記事一覧
pray human/崔実
「声を上げられなくても自分を責めないで。守りに入ることは決して悪くないし、誰もが大声で叫ぶ必要はない」という著者の言葉に勇気をもらう人は多いのではないかと思う🕯
以前、メアリー・ビアード著「舌を抜かれた女たち」の読後記録で私は、世界的な#Me Tooの動きから外れている人たちをおもってしまうと書いた💠
「pray human」の著者である崔実は、Me Tooの動きに勇気をもらう一方で、過去の
個人的な体験/大江健三郎
サルトルに影響された著者が、"意志ある選択"を主題に小説を書こうとしたところに、自分の体験を重ねて生まれた物語なのだそうだ。
著者が自ら青春小説と呼ぶように、主人公の鳥(バード)の視点であっという間の日々を、激しく旋回しながらくぐり抜けた感覚を持った🦜欺瞞が膨れて大きくなるほどありもしない想像は広がり、鳥(バード)の心は侵蝕される。
いつかアフリカを旅することを夢見るまだ若い彼は、脳ヘルニアを患
貝に続く場所にて/石沢麻依
きっと痛みや苦しみを乗り越えるのには、完璧な計画よりも大きな物語が必要なのに、自分で感じた痛みや苦しみが、遠い物語的な記憶に変容していってしまうことはなかなか受け入れられない🍃
そして変容と同時に、忘却が始まってしまう。
ドイツのゲッティンゲンの森を舞台に、行方不明の友人と再会した主人公を始めとする人物たちが、過去と罪悪感を引き摺りながらも寄り添い合う🍃
傷を負った場所とそうでない場所、そ
お姫様とジェンダー/若桑みどり
昔のこと。
ある時、女性に言われた。
「女の子はいいの、働かなくて。結婚しちゃえばいいのよ。」
またある時は、働いている女性に言われた。
「女はね、結婚して子育て。あとはね、パートしてればいいの。勉強なんかしなくていいのよ」
思えば、小さい頃からそういう類のことをよく言われていた。なんとなく聞き流していた。
今思えば、なんというセリフなんだろう。
女が自分の人生を蔑ろにするようなことを言ってしま
はじめてのスピノザ 自由へのエチカ/國分功一郎
自由って、一言で言うのは簡単だ。でも自由は本当に扱いづらくて、難しくて厄介。そして皆自由がなんなのか、いつもわからないままだ。
スピノザは17世紀のオランダの哲学者だ🇳🇱
彼の哲学は、"コナトゥス"という、自分の存在を維持しようとする"力"がその人の本質であると述べる。(簡単に言えば、体の水分量が減れば私たちは喉が渇いて水を飲むように、常に我々の中で働いている力なのだ)この彼の考えは哲学史の
🌿『ガーデン・ガーデン』🌿稲葉真弓
最高の時間を過ごさせていただいた、出会えて幸せすぎる本🤤視線の物語。
夫婦交換専門雑誌で、妻や夫たちの投稿写真の性器を消す仕事をしている"私"が、1枚の投稿写真の女に惹かれながら"消す女"として過ごした日々。彼女は、普通ならば黒塗りで消す部分を様々な種類の花のシールで消していく🌹
彼女と、その女の距離感が好きだ。
決して明るくはないけれど、ずっとこの世界を見ていたいと思ってしまう。
粗野でヒリ