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【エッセイ】遠き日の夢「虎吉の交流部屋プチ企画」
ドスンッ
「アイタタタ」
はじき出された衝撃で、したたかに頭を打った。
ドクンドクンドクン
小さな地震のような波が規則的に私の身体に伝わって来る。
『タイムリミットは3分です』
白装束の男は私にそう言った。
『分かったわ』
(カップ麺かウルトラマン?)
笑みがこぼれそうになるのをこらえた。
『時間に間に合わなければ…』
『私が……でしょ?』
男は深く頷いた。
『じゃあ、いってらっしゃい』
送
〔新生活20字小説〕その1
新しい食器棚に、古いマグカップがひとつ。
こんばんは。
こちらに参加してみます。
もし何か浮かべば、また書くかも知れません。もう何も浮かばないかも知れませんが💦
とりあえず今日は、これでお願いします!
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母が守ったもの 〔ショートストーリー〕
母が守ったもの
「あーーー疲れたぁぁーー」
ふーーっと長く息を吐いて湯に体を沈める。
体内に溜まって身体を重くしていた『疲労』が、ゆっくりと湯船の底に降りていく。
社会人になってまだ一ヶ月が経っていないなんて信じられない。なのに、こんなにも疲労を感じているだなんて。
「若いのに」
思わず、そう自分でつぶやいてしまう。
我が家の湯船はとても小さい。昔から思っていたけれど、今ではなおのこと