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僕も総じて『ねにもつタイプ』岸本佐知子

HAKOMACHI 一日一冊 14/31冊目


みんなもきっとこんなこと考えている?

授業中、校庭を眺めながら

僕は、学校の教室で授業受けている。
それは確かすでに解法を知っている数学の授業か、一度内容をさらった歴史の授業だった気がする。

窓から、黒い服を着た複数の敵が入ってくる。
生徒たちは、パニック状態になり、教室内は騒然となる。
僕は、冷静に状況を判断する。相手は5人。教室には40人近くの生徒たちがいる。
僕はまず、初めにガラスを割って入ってきた敵の顔面に向けて、筆箱を投げつける。小学生の時に使っていた、あの四角くて硬い、あのモデルである。敵はたまらず怯む。
僕「〇〇!□□!扉開けてみんなを校庭まで避難させて!」
〇〇「お、おう!」
□□「わ、わかった!」
教室の前後の扉までダッシュして、先生やみんなを友人2人が逃しはじめる。

怯んだ先頭のやつ以外も両脇の窓ガラスを割って乗り込んでくるので、僕は黒板まで走り、黒板消し①、チョークの長めのやつ(白)、黒板に貼ってある三角定規、黒板消し②、をそれぞれ相手の額に投げ、命中させていく。
生徒の避難はあらかた終了した。ここからは徹底的にやる。

教室の後方へと進度を変え、掲示板に沿ってダッシュする。
敵は、襲撃したにも関わらず、逆に攻撃された事実に驚きつつも体勢を整え出す。
僕はそれを見計らって、先ほど黒板でストックしておいた
チョーク長めのやつ(赤)を牽制に使いながら移動する。
掃除用具箱を開き、モップと箒を手に取って、構える。

流石に相手も痛みから回復し、準備万端なようだ。
敵①「1人でどうするつもりだ」
僕「1人で十分だろ」
敵②「それだけの武器で戦えるのか?」
僕「武器はこの教室全部だ。むしろあんたたちはそれで足りるのか?」
敵③「いいのか、お前の友達が逃げたおかげでお前までのルートは机がない。」
敵④「そう、つまりガラ空きだ。5人で一気に畳み掛けられるぞ」
僕「いいよ。来なよ。」
敵⑤「こいつ、!お前ら行くぞ!」

そう言って、走り出す5人。僕は掃除用具箱から取り出しておいたバケツをひっくり返す。
ジャラジャラ、と画鋲が床に散らばり、撒菱のように展開される。
流石に彼らも手だれだ。勢い余ってそれを踏み抜いたのは2人ほど。だが、それを避けた先には、濡れ雑巾が待っている。
友人達に頼んでいた机の移動は、彼らを誘き寄せるだけではなく、この画鋲の絨毯に足をつけることなく、全員を射程距離にできる配置になっている。
「掃除の時間です。」
僕は手に持っていたモップを振り上げる。

キーン、コーン、カーン、コーン。
チャイムが鳴り、ふと窓から教室に目を戻すと、教室にはクラスメイト達がいつも通り席に座っていて、先生が次の範囲について話ながら、前方のドアを開けて職員室に戻る姿が見える。

そこには、敵の姿も、ばら撒いた画鋲も、振り下ろしたモップも、何もない。

妄想のエッセイを書かせたらこの人の右に出る人はいない

最初は母チョイス

冒頭、何が起こったんだ?
と感じた人もいると思いますが、今日は作品する紹介のスタイルで自分もエッセイを書いて見ました。みなさんは、ふと妄想の世界に飛んでいってしまうことありませんか?
僕は学生の時、授業中によくそうなることがあって、その時の体験をベースに、書いてみました。
このエッセイはそんな作品をユーモア豊かに書いた作品です。

この方の本に出会ったのもきっかけは日曜日のテレビ番組でした。
番組でどんな風に紹介されたかは覚えていないのですが、気になったらしく、母が買ってきていました。 

なんか面白そうだな。と思って読み始めると止まらない。1話が短いので、ちょっと1話だけでも読んでみるか、から始まって、面白かった、次はもっと面白いんじゃないか、とどんどんページが進んでいきます。

『ねにもつタイプ』岸本佐知子

本職は翻訳家の岸本さん、 
・『掃除婦のための手引き書』(ルシアンベルリン)
・『ロスト・シング』(ショーン・タン)
など、さまざまな作品に携わられています。

この、エッセイシリーズ(勝手に呼んでいます)も
・『ねにもつタイプ』
・『なんらかの事情』
・『ひみつのしつもん』
・『死ぬまでにいきたい海』 
など、
著名作家の中にも愛読者の多い作品です。

忘れかけていた自由な発想

このエッセイを読むと子どもの時に感じていた先入観や思い込み、余裕がなく、了見の狭い考え、などもそれ自体が創作の厳選に繋がるかもしれないな、と思えるのです。

偏見や経験の浅さや知らないことは創作のきっかけでもある。岸本さんのエッセイを読んでいると、偏見や知らないことへの思い込みが爆発して、全く元は存在しなかった新たな考え方が生まれる、そんな瞬間を目撃しているようで、面白く、楽しい気分になります。

そう考えると、視野が狭いことや何かに臆病であることも発想を変えることで、新たに何かを生み出す力になるのかも、知れないですね。

みなさんはどんな妄想をしますか?










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