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言葉を捜して

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夢なんて嫌い

夢なんて嫌い

酷く虚しかった。
彼に逢った後、みるみるうちに生気を失くしてしまって正気じゃなくなっていって、体調に引き摺られて心まで青白くヒビが入ってしまったようだった。彼との現実も夢だったのだ、そうして今日だって明日だって夢になってしまう、夢なんて嫌いだよ、ねえ、
貴方が夢に出てきてくれたのは私のためで、私を私たらしめているのも私で、だから夢の中で手を繋いで目を合わせてくれるのでしょう。貴方に逢ったことがこう

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記憶の遺留物

記憶の遺留物

瞳が綺麗だとよく言ってもらえます。この瞳に夕焼けを映すのが好き。

夜道にスリッパが落ちていた。両足分。不思議な気持ちになった。私だけが面白そうに写真を撮っていた。散歩中の犬だけが少し興味深そうにしていて、自転車に乗っている人も歩いている人もみんな避ける、次の日スリッパは無くなっていた。誰が持ち帰ったのだろう。

布団を一部新調した。マットレスを買って、毛布を買い替えた。寝具レベルが500くらいに

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想い、想われない人生でも

想い、想われない人生でも

見出しにしたい写真、そろそろ失くなってきちゃったな。撮らなきゃ

十月から十一月中旬くらいまでは秋が一番好きだったけれど、冬になれば冬の眩い光が一番美しく思えるし、春になればきっと春が一番好きだと思うんだろう。ここ数日は寒いから、春が待ち遠しい。

何処かで別れを待ち遠しく感じている自分が居るような気もする。

久々に彼と「髪を切ったよ」とか「今日の服はクリスマス意識なんだ」とか、世間話をして。他

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愛して、愛して、愛して

愛して、愛して、愛して

久々に悲しみに触れた。少しだけ泣いた。
本当に少しだけだったけれど、それでも泣くのは久々だった。泣かずに済んでいたのか、泣くこともできなくなっていたのかはわからない。
わからないから、ちゃんと悲しめたことさえ今は嬉しかった。

昨日は久々に厚手のパーカーだけで日中外に出られるくらい暖かかった。十二月なのに春みたいで、びっくりするほど長閑だった。春はこんな感じだったな、と思い出した。時間が止まったよ

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寂しさで息をする

寂しさで息をする

愛することは寂しいことだ。

彼に逢えないと自覚する日々は薄い地獄を見に纏った様な日々で、時間が狂ったように遅く、それでもあっという間に感じる瞬間に悲しくなってしまうというのを繰り返している。

愛しているという文字をなぞる夜をあと何度繰り返せば貴方に逢えるのでしょう、と古代文学のようなぼやきを心に灯す。どれだけ自分に輝く瞬間があれど、周りの友人が恋人に愛されて微笑むあの姿に勝てる気など一切しない

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降り落ちるのは心

降り落ちるのは心

赤く色づいた葉が乾いた風に晒されて大きく舞い落ちる。秋を感じている。空を見上げると一番季節の移り変わりを感じられるな、といつも思う。

夜はもう薄手のニットを着ても寒いくらいの気温になった。外に出て気づいた。もう冬になる。どんどん秋は死んで、冬になる。

何が正解なのかな、とか何が自分にとって一番楽しく幸せで健やかに過ごせるんだろう、なんて漠然と考える日々。そうこうしているうちに冬が来るね。キラキ

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朝焼けに人生が映る

朝焼けに人生が映る

何にも書くことなんてないのにnoteだったり手記を書きたくなるのはどことなーく気を病んでる時で。だけど何がダメなのか、とかあんまりわからないし、沈んでいく方向に向き合うのもなんとなーく違うような気がする。ずーっとこのまんま?

久々に旅行に行った。九月なのに真夏の旅行みたいに炎天下で、めんどくさがって日焼け止めを塗らなかった腕がジリジリと焦げていくような気がした。

残りが半分以下になったペットボ

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貴方はユートピア

貴方はユートピア

愛してるが生きている、嫌いだって生きている、言葉が生きているその距離で私達は生活し合っていたい。目を合わせるのも、呼吸の音が聴こえるのも、なんとなく同じことを思っているような気がして、すれ違うこともあって、そういうの全部生きているから産まれるのであって、それをきちんと尊いと思いながら生きていたい。貴方の存在が心から大切で、どれだけ素晴らしいか、それでいて貴方はいてもいなくても世界からは微々たるもの

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陽射しの一つにもなれやしないが

陽射しの一つにもなれやしないが

たまにふと脈絡も無く、生きるのが嫌になる。だけれど、それは嫌悪感というより疑問に近くて、「答えもないのにこのまま生きて何になるっていうのだろう」と思ったりする。馬鹿な癖。

人が得意ではないくせに長所はコミュニケーション力ですと笑顔で言い張ったり、人との関わりが多い仕事に就こうとしたり。私はめちゃくちゃだ。それも自分に無頓着故なのかもしれない。無頓着なくせに、敏感に寂しがってばかりで。

やっと就

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変色の思考達

変色の思考達

あのね、私の青色は貴方には赤色に見えているのかもしれない。当たり前のようでそれがとても悲しくて、もどかしくてやるせなくて、けれどもどうしようもないから私は困ったって無駄なんだと思う。笑うしかなくて笑っていた。どうでもいいフリをしていた。でもさ、たとえそれがどうにもならないものだとしても、私はめげずに困ったり怒ったりしなきゃいけないのかなって、最近は少しだけ思う。違う?、ねぇ、わかんないよ。

苛立

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恋文のような、悪癖のような

最初から貴方は、私のこと知っているみたいだった。

私は貴方の深淵が見たいです。どこまで見せてくれますか?どこまで見せてくれていますか。私はずっと魅せられたまま、脳を焦がして独りよがりに詩を書いて何年になりましょうか。私の耳を、瞳を、心を塞いだのは紛れもなく貴方で、責任なんてものは無いけれど、宇宙を描くのなら分かり合える惑星だって造ってほしかった。欲張りでしょうか。分かり合えるなんて、存在しないの

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そんな自分を忘れたくなかったの

そんな自分を忘れたくなかったの

貴方のこと、忘れなければいけないなと思うよ。

人を好きになるって難しくて、どこまで好きになればいいのか、姿だけじゃあなんだか足りないような気がして、言葉も思想も食べて骨まで愛して、月並みに嫉妬なんかしちゃって、勝手に永遠を捜して、宇宙の中で迷子になった。
貴方が作った世界はいつしか宇宙になった。貴方が宇宙だと言ったから、宇宙になった。正気も理性も要らなくてそのうち自我さえ要らないような気がしてき

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夜の中にいる貴方へ。

夜の中にいる貴方へ。

「今から会いにきてくれる?」
随分弱った声だった。本当に珍しく泣いていた。
途端に私は悲しくなった。涙が出そうだった。
「大阪から向かうから、すぐには着かないけれど、今から向かうから、それまでは、着くまでは、このまま電話していよう?」
電車もなければバスもない。飛行機なんてもってのほかで、だけれどタクシーでもヒッチハイクでもして、どうにか行くしかないと思った。充電がどうとかお金がどうとか、現実「味

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夜明けの宣誓

夜明けの宣誓

気づけば空が白んでいた。雲は薄いオレンジだった。遠い遠い、遥か遠くの太陽の光を受けているのだろう。眺めている間は、絶望を通り越して安堵できた。
眠れなくなった。眠れることも幸せなのだと知った。夜と朝が入れ替わる四時。私と一緒に起きている犬が部屋を彷徨く。私のパジャマのズボンを勝手に舐めている。どんどん、どんどん明るくなる。鳥の鳴く声が聞こえている。私は少しだけ泣いたりしている。

軽いうつ病なのだ

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