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愛着とピアス

 私は独占欲が強い方だと思う。人にも環境にも依存しやすいし、感情移入して気付けば簡単には離れられなくなっている。

 結局人はひとりだと、頭で理解してはいる。所詮、他人と他人同士だから、家族であっても友人であっても恋人であっても、全部全部を受け止めてもらえるわけではないし、本当の意味で全てを分かってあげることもできない。

 それがたまに凄く寂しく思えて、孤独だと感じてしまう。SNSもふとした瞬間に息が詰まる。必ずしも相手から、欲しい反応を貰える訳ではない。だからこそ自分とは違う人間と関わることは面白い、とも思うが、それでもやっぱり、私と君は違うんだなあと、悲しくなってしまう時がある。

 常に誰かの一番でいたい、なんてエゴ。こんなに君のことを想っているのに、どうして君はこうじゃないのって、誰かを脳内でコントロールしようとしている自分が突然恐ろしくなるのだ。みんなに愛されたい承認欲求を持ったまま、分かる人だけが分かってくれればいいという変な尖り方を覚えてしまった私は、怪物のような感情をどこにもぶつけられないでいる。

 曖昧な言葉が渦巻く中で、一番かわいいとか、一番好きとか、「一番」という明確な言葉を貰えると、安心できる。存在価値なんて、誰かが決めれるものではない。神様でもない、たかが人間の言葉。だってみんな唯一無二でいたい。みんなと同じになりたくない。かといって普通のレールから外れるのも怖い。臆病で我儘な生き物だ。

 いい加減、他人からどう思われているかクヨクヨ悩む性格をやめてしまいたい。ある程度生きてきて、有難いことに、大好きな人たちと出会って、愛を貰っては返してるつもり。それでも私は私って、堂々と胸張って生きていける日ばかりじゃないのが現状である。

 「自分にだけは正直でいて。」親友が私に言った言葉を、何度も反芻している。正直にいて、身を任せて、解放して。どうやって?
足りない頭で考えた結果、私はピアスを開けることにした。

 覚悟、とても小さな世界への反抗心。大切にしたいもの、こと、人を考える。目に見えるものだけが全てじゃないのだと思う。思っていても言葉にしなきゃ、言葉にしても本心じゃなかったら。人の心は分からないものなのだ。それでも君のこと分かりたいって、私は性懲りも無く思うんだろうな。

 耳たぶの穴を撫でれば、あの日の思い出が蘇る。身体につけた跡はきっと、そこに明確な意志がなかったとしても、君と私の記憶になる。君がくれた言葉の記憶を私は身体に刻んで、きっと思い出して、綺麗に保存しておくね。

 依存は自分が選んだ結果だ、と彼女は言っていた。人であっても場所であっても、長くいればいるほど愛着が沸く。その依存から抜け出したいなら、離れる勇気も必要だと。そして自分で選んだ結果なのだから、自分で切り離すことだってできると。

 依存することが悪いことだとは思わない。それは愛着であり、時に愛情でもあるから。きっとこの先、自分自身の依存先を取捨選択することが必要なのだろう。どれが自分にとって必要で、必要ではないのか。すぐに分かることばかりじゃないから、この先の人生、ゆっくり考えることにする。

 人のことを簡単に好きになれるところ、その割に簡単に嫌いになれないところ、お人好しで馬鹿だと何度言われても、騙されていてもいいや、そんな自分も結構好きだったりするから。

 それでも、自分の気持ちにだけは正直でいれるようにって、私の小さな覚悟なの。君は鼻で笑うかもしれないけれど、こんな煩わしい性格でも好きだと言ってくれる人がいるから私は幸せだよ。

 へそを覗き込むたび、未来の私が笑えてればいいなあ、と、不恰好なお腹を撫で、今日は眠りにつくことにします。

#エッセイ #日記 #気持ち #日常 #ピアス #依存 #愛着

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