
あっちを向いても、こっちを向いても、一寸先は闇。
自分のこともそうだけど、自分が好きな人達も。
たとえば、好きなミュージシャンのこと。
僕の大好きなバ
いばしょ を つくろう(天窓のあるガレージ/日野啓三)
1
ガレージには天窓があった。
2
少年は長い間、それに気付かなかった。
――(第1章,第2章)
すぐそばにあるものに、気付かないことがある。それが、後々(少なくとも、自分にとって)重要になるものであれば、なおさら。あの現象は、なんなんだろうか。名前を付けられないだろうか。
一言二言で終わる二つの断章。で、始まる「天窓のあるガレージ」。は、堀江敏幸の「戸惑う窓」に登場した。
自家用車を事故
孤独の分け前(『虎に嚙まれて』『カルメン』『B・Fとわたし』/ルシア・ベルリン)
ミルクティーは甘いものだと思っていた。そのとき提供されたものはまったく甘くなく、とはいえ苦くもなく、幸せな夢がふいに途切れたような、そんな味。甘くしたいなら砂糖を追加すればいい話だが、そのときのぼくは、今から読もうとしているルシア・ベルリンの短編に丁度いいと思った。
*
ほんのわずかな慰めを得るためなら、人はどんなことでもするだろう。
――『虎に嚙まれて』より引用
群像の6月号に、『掃除婦
あなたへ。もしくは、生まれ来る人たちへ。(おめでとう/川上弘美)
僕は、「察して」が大嫌い。
僕は頭がよくないから、いってくれないとわからない。何をするのは良くて、何をするのは悪いのか。「そんなの、簡単だよ」って、いえる人も、いるのかな。でも、僕にとっては良いことでも、あなたにとって悪いことって、あると思うから。
「いわれなくても、わかるでしょ」も、大嫌い。(まあ、同じ意味だよね。)だって、いわれないとわからないから、訊いているんだよ。だって、自分のことだっ
辛そうで辛くない少し辛い話(今日というより凶な今日/みのわようすけ)
「……」
「それ、おすすめですよ」
「どれが1冊目ですか? ……ああ、これか……でもこれ、もう見本しか無いですね」
「ああ……あ。でもそれ、第二版ありますよ。ほら、隣にある。これ、表紙は違いますけど中身は同じなんで」
「じゃあ、これ下さい」
*
「こんな夢を見た」とは夏目漱石の弁だけど、かくいう僕も、数ヶ月くらい前までは『ゆめにっき』なるものを残していた。フリーアドベンチャーゲームじゃなくてね