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修士2年秋学期の備忘
書き出しから苦しい雰囲気になってしまうが、お金のことを考えるとこころの動きが急速に鈍くなる。今もファーストフード店で隣の人たちが、未来の雇用や社会が変わらなければ、子どもの世代までうまいこと存続することはない、というようなことを話している。自分たちの時から30年も初任給が変わらないのは気の毒だ、あの頃は”いけいけどんどん”だったよね、など、先ほど美味しく食べたはずのナゲットの消化が悪くなりそうなこ
もっとみる映画「ドライブ・マイ・カー」深く孤を愛するためにこそ語る
顔を向かい合わせて言葉を交わすとき、そこには話しているわたしと聞いているあなたがいる。わたしの発した言葉にあなたは、うんうんと相槌をうつ。溶け合っているように思えてくる、わたしの言葉はきちんとあなたの中に流れ込んでいる、と。
わたしもあなたの言葉にうなづく。あなたと同じように心が動いたと思ってうなづく。その時わたしは、あなたに近づくことができた、と感じている。
それなのにわたしたちは、互いの背中の
今はロックもかっこいいと思うよ。
わたしは子どもの頃「分かる人だけに伝わればいい」という雰囲気を醸し出すアーティストが苦手だった。伝えたい世界観があるのではないのか!それはたくさんの人に受け取ってもらわなくていいのか!ってかプロなら伝わる方法を考えるべきではないのか!と、消化不良である彼らの存在に対して、その消化不良ゆえの偉そうな不満を抱いていた。
そういう不満を抱いていたにも関わらず、哲学という、おそらく世の中的には「何でそんな
「エモいが使えない」(20代・女性)
今使っているボディーソープは、市民プールの匂いがする。だから毎晩、低い目線から見ていた無人の受付を思い出す。あまり人のいない更衣室へと続く廊下。声が響く屋内プール。学区内にはタバコ屋が1軒あるだけの田舎に住んでいたので、学区外の市民プールに行くには、いつも車だった。自転車で行き来していた場所の景色は、肌にあたる風とともに季節の記憶も思い出すが、空気の動きのない車移動をしていたため、季節のことはあま
もっとみるありがとうココア、というはなし。
我が家の周りは、騒々しい。
鳥の鳴き声といえばカラスだし、目の前の大きな道路にはこんなときでもひっきりなしに車と電車が走っている。
マスクをしていては、散歩に行ったところで初夏の香りを胸いっぱいに吸い込むことができないので、せめてもと家にいる間はベランダに面する窓を開けているのだけれど、排気ガスが気になり清々しさには欠ける。無音になれるヘッドホンなどが欲しい。静寂のためにものを増やす、というのは情