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第1話 内股膏薬:場合や相手によって自分の主張を変えること。態度が一貫せず節操がないこと [人物] 祐輔 ・・・バツイチ、女癖が悪い 雅恵 ・・・祐輔の元妻 胡桃 ・・・祐輔の会社の後輩 典子 ・・・女性弁護士 八重 ・・・祐輔の義理の母 舞台には祐輔、弁護士の典子、胡桃がいる。 着信音が鳴る。祐輔、電話に出る。 祐輔 「はい、もしもし・・・あ、耀子! 珍しいね、国際電話だなんて。どうなの、そっちは・・・うん、うん、うん・・・え~、いいねー! 僕も
第2話 胡桃 「祐輔さん・・・まさか、あたしのこと騙してたんですか・・・?」 祐輔 「違うよ、違うって、違うんだよ。僕の言葉、信じてもらえないのも仕方がないよね。僕は妻がいながら、きみとつき合い続けてきた、世間から見たら最低の男だ。でもさ、胡桃ちゃんのことを思う気持ちは本物なんだ」 胡桃 「それならここを出て、あたしと一緒に暮らし始めましょ」 祐輔 「いや、だからそれは・・・今日のところは、日を改めて・・・」 胡桃 「祐輔さぁん! 約束したじゃないですか!」
第3話 雅恵 「ああ! 思い出したけど、前に一度、怪しいなと思ったの。見ちゃったのよ。あんたが他の女性と歩いているところ。あれは耀子さんじゃなかったわ」 胡桃 「あたしも! 祐輔さんが誰か女性に電話してるのを聞いたことあります。奥さまかと思ったけど・・・ああ! 違う名前でした! 雅恵さんでも八重さんでもないわ!」 八重 「わたくしもそういえば・・・祐輔さんの車に、女性の痕跡を見つけたことがあるわ」 胡桃 「答えて下さい! 祐輔さん! あたしたちの他に会っていた女
第4話 雅恵 「ねえ祐輔。この際だからはっきりさせてよ。この離婚届にサインして耀子さんと離婚するのか、それとも耀子さんを選ぶのか。この期に及んで、離婚もしない、誰も選べないっていうなら、なんだかバカバカしくなってきちゃった。わたしもう降りるわ」 祐輔 「降りる?」 胡桃 「だったらあたしも降ります。あたし、こう見えて負けず嫌いなんです。こんなの、我慢できません!」 祐輔 「胡桃ちゃん! 待ってよ!」 八重 「そうね。なんだか急に目が覚めた気分。わたくし今まで何
第5話 胡桃 「どうしたんですか? あたしたちのことは気にしないで、早く奥さまのところへ行ってあげて下さい」 祐輔 「・・・思い出の・・・場所・・・って書いてあるんだよね?」 典子 「はい、思い出の場所です」 祐輔 「それって・・・・・・どこだろう?」 胡桃 「へっ?」 雅恵 「ちょっと祐輔! あんたそりゃないんじゃないの!?」 胡桃 「ひどいです・・・祐輔さん、見損ないました」 八重 「祐輔さん、それはあまりにも娘が不憫すぎます」 祐輔 「違うんだよ
このたびは朗読劇『内股膏薬』をお読みいただき、本当にありがとうございました<m(_ _)m> いつもお読み下さっている方はおわかりかもしれませんが、この脚本はわたしが所属する演劇サークルで実際に使ったものです。 11月最後の土曜日に上演しました~! 上演、と申しましても、今回はメンバーの一人が住む公団の集会所を借りての無料のアトリエ公演。 上演時間も40分と短く、コロナ禍によるブランクですっかり錆びついてしまったわたしたちメンバーにはちょうどよい規模でした(*