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詩の集まりみたいなもの

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詩、詩みたいなものをまとめてみました。
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2023年4月の記事一覧

【詩】 頂き

【詩】 頂き

あの頂きには無限の世界が広がっている。

そう信じて疑わず

いつも表情を変えない頂きを眺めていた

不思議だ

何処を見ているわけでもないのに

夜が更ける 街の様子さえも

あの頂きは写しだそうとしているのか

きっと人は無限の美しさを手に入れて

憧れが届くものと知る事になるだろう

あの遙か頭上のてっぺんには

畏敬の念すら感じる

無言でいて優雅で丁寧な所作

なんて侘びさびの効いた佇ま

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【詩】 束の間

【詩】 束の間

束の間の休息をしに訪れた寒さは

迷いのない空気を纏いつくし

立ち返りもせず 進みもせず

意識のあちこちに住み着いていく

揺れ動く季節のように

かけ離れていきながら

惑わすように記憶を暖める

自分の瞼を閉じてみると

いつしか謎めいた言葉使いに行き着いた

それは自分自身に届いた声なのか

決して分かち望み至った決心で

あふれんばかりの痩せ我慢なのか

寒さは

叙情的に自らを揺り動

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【詩】 静寂の外に

【詩】 静寂の外に

雨音が聞こえる

世界は輝きに満ちていた

躍動するすべての生命達

奏でる調べの眩い空白の余韻

覚えている

完璧に思えた響きの内側を

どうやら疲れていたようだ

雨音の冷たく 目の覚めるような呼吸が

何一つ変わっていくことがあるのだと

気付けなかった

空白に伝う透明なる鼓動

やがて訪れた静寂の中で

私は聞こえた

音が人を通してうなずいているのを

響いたんだ

音が巡礼し微笑ん

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【詩】 残響

【詩】 残響

雨の雫が屋根を伝う

その一滴は軒先を見つめ

やがて波紋を広げる

波打つ流麗さは全てを保つ

均等に 一滴  一滴を

集約して水面を穿つ

こぞって創られた波動はいずこへ

全てがその瞬間のためにある

 
計算し尽くされた摂理は

何事にも代えがたい

生まれた残響を集約しつつ

時の気まぐれに耳を澄まし

彼方からくる雫達を

ボンヤリと見つめる

完璧な物語に言葉はいらない

横切る

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【詩】 風景

【詩】 風景

車窓に見える風景  

家々や街は何事もなく

その地を動かずに存在する

そこに山々や川と巧みに打ち解けあう

田畑や街路樹たち

互いが互いに遠慮をして

よそよそしくならない色調

新緑はきっと交渉してくれてるのだろう

尊重してくれて

謙譲してくれて

風景は成り立っている

やがて水平線に見える一筋の明かり

全てを照らし支度を急ぐ

急き立てられるように始まる一日も

無機質に見える

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【詩】 空

【詩】 空

川にかかる橋を見た

川のそばで立ち尽くす木々を見た

人々が橋を渡る

空には何もない

空は冴えわたる青

際限のないその色は

遠慮もなしに

全てを深く包み込む

誰かの仕業なんだろう
ではないと説明がつかない

あの空色は

弱くもなく

強くもなく

主張せず

かといって明確な意思を示す

絶妙な春の配合

その配合は

川にも  橋にも

木々にも  人々にも

得意そうに語りかけ

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【詩】 舞台

【詩】 舞台

家路に帰る道すがら

雨音の香る世界から

一筋の明かりが見える

足を止め 幕を垂らし

気付かぬつもりで

まぶしく目をそらす

足早に人々は去り

一人残された雨土で

木々のざわめきと同様に

五感が舞台を整える

澄み切った暗幕の向こうでは

あれだけにぎやかだった

自然のトーンが慎ましやかに

前を横切ろうとしている

舞台を転換するときか

あの光と色彩は

確かに何かを打ち明けて

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何となくpart2 

何となくpart2 

こないだの「何となく」の続きです。
お時間ありましてうっかり記事を開いてしまったならば、最後までお付き合い頂けるとありがたいです!

【無題】

探していたものが見つかる前に
うまくやり抜く自分がいる

時を止めずにやり抜こうとして
風を感じず景色が流れていった

落としたはずのぬくもりを
拾い集めて遠くを見つめ

今を生きる事を噛みしめる

にじんだ記憶を持て余し
言葉にならない空気を飲み込む

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【詩】 進む

【詩】 進む

見上げる木には花が咲く

見つめられる事に慣れているのか

可憐に  堂々と

無言で全てを見回す

何を考えているのか
何を試しているのか

森羅万象に睨みをきかす

やがてフワッと花が遊ぶ

君は遊び疲れたのか

可憐に  華麗に

健気に見据える虚空

何を見守るのか

満ちる季節に何を充たすのか

地べたの素肌で見栄を切る

見上げた空に華屑が舞う

見つめた間合いが先なのか

嬉々と  

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