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『死ぬまでに行きたい海』・・・連続したスナップ写真のような
岸本佐知子著『死ぬまでに行きたい海』を読んだ。
著者はこのエッセーで、子どものころ、あるいは若いころに見た光景を思い出しながら各地を再訪している。目に飛び込んできたものを読点や体言止めでテンポよく描写する文章は、あたかも連続したスナップ写真のようだ。
些細な記憶まで「ぜんぶ宇宙のどこかに保存されていてほしい」と著者は吐露している。きっと過去の記憶も、再訪して目にした風景も、どんどん写真を撮るように記憶に留めているのだろう。
そういえば各章に添えられた写真は著者が自分で撮ったそうだ。「あまり高性能でない」スマートフォンで撮ったそうだが、良い写真だと思った。「写真的なものの見方」というのがあるのかどうかわからないけど、そういう観察眼を持っていらっしゃるのかもしれない。
それにしても、この本で描かれている昭和の風景やバブル期の東京の描写が懐かしい。日本がまだアジアの他の国々より圧倒的に金持ちだった時代の海外旅行の話も。
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