相羽亜季実
階段を転がり落ちて肉体と中身が入れ替わってしまった俺と同期。でも妻ならきっと事情を話せばわかってくれるさ・・・って、同期の代わりに今から出張!? 冗談じゃない! ほっこり系SF小説。
吉川に誘われお祭りのスタッフを引き受けたさな恵の目の前で、二人の女子高生が飛び降り自殺をしてしまう。一方、生きづらさを抱える中学生・筧柚果の生活は苦難に満ちており……戦慄のホラーミステリー
透、武、さくら、環は高校の同級生。卒業してから10年、武とさくらが結婚し子供が生まれてからも四人組は親しくしていたが……西行法師の詩から始まる、一途で切ない恋愛小説。
2024年3月に行われた豆島さんの企画『夜行バスに乗って』への参加作品。「帳面町からバスタ新宿まで」の夜行バスに乗った怪しい人物は誰だ!? そして、主人公の抱える事情とは。
「犯人はあなただ!」「さあ、聖杯を取り出せ」「紫式部になりたい!」限界まで潜ったその先にある、指先に触れたものをつかみ取れ。あなたは書くために生まれてきたのだから。
第1話 サンダルの底をアスファルトに擦るようにして歩いていると、正面からゆっくりした速度でふらふら走る自転車がやってきた。 わずかに道の端によけるが、自転車はハンドルを切ろうとせずそのまま進んでくる。運転している男は片方の手でスマホを持っており、目はその画面に注がれている。 「おい」と声をあげたが、とっさに出たのは喉に痰がからんだ時のような小さな呻きだった。 運転者はこちらに気づいていない。細い道路は精いっぱい端に寄ってもギリギリだ。 ふいに運転者が顔を
第3話 『来週もまた、見て下さいね!』 ジャンケンポン。僕と弟が出したのはグーだった。サザエさんの勝ち。 『あんたたち、いつまでテレビ見てるの!』 見計らったような母の檄が台所から飛んできた。 『明日の学校の仕度はできてるの?』 サザエさんの終わりは日曜日の終わり。ガッカリする気持ちをなだめる間も与えず、母が追い打ちをかける。 『あーあ、明日は学校か』 のろのろと炬燵から這い出た。母に渡された体操服を手に、弟と共に勉強机の置いてある部屋に向かう。 『明
第2話 気付かないうちに雨が降ったのか、ロータリーのアスファルトは濡れてくっきりと黒く光っている。 日曜日の真夜中前。こんな時間に駅前まで来たのは初めてだったが、普段の夜とあまり変わりない。不動産屋も眼鏡屋もドラッグストアもシャッターが下りているが、コンビニと居酒屋だけは開いている。 世間には日曜日も働いている人がいる。それを考えると頭が下がる。 けれども、バスのターミナルには人の気配がまったくなかった。かろうじて街灯の光が届くだけで、長距離バスの電光掲
現在、台風がゆっくり北上中ですね。今は九州に上陸したところでしょうか。 食料やお水などを備蓄して、台風に備えておく必要がありそうです。 余談ですが、昨夜、次女と国語の勉強をしておりました。 ことわざの問題だったのですが、 「そなえあれば・・・?」 というわたしの問いかけに、 「うれすぃー!」 元気よく答えた次女。隣で聞いていた長女は悶絶しておりました。 この場合、「そなえ」は「そなえ」でも、「お供え」の方でしょうか。お地蔵さん目線かな?(*´▽`*
ここ最近、豪雨だの、雷だの、なんだかすごいですね(>_<) 来週にはまた台風がくるようですが、これを何回か繰り返したら、涼しくなるのかな。 早く秋になあれ(*´Д`) さてさて、相変わらず時間が取れない毎日が続いております。夏は忙しい。 ホントにホントに早く秋になあれ(*´Д`) さて、今回紹介させていただく作品はこちら! じゃん!٩( ''ω'' )و 一の月さんの書かれた『レスポワールで会いましょう』です。 ずっと読みたかったんですよ~! やっと
毎日暑いですね・・・(*´Д`) ホントにホントに時間が取れなくて、もっとコンスタントに続けたいと思っているのに、前回の記事からすっかり時間が空いてしまいました。 これじゃ、ますます「今さら」間が増してしまう~(´Д⊂ヽ 気を取り直して、本日ご紹介する作品はこちら。じゃん!٩( ''ω'' )و 小糸さんの書かれたこちらの連載小説『幻日』は、ミステリー部門にエントリーされています。 主人公はとんでもない絵の才能を持つ女子高校生。 しかしコンクールのため
創作大賞、3箇月もありましたのに、なんだか最後はバタバタでした💦 あれっ? こんなはずではなかったのに。 もっと読みたい作品、たくさんあったのに(*´Д`) 応援記事も、もっとたくさん書きたかったのに~Σ(゚Д゚) でも、今から読んでもいいですよね٩( ''ω'' )و もしわたしなら、今から読んでもらっても嬉しい( *´艸`) せっかくなので、期間を過ぎた「今さら感想」なのですが、読書感想記事を書いていこうかと思います。 本当なら応援期間中に書きた
ノリかなさんはいくつかの作品を創作大賞2024のオールカテゴリ部門にエントリーしています。 幸せになってほしい。 笑っていてほしい。 人がつらそうな姿は見たくない。 それって、なぜでしょうね。 自分がつらいわけではないのに。 なにもできない自分がもどかしくなるから? 自分が咎められているような気持ちになるから? それもあるかもしれないけれど、それだけじゃないみたいです。 だって、テレビで痛ましいニュースを見ても心は痛むから。 たとえ会った
櫟茉莉花さんの『リモンチェッロと魔法使い』は創作大賞2024のエッセイ部門にエントリーしている作品です。 令和の現代ではさんざん使い古された言い回しですが、 「真実」なんてものはどこにもない。 あるのは「事実」だけだ。 こんな言葉がありますよね。 端的に言えば「真実」と「事実」の違いは、そこに主観が入るかどうか。 つまり、誰かにとっての真実と、別の人にとっての真実は違う。 「ということは、エッセイもまったくのノンフィクションとは言えないかもしれませんね
N=^_^=さんのRemake『ホワイトな学校へ』シリーズは創作大賞2024のビジネス部門にエントリーしている作品です。 N=^_^=さんの記事を初めて拝読したのは昨年でした。 それが、リメイクする前の『ホワイトな学校へ』だったのですね。 N=^_^=さんが校長先生をされていた頃の、学校改革の様子を書いたものです。 わたしは、正直に言って、学校というところがあまり好きではありませんでした。 ひとつの教室に集められた、およそ40人の多感なお年頃の男女。
このたびは小説『もうひとりの転校生』をお読みいただき、まことにありがとうございます<m(__)m> こちらの作品は2011年に書いたものを創作大賞2024のために大幅に加筆修正したものです。 応募作だというのに、完全な新作ではなくてお恥ずかしい(/ω\)💦 『加筆』修正と言うとりますが、実際は加筆ではなく『減筆』です。 なにしろ昔書いた作品なので、 「いらなーい、ムダー、くどーい」 どんだけ無駄が多いの。ガシガシ削りました。 結果、この作品の総文字数は
最終話 廊下を歩いていたら、喫煙所から出てきた人とばったり顔を合わせた。先輩の横山さんだ。 「あら、大島くん。こんな時間から出勤?」 俺の姿に目を留めると、彼女はにやりと笑い、 「なによ、もう辞めちゃったの。ダイエット」 冷やかすように言いながら、俺が出てきたエレベーターに顎を向ける。 黙って目を伏せた。根性ナシと思われるのは癪だが、しばらく階段はごめんだ。 「どうしたの、その顔」 言われて、顎の傷に手を触れた。大きめの絆創膏が貼ってある。 「いや
第20話 「お前さあ、なに勝手に安請け合いしてんだよ」 俺のボヤキに、同期は黙ったままそっぽを向いた。 「おかげでこっちは朝からビックリさせられたんだからな」 同期はベッドの上で半身を起こしたまま、聞こえないふりをしている。窓から入ってくる光が当たっているせいか、昨夜より元気そうに見えた。 『パパ、ゆうえんちのやくそく、わすれてないよね』 今朝、寝不足の目を擦りながらコーヒーを啜っていると、幼稚園の制服に身を包んだ長女が、俺の顔を見るなり言った。 『
第19話 「優ちゃん!」 名前を呼ばれて顔を上げると、廊下の向こうからやってくる妻の姿が目に入った。椅子から立ち上がる。足元がふらついた。 「なにがあったの」 妻が駆け寄る。その顔をつくづく眺めた。最後に会ったのが昨日の朝だから、丸一日半。それなのに、ひどく久しぶりな気がする。 「遅くに急に家を出ていったと思ったら、病院って。どれだけ心配したか」 妻が頬を膨らませる。そんな顔も愛おしくてたまらない。 「見せて」 妻が俺の頬を両手で挟んだ。触れられた顎がぴ
第18話 白い。壁が白い。天井も、照明も白い。目の裏も、頭の中も真っ白だ。 「お前なあ……」 踊り場で仰向けにひっくり返ったまま指ひとつ動かせない俺に、同期が呆れたように息を吐いた。 「真面目にやってんのか」 その言葉にむっとしながらも、息が切れて返事が出来ない。呼吸するたびに口から、おかしな音が洩れる。 一体何度試したのか。数えきれないほどではないはずだが、落ちる時の恐怖で忘れてしまった。 「本気で戻りたいと思ってるよな」 言われて、一瞬だけ
第17話 本社ビルの窓はすべて明かりが落ちており、会社には誰も残っていないようだった。 裏に回り、通用口の横にある警報装置のカバーを開けてみると、セキュリティー解除のランプが点灯している。どうやら、同期は先に着いているようだ。 建物の中に入る。中は暗く、緑色の常夜灯が廊下を不気味に浮かび上がらせていた。見慣れた会社のはずなのに、気味が悪い。 身を庇うように、ボストンバッグを両腕で抱えて進んだ。廊下の先の非常階段に明かりがついているのがわかる。 明るい