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『チッソは私であった』:文明批判の視点と倫理
2020年12月、河出文庫から緒方正人『チッソは私であった:水俣病の思想』が刊行された。もともとは2001年にローカルの出版社である葦書房から刊行されたもので、ながらく絶版だったこともありとても手に入りづらく、この度の河出書房新社からの再販はとてもうれしい知らせだった。
わたしは大学の社会運動に関する講義で緒方さんを知った。いかに上手に資源を動員して、政治的目的を達するかが主眼になる社会運動
セカイ系の想像力とその外側:Life is Strangeについて
※本稿では議論の都合上「Life is Strange」の全面的なネタバレをします。未プレイでネタバレが嫌いな方は是非ともプレイをしてから読んでいただきたいです。しかしこのゲームの面白さはストーリーだけではないので、気にされない方は読んでから是非プレイしていただきたいです。
※なお本論の理解を補助するために、「Life is Strange」本編からスクリーンショットを引用させていだだきました。
サロメはいかにして宿命の女になったのか
ファム・ファタールという言葉をご存知だろうか。単純に訳して仕舞えば、宿命の女、ということになる。「君こそ、僕の運命の人だ!」というような意味はもちろんある。しかし大抵、宿命の女(ファム・ファタール)といえば、「男を破滅させる魔性の女」という意味で使われる。例として挙げられるのは、メリメの『カルメン』のカルメンなど。日本で言ったら『痴人の愛』のナオミあたりだろうか?
その中でも代表的な人物といえ