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「し」(灯台守の話/ジャネット・ウィンターソン)

自分で自分の死となり、みずからそれを選び受け入れるとは、いったい何という人生だろう。(中略)今の俺にできることは、せいぜいこの死を味わいつくすことだけだ。 ――本文より引用 この本を読み始め、中盤に差しかかったとき、ぼくは「し」と隣り合わせだった。正確に言えば、生きている内は、常に「し」と隣り合わせだけど、そういう話ではなく。他人に自分の首を絞められたり、自分で自分の首を絞めたり、そんなことが続いたので、「し」を親しむようになっていた。 もう、人生で何度目かしれない。生

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【海外文学】現代は翻訳家がこんな開花してる幸運な季節

海外文学が今、熱いですね。 同じ位熱い時代がありました。 平成の前半、80年代、90年代です。 翻訳文学、それも主にアメリカ文学が これくらい人気でした。 でも、平成時代の後半は アメリカ文学も活気を失い、 翻訳文学の畑は 寒風が吹いていました。 それが、ここ数年、 韓国文学が沸いていたり、 日本でも翻訳家や評論家が 才能を開花させ、 日々、ネットを中心に、 話題の海外小説や外国の作家の情報を 拡散してくれるようになりました。 それまでは、 村上春樹と柴田元幸さんだのみ

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映画評なら沢木耕太郎氏

「それ、noteに書けば?」「最近note書いてる?」と、息子からたびたび言われる。そもそも「お母さん、note書いてみたら?」と勧めてくれたのも、この息子。あんまりうるさいので(笑)、note始めたようなもんです。 私「そんなに書くことないよ、そもそも文才がないし」 息子「映画の感想を書けば?」 私「映画の感想はね、私が思っていても言葉にできないことを、沢木耕太郎先生が的確に文章にしてくれるのよ。沢木耕太郎の映画評を読んで、『あーそうそうそう、そういう事!まさに、私が

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特別な体験を読んでみたいあなたへ【推し本紹介】

どうも~千夏です。 今回は「作家の放課後」というエッセイの感想を書きます。 「作家の放課後」とは新潮社の文芸雑誌「yom yom」の編集部によって作られた本で、有名作家たちによってかかれたそれぞれの特別な体験についてまとめられたエッセイ集である。 yom yom編集部の方がそれぞれの作家さんに提案したプロジェクト(?)のようなものを 実際に作家さんが体験してその様子を綴ったというものが多い。 自分がこの本に出会ったのはかつて「yom yom」の表紙を担当していた及川賢治さ

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寓話であることの意味『短くて恐ろしいフィルの時代』

ジョージ・ソーンダーズの短編集『十二月の十日』が素晴らしく面白かったので、ジョージ・ソーンダーズのこっちの作品も読んでみました。 いわゆる人間は出てこないけど冒頭から、国民が一度に一人しか入れない『内ホーナー国』にかんする説明で始まり、寓話的な物語だとわかります。登場人物も、動物ですらなく、ガラクタで作ったようなジャンク人間みたいなキャラばかりです。 で、この内ホーナー国の人たちが、外ホーナー国の人たちに権利を剥奪されていきます。そしてフィルという外ホーナー人が演説の力で

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#tolstoytogether(#共にトルストイを)でつながる世界/作家イーユン・リーによるトルストイ『戦争と平和』のSNS読書会

Tolstoy Together: 85 Days of War and Peace with Yiyun Li 「トルストイの『戦争と平和』をイーユン・リーと共に読む85日」 by Yiyun Li September 2021 (A Public Space) 「『罪と罰』を読まない」 言い切っている。潔い。 これは本のタイトル。ドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことのない4人が、読まずにどういう話かを想像して話しあう読書会(?)を開き、実際に読み、読んだ後に感

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またも追加されたつんどく本

昨日、もはや当然のように夜勤明けに加古川寺家町商店街にあるかわのまちリビングの私設図書館つんどくにお伺いいたしました。 目的はもちろんまたも本の追加。 性懲りもなく誰かに読まれているのか分からないのにもかかわらず自分のツボ本を置かせてもらいました。 もはや一棚オーナーにもかかわらずスタッフさんに頼んで二棚占拠させていただいております。 欲というものは恥ずかしげを持ったままでも自分を動かしてくるのだなと実感しながらも、本の配置を悪鬼の如く真剣に取り組んでしまってましたね。

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本よみ日記15

9.4土 家族の体調が見るからに悪く、とうとう来たかもしれないと緊張が走る。病院に検査をしにいき、明日結果が出る。 もしなっていたら私も息子もなるかもしれない。考えただけで体がもうずっしりと重くなる。小雨降るなか、ささっと図書館で返却し予約した本を受け取る。買い出しではいつも買わないようなものが混じり、非常事態に備えはじめているのだなと俯瞰した。 誰かの日記で、一人暮らしのため万が一のために、たくさん食料を買い込んでいると読んだ。夫も私もふらふらで動けなくなったら息子は

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B37-2021-18 中二階 ニコルソン・ベイカー(著)、岸本佐知子(訳)

 何度も云って申し訳ないが、僕は岸本佐知子という人をとても信用している、まずこの人の書くエッセーだ、あのようなエッセーを生み出せるセンスを持つ人が翻訳をしている本、それが退屈なわけがない、というわけで僕は本書を選んだ、正解だった、やっぱり岸本佐知子は信用できる、どん底のような裏切りがあったとしても、それ込みで信用の出来る翻訳家だ、こと翻訳本に関しては訳者が信用のおける人かどうかというのは読む側にとっては死活問題である、なぜならば、自分には原文のテキストを読む力量はない、訳

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大森望(編)『ベストSF2020』レビュー

『ベストSF2020』 大森望(編)――― いきなり別出版社の本の話ですがw 創元SF文庫で2008年から2019年まで12年間出されてきた『年間SF傑作選』の精神的(?)後継者として、あの(?)竹書房から刊行されたのが本書。2020年の年間ベストSF傑作集です。 編者はご存じ大森望さん。創元版は日下三蔵さんとペアで編纂されていたので、今度は大森望氏単独セレクションの〈ベスト日本SF〉集というカタチです。 2020年と言えば、コロナ禍が始まったばかりのころ。集められた作

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