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愛おしい日々をだらだらと綴るだけ 生活の備忘録

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記事一覧

大葉キムチ餃子

 夫が寝静まった夜は、とても静かだ。深い眠りに入ったらしく、段々と寝息が小さくなっている。  何度も寝返りを打っていた背中が、おとなしく丸まっている姿を見て、愛…

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10か月前
4

夫と私

 恋人が夫になった。同じ家に住み、生活を共にしている。 彼とはもうすぐ付き合って6年になる。出会った頃から変わらず、優しくたくさんの愛を注いでくれる人だ。  付…

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10か月前
43

あしたしごとやすむね

 突然、涙が止まらなくなった。ああこれは駄目だな、そう思った。連休は友人や恋人と過ごして、明日は仕事。考えるだけで息ができなくなって涙が溢れ続けた。苦しい、胸が…

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1年前
7

愛おしい日々

 隣町に引っ越して、もうすぐ1ヶ月が経つ。新しいお家はずっと憧れていた団地。少し古いけれど十分綺麗な3LDK。青々とした緑に囲まれていて、静かで、穏やかな場所。数…

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1年前
18

コンプレックス・かわいい♡

 もう少しこうだったらいいのに、とか、なんでこうなんだろうと気になってしまう身体の部位やら癖やら。きっと誰しもあるのだろう。「コンプレックス」と言葉にすると何だ…

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1年前
4

愛着とピアス

 私は独占欲が強い方だと思う。人にも環境にも依存しやすいし、感情移入して気付けば簡単には離れられなくなっている。  結局人はひとりだと、頭で理解してはいる。所詮…

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1年前
6

溶けてく時間と

 浮き足立っているこの季節が嫌いだ、と君は言う。私も春は嫌だと思った。何度経験しても、出会いと別れには慣れない。かと言って誰も悪くないし、仕方ないよね、と思える…

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1年前
5

雪解け、春

 雨の上がった帰り道、春の匂いしたねって彼女が笑った。ちょっと一息ついて会話を続けようとしたら、私の鼻腔にもふわっと生ぬるい香りが届いた。  本当だ、って言うと…

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1年前
4

生き様は音楽で

 平穏を愛している。変化が何よりも怖いので、普通に、無難で、代わり映えのない、そんな日常を欲している。人生つまらないって思える時、私はなんやかんや元気なのだ。 …

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1年前
5

君が飛び降りてしまう前に

 目まぐるしく過ぎ去る日々、気が付けば穏やかな秋をとうに超え、体感はすっかり冬である。寒暖差で身体の節々が縮こまっている気がしてくる。愛する皆様、元気にしていま…

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1年前
4

24歳の夏休み

 コロナ陽性になった。職場内でクラスターが発生し、防護服に身を包む日々の途中だった。私は出勤停止となり、10日間の自宅療養となった。  朦朧とした意識の中、浮か…

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2年前
10

息を呑むような美しい光が雲間から差している
一枚の絵画のような線描が胸を刺す 群がる鳥 煌々とした夕暮れ
雨上がりの匂いが街を包み
今僕の目の前に広がるオーロラを昭然たるものにしている

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2年前
4

無力であることを知り、そして無知を恥じた

 暗殺も暴力もきっと他人事なんだ。  街の騒めきを肌で感じた、午後2時。献血を呼びかける声が耳を刺す。決して目に見えるような情報ではなく、気とか気配といった感覚…

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2年前
5

夏、眩しい

 夏が始まる前の、梅雨のじめっとした空気は憂鬱になるけれど、少し湿った土の匂いは、結構好きだって思った。放課後の帰り道、段々と長くなっていく夕方の情景が脳裏に浮…

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2年前
32

最近のこと

 時は忙しなく進む。世間でいう季節はもう初夏らしい。部屋のカレンダーは未だ5月。半袖短パンに薄手の布団で眠りにつける、心地良い温度で雲は流れていく。上京して3年…

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2年前
19

君が春

 気付けば日が長くなっていた。分厚いコートを羽織れば、少し汗ばむような陽気が続いている。極暖のヒートテックを卒業して、生ぬるい風を感じれば、身体はすっかり春に順…

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2年前
26
大葉キムチ餃子

大葉キムチ餃子

 夫が寝静まった夜は、とても静かだ。深い眠りに入ったらしく、段々と寝息が小さくなっている。

 何度も寝返りを打っていた背中が、おとなしく丸まっている姿を見て、愛おしく思う。私は昼間まで寝過ぎたせいで、目は冴えているし、それでもいつも、夫の背中に顔を埋めれば意識が遠のいていくものだが、今夜はなぜかお腹がシクシクと痛んで、その振動がちっとも睡魔を寄せつけてくれやしない。

 何もしない1日を過ごすの

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夫と私

夫と私

 恋人が夫になった。同じ家に住み、生活を共にしている。
彼とはもうすぐ付き合って6年になる。出会った頃から変わらず、優しくたくさんの愛を注いでくれる人だ。

 付き合う前に言われた「結婚したいと思っている」という言葉はどうやら嘘じゃなかったらしい。当時の私たちは、若かったし青かった。だけれども、たったひとつの失恋で拗らせていた私には、救いのような一言だった。

 昔から結婚願望は強い方だったと思う

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あしたしごとやすむね

あしたしごとやすむね

 突然、涙が止まらなくなった。ああこれは駄目だな、そう思った。連休は友人や恋人と過ごして、明日は仕事。考えるだけで息ができなくなって涙が溢れ続けた。苦しい、胸が痛い、吐きそう、気持ち悪い、いやだ、嫌だ苦しい。

 明日、仕事行かなくて良いかな?と何度も恋人に聞いた。その度に何度も、大丈夫、明日は休みな、と背中をさすってくれた。前日は友人と夜更かしして寝不足なのに、涙は意思と反して流れ続け、全く眠れ

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愛おしい日々

愛おしい日々

 隣町に引っ越して、もうすぐ1ヶ月が経つ。新しいお家はずっと憧れていた団地。少し古いけれど十分綺麗な3LDK。青々とした緑に囲まれていて、静かで、穏やかな場所。数年以上、8畳で暮らしていた私には広すぎるこの家に、今はまだ一人で暮らしている。

 恋人と住むために決めたこの家とこの街を、私は凄く気に入っている。
やっぱ郊外に住もうと思うの 誰にもふたりみつからないように
って歌うあの曲を、聴いていた

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コンプレックス・かわいい♡

コンプレックス・かわいい♡

 もう少しこうだったらいいのに、とか、なんでこうなんだろうと気になってしまう身体の部位やら癖やら。きっと誰しもあるのだろう。「コンプレックス」と言葉にすると何だか重たいが、悩んだことは事実であり、嘘ではない。

 昔は目元のほくろが気に入らなくて、シャープペンでほじくった時代もあったが、今ではすっかりチャームポイント(と思えるようになった)になった。時間を経て受容できる部分もあれば、段々と気になっ

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愛着とピアス

愛着とピアス

 私は独占欲が強い方だと思う。人にも環境にも依存しやすいし、感情移入して気付けば簡単には離れられなくなっている。

 結局人はひとりだと、頭で理解してはいる。所詮、他人と他人同士だから、家族であっても友人であっても恋人であっても、全部全部を受け止めてもらえるわけではないし、本当の意味で全てを分かってあげることもできない。

 それがたまに凄く寂しく思えて、孤独だと感じてしまう。SNSもふとした瞬間

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溶けてく時間と

溶けてく時間と

 浮き足立っているこの季節が嫌いだ、と君は言う。私も春は嫌だと思った。何度経験しても、出会いと別れには慣れない。かと言って誰も悪くないし、仕方ないよね、と思えるくらいには私も大人になったと思う。

 センチメンタルに拍車をかけるのは、温かな陽射しと生ぬるい空気がやけに心地良すぎるせい。漠然とした不安と寂しさと相反して、この季節は美しすぎる。どうにもできない歯痒さを感じながら、風に舞う桜吹雪がやけに

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雪解け、春

雪解け、春

 雨の上がった帰り道、春の匂いしたねって彼女が笑った。ちょっと一息ついて会話を続けようとしたら、私の鼻腔にもふわっと生ぬるい香りが届いた。

 本当だ、って言うとあの子は嬉しそうにしてた。こういう感覚を共有できる人の希少価値に気付く日々。想いやモノの価値を選択する毎日に流されないように必死で。

 もう春なんだ、2月とは思えないような気候と青空だけれど、たまに降った雪のあとに澄んだ空気が綺麗だと思

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生き様は音楽で

生き様は音楽で

 平穏を愛している。変化が何よりも怖いので、普通に、無難で、代わり映えのない、そんな日常を欲している。人生つまらないって思える時、私はなんやかんや元気なのだ。

 新しいことを始めるエネルギーすら持ち合わせていない。取り巻く環境、人、流れていく風景が恐ろしく、自分だけ無の空間に取り残されていくような感覚に陥ってしまう。変化に疲弊し、ぼんやりとした希死念慮がずっと心にある。風呂にも入れず一日中ベッド

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君が飛び降りてしまう前に

君が飛び降りてしまう前に

 目まぐるしく過ぎ去る日々、気が付けば穏やかな秋をとうに超え、体感はすっかり冬である。寒暖差で身体の節々が縮こまっている気がしてくる。愛する皆様、元気にしていますか。私は踏ん張ったり落ち込んだり、なかなか賑やかな毎日です。

 書き溜めた下書きを消化できず、自分という人間に向き合っては目を逸らす日々だった。当たり前だけれど、他人は自分ではなくて、自分は貴方でもなくて、難しかった。例えば、上手くいか

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24歳の夏休み

24歳の夏休み

 コロナ陽性になった。職場内でクラスターが発生し、防護服に身を包む日々の途中だった。私は出勤停止となり、10日間の自宅療養となった。

 朦朧とした意識の中、浮かび上がってくる2本の線を見て、現場で働く同僚への申し訳なさだったり、逃げ切れなかったという悔しさだったりと様々な感情が渦巻いた。と同時に私は確かに、安堵にも近い感情を覚えてしまったのだった。受け止めきれない現実、逃れられない日々への終止符

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息を呑むような美しい光が雲間から差している
一枚の絵画のような線描が胸を刺す 群がる鳥 煌々とした夕暮れ
雨上がりの匂いが街を包み
今僕の目の前に広がるオーロラを昭然たるものにしている

無力であることを知り、そして無知を恥じた

無力であることを知り、そして無知を恥じた

 暗殺も暴力もきっと他人事なんだ。

 街の騒めきを肌で感じた、午後2時。献血を呼びかける声が耳を刺す。決して目に見えるような情報ではなく、気とか気配といった感覚的な、不確かで信じ難い、故に説得力のあるそれだ。その騒めきが、自分を含めたそこに居る人々がどこかで感じている、そこ知れぬ不安や恐怖、悲しみから来ているものだと気づく。

 ストーリーは恐ろしいほど正常で、タイムラインは異常だった。南国の景

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夏、眩しい

夏、眩しい

 夏が始まる前の、梅雨のじめっとした空気は憂鬱になるけれど、少し湿った土の匂いは、結構好きだって思った。放課後の帰り道、段々と長くなっていく夕方の情景が脳裏に浮かんで、なんだかノスタルジーな気持ちになる。

 そんな下書きをしたためていた先日。時は流れ今日、梅雨は正式に明けたらしい。猛暑。真夏。体感8月の半ばだ。夏は大好きだ。だが、予想より早い到来に気持ちが追い付いておらず、内心ドキドキして、やた

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最近のこと

最近のこと

 時は忙しなく進む。世間でいう季節はもう初夏らしい。部屋のカレンダーは未だ5月。半袖短パンに薄手の布団で眠りにつける、心地良い温度で雲は流れていく。上京して3年目、原付バイクに跨って2年目。周りに居る人も部屋にある物も、今ある生活に溶け込んで、私の一部になって、少し消化されて。

 ちょっと前に部屋を掃除した。大きなゴミ袋に思い出のがらくたを詰めた。棚を作って紙袋に閉まっていた本をそこに並べた。や

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君が春

君が春

 気付けば日が長くなっていた。分厚いコートを羽織れば、少し汗ばむような陽気が続いている。極暖のヒートテックを卒業して、生ぬるい風を感じれば、身体はすっかり春に順応している気がしてくる。

 花粉にやられてしょぼくれた目を大きく開こうとしたら陽の光が眩しい。街の人が薄着になっている様子を見ると何だか皆浮かれているようで、ソワソワと落ち着かないのだ。これからの不安や期待、色んな感情が入り混じった脳内は

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