【メルヒェンの蒐集002】こわがることを覚えるために旅にでた若者
君はいま、窓枠の縁に頬杖を付きながら、夕暮れに染まった一面のだだっ広、本当にだだっ広い、刈り入れの終わった田圃の中を、格子状のに突っ切る一車線道路を走るスクールバスにゆられながら、ガラスに映る君の顔越しに見える富士山をじぃと見ているのだけれど、奇妙なまでに、そのバスの描く軌道と平行になって、その上空30,000ftを飛行機が飛んでいるから、その米粒よりもずっと小さなバスは飛行機からは見えなかった。いや、それは大きさの問題ではないのであって、角度の問題だ。それに仮にバスが走る