夜明けの宣誓
気づけば空が白んでいた。雲は薄いオレンジだった。遠い遠い、遥か遠くの太陽の光を受けているのだろう。眺めている間は、絶望を通り越して安堵できた。
眠れなくなった。眠れることも幸せなのだと知った。夜と朝が入れ替わる四時。私と一緒に起きている犬が部屋を彷徨く。私のパジャマのズボンを勝手に舐めている。どんどん、どんどん明るくなる。鳥の鳴く声が聞こえている。私は少しだけ泣いたりしている。
軽いうつ病なのだろうと思った。けれど、学校にもバイトにも行ける。行くしかないからだ。行けなくなってからが病気なのかとも思う。
こんな自分では彼に申し訳ないと思った。彼を好きでいる資格など無いように感じられた。彼を好きでいるために変わりたい。彼を守ると誓えたあの頃の強さが欲しい。好きでいるというのは、その人のために自身を変えることができるということだ、という旨の文章を読みハッとさせられた。彼に胸を張って私を私だと言いたい。伝えたい。彼が誇れる私でいたい。それだけのために生きている。彼のために、生きている。
明るく聡明で誠実で、優しさと思いやりを持ち弱さを理解し泣くことができる、そして彼のために強さを備えた人間になりたい。理想像でしかないけれど、彼が私の光で在ってくれるように、私は彼の光で在りたい。
美容院に行こう。お洒落をして友人と遊んでお酒を飲んで、お金を使おう。犬と散歩しよう。どうしようもなくなったら、海へ行こう。そして誰よりも彼のことを想って、大切にすると、守りぬくという愛と覚悟を持って、これからも彼を好きだと遺し続けよう。それら全てを、私が私に許す。その強さを持って、生きていこう。泣いていい。幸せになれ。何度だって私は私のために、彼のために、生きていくことを誓うよ。頑張るのは、その後だって構わない。
ほら、もうすぐ、朝だ。
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