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宇宙に行く前に、地球でお腹いっぱい。

棚の中に眠っている私の電子辞書のメモ機能には、お気に入り単語の例文とか、いつか言いたいセリフとかがたくさん保存されているはずだ、最近電源入れてないけど。昔使ってたガラケーにもきっといろいろ保存されている。恥ずかしいので、見たくもあり、見たくもなし、だが電子辞書に初めてお気に入り登録した言葉は「催涙雨」だったということは覚えている。とてもロマンチックな単語だ。

そうして、本を読んだりするたびにお気に入りワード集を作ったりするという楽しみが私にはある。好きな言葉はこれまでずっと、あちこちの媒体のメモ機能にひっそりと格納されてきたけれど、久しぶりに、好きな景色がたくさん見える本に出会ったので、嬉しいから聞いて欲しい。

2文紹介したい。山崎ナオコーラの「人のセックスを笑うな」よりお連れした言葉である。


「自然は美しいことがあるけれど、美しさには向かっていない。」

衝撃が、カミナリかと思った。

美とはどこにあるのか、自然を美しいと思うけれど、自然は美しさのためにあるのではない。感じる我々の中に美的基準や感覚があって〜云々。という、散々喫茶店や教室でやった会話。

いやまて、この言葉の中にあるよ。これだよ。好きだよ。やはり美しさを生み出せるのは我々だ、多分。人、尊いね。だから君のことも好きだよ。(と機嫌のいい時は全方向に対して思っている。博愛。)

勢い余って世界を愛しすぎてる。感動するとすぐ愛したくなるので、自分のことをポジティブだと認識しているのだけど、なかなか他者の同意が得られない。。はい、次。


「この寂しさやストレスはかわいがってお供にする。

一生ついてきたっていいよ。」

喜びは、自分と分離しにくい感情な気がするけど、寂しさとか辛さは、そんなはずではない、と思いたい自分が出現したりしてしまうね。寂しい自分や辛い自分を受け入れ、認めるというより、自分本体とは少し離れた存在として「寂しい私」や「辛い私」を可愛がり、許容するというのが、なんか心が少し落ち着く。

・・・と身を以て実感しているよ!!

この1年半、「この孤独は飼い慣らすしかない」と私は唱えてきたけれど、「一生ついてきたっていいよ。」の方がときめきが溢れる。句点まで含めて可愛い。

ちなみに、喜びとか、美しさとか、光とかきらめきとかがたっくさんあるときに「溢れる」というの、とてもきゅんとする。好きです。溜めきれずにこぼれるように湧いてくる感じが、汚れがなくてときめきます。(好きすぎて敬語)

句点まで含めて可愛い、という感情ではビジネス文書が作れないので、会社員は時々苦痛です。


さいごに。

「それって、憂鬱」

言われたら、心を鷲掴みにされてしまう。素直が一番こわくて可愛い。何だろう、何だかわからないけれど、こういうことを言えたらちゃんと人間関係が築ける気がした。気乗りしないことに対し「は、意味分からん」と断絶するような返答したり、「また今度」とか言ってはぐらかしたりするのではなく、心の温度を伝えるというのは、生きてる感じがしていいね。

いいと思うならやりなさいな、という話だけど、精進しまくらないとそんな無垢は神様から取り返せないと思ってしまう。がんばろう。


と、とりあえず、好きを詰め込んでみた。いい出会いだった。

言葉が好きなので私はそっちに肩入れしがちだけれど、語彙が増えれば増えるほど、目に映る世界の解像度は上がると思っている。だから、明日の空が鮮やかに見えるような出会いがまた訪れるのを楽しみに、次の本に移りたいと思う。

なお、次の本だが、この本で1分が75秒くらいの世界を体感してしまったので、ちょっと日常生活に戻るために、出張帰りに品川駅で星野源のエッセイを買った。また、1秒を削り出す会社員に変身せねばならない。

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