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エッセイ・コラム

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2024年6月の記事一覧

高級ホテルのスイートルームに行ってみよう

高級ホテルのスイートルームに行ってみよう

職場の先輩で、女性と酒を飲みながら話すような「キャバクラ」みたいな場所が好きな人がいる。
それはそれで全く否定する気はないのだが、金額を聞いて2~3人で20万円ほどつかうことがあったという。女性と酒を飲み、話すだけで20万というのはなかなかの金額だ。

先輩からその話を聞きながら、いったい20万円をどう使うのがよいのだろうと考えてみる。1か月間かけて食費を切り詰めながら普通に生活してもいいだろうし

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人生は終わりと始まりを繰り返し続けて終わりを迎える

人生は終わりと始まりを繰り返し続けて終わりを迎える

中学生の頃に音楽を聞いていた時だったか、人生とは始まりと終わりがただ繰り返されていく営みであると直感したことがある。

生と死という大きな大きな始まりと終わりの中に、沢山の始まりと終わりがある。
一曲の始まりと終わりがあれば、一日の始まりと終わりもある。学生の始まりと終わりがあれば、仕事の終わりの始まりもある。だからこそ終わりは始まりだ、などと矛盾めいた言葉が存在することになる。

終わりというの

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泡まみれの都知事選に

泡まみれの都知事選に

選挙で当選が見込めない候補を「泡沫候補」と呼ぶ。
かつては大日本愛国党の赤尾敏氏や宗教家の又吉イエス氏が有名だった。当初泡沫候補として面白がられていたスマイル党のマック赤坂氏は本当に当選してしまったという珍妙な歴史もある。

総じて泡沫候補は選挙の中で「エンタメ」として消費されてきたきらいがあるわけだが、今回の都知事選は度を超したエンタメと化した印象だった。
名作「1984」とまではいかないが民主

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想いをどんなに寄せたとしても

想いをどんなに寄せたとしても

当事者にならないとわからないことはたくさんある。
親になってみないと親の気持ちもわからないし、障害を負ってみないと障害者の気持ちはわからないし、成功しないと成功者の気持ちはわからないのだ。

2020年、三島由紀夫の没後50年を記念し、「NHKスペシャル 三島由紀夫 50年目の“青年論”」が放映された。番組内で、生前親交のあった美輪明宏氏が「天才の心を推察するのは僭越です」という言葉を残している。

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心地よく生きるなら自分を知るって大事だよねって話

心地よく生きるなら自分を知るって大事だよねって話

高校のころ、世界史の先生から「毎年合格体験記とかみんなこれ見よがしに書いてるけど、実際不合格体験記のほうが役に立つよ」と言っていたことがあった。成功体験など別に人それぞれだから、むしろ「これだけはだめだ」という失敗ケースを避けることのほうが重要だと説明してくれたのをよく覚えている。

今思うと、確かにそうかもしれない、という思いがする。先日、個人で塾を経営している方と話す機会があった。長らく教育に

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「退職代行」は別にいいんだけどちょっとだけひっかかる

「退職代行」は別にいいんだけどちょっとだけひっかかる

退職代行というビジネスが活況らしい。
仕事を辞めたいのになかなか言い出せない(というか言い出すとブチギレられて退職交渉どころではない)人たちを対象に、第三者的な立場から退職の手続きを進めてくれるものだ。

たしかに必要な人は一定数いるのだろう。問題のある上司や、とんでもないパワハラの上司に退職を伝えるのは勇気がいるし、まともに取り合ってくれない可能性もある。本来仕事は「やめたい」といえばやめられる

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ともだち100人できるかな

ともだち100人できるかな

「一年生になったら」という歌のなかに「♪ともだち100人できるかな」という歌詞の一節がある。
100人のともだちと給食を食べたいとかおにぎりを食べたいとか、普遍的な欲を歌っている。私が一年生の頃は学年に80人くらいしかいなかったので「全員をともだちにしても100人にならない」などとひねくれた考えを持っていたのだが、いつの間にかそんな愉快な歌を歌うこともなく、およそ25年の日々が流れた。

社会人に

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記事の捏造は他人事にあらず

記事の捏造は他人事にあらず

記者として仕事をしていると、時々デスクを中心に「無理のある注文」がやってくることがある。

デスクはデスクで編集部の偉いおじさんから「この情報はないのか」「これをいれろ」とか言われて我々記者をせっつくことになるのだが、時に「これはさすがにちょっとな」というケースもある。
取材先の方にはそのたびに「これこれこういう事情がありまして」と説明してなんとか先方に納得してもらうわけだが、いざ記事が出てみても

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